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【夢日記】妹と出かける夢(2024年7月26日)

私は社会人になりたてくらいだった。現実には存在しない、高校生の妹・ユミが部活の遠征だか修学旅行だかでバスに乗り込むのを見送っている。私はなんとなく直観的に、このバスを見送ったらユミとはもう会えなくなると悟っていた。バスは出発の時間になったが、忘れ物といって妹をバスから降ろさせた。後で送っていくといい、引率の先生にも許可をもらった。

少し怒っているユミに事情を説明する。「いやなんか、見送ったらもうユミと会えなくなる気がしたから。行くな」と言うと「なにそれ、マンガの読みすぎじゃない? もうバス行っちゃったじゃん、どうすんの?」と怒り3割・呆れ7割くらいの調子で言われた。よく考えると気のせいのような気もする。とはいえもうバスは出発してしまった。仕方がないので駅まで送っていくことにした。

夢の世界の電車は時速6kmくらいの、やや早歩きくらいのゆっくりしたスピードで移動するものだった。インドの電車のように混雑するので、乗客は車両の外面にも張り付くようにして乗っている。鉄道会社もそれを前提にしているのか、車両の外側には足場になる鉄パイプと、掴めるように粗めの金網が幾重にも組み込まれており、乗客はそれを足場にしたり手で握ったりするのだった。

ユミが鉄金網を掴み電車の外面に乗った。外面にも人がびっしりだ。小柄なユミだからかろうじて乗れるくらいのスペースを見つけ、必死にしがみついている。「じゃあ行ってくるから」蜘蛛のように張り付きながら首だけこっちを向いてそう挨拶するユミが少しシュールで面白かった。

いよいよ電車も出発する時間になって、私は再び、ユミとここで別れてはいけないような気になった。そして慌てて電車に、飛び乗った。ユミが足を乗せている鉄パイプの隣に、かろうじて足を片方乗せられるギリギリのスペースがあった。そこに足を踏み入れる。

「ちょっと何考えてるの? もう出発するよ」「やっぱり俺も行く」「はぁ? 掴まれるとこないでしょ?」「左手を離して俺の肩を支えにして」

すぐに電車が出発した。しばらく経つと河川敷に作られた盛り土の上を通るレールに乗った。バランスを崩さないように少しだけ横を向いて、なんとなく景色を見ていると、盛り土の法面の下にユミがいた。しかも私を呼んでいるようだ。おかしいな、ユミなら今となりにいる。この体勢でのんきに眠っている。下のユミは幻だろうか?

しかし私を呼んでいるユミはどこか必死で、何を話しているのかまでは聞こえないが、何かを真に訴えている。これは幻じゃない。そう判断した私は電車から飛び降りた。幸い歩くスピードとそう変わらない電車なので、私はなんともなかった。しかし私の肩を支えにしたまま眠っていたユミは突然線路に投げ出され、状況を理解できないまま「うぴみゃ」などと奇声を挙げながら法面を転がり落ちた。

「ちょっと! いきなりどうしたの!? 意味わかんないんだけど!」とユミが正当なクレームを入れてくる。「いや、さっき下にユミがいたから降りたんだけど……」「はぁ? 私ならずっと隣にいたでしょ? 何かと見間違えたんじゃないの?」

改めて辺りを見渡すと、さっき私を呼んでいたユミはどこにも見当たらなかった。次の瞬間、私たちが乗っていた電車が爆発し大炎上した。ユミにそれを見せないように、正面から抱きしめて向きを変えさせた。

二人とも無言になっていた。とりあえず近くの駅に歩くことにした。広々としているのに誰もいない不気味な河川敷を二人でとぼとぼと歩いた。

しばらく歩いたところで、小さな駅についた。こんな駅あったかなあ? 私とユミは駅舎に入った。無人駅のようだ。とりあえずユミは欠席させて、もう家に帰ろうと思っていたところで、「ねえねえ、ここから博物館行きの電車が出てるよ!」と子供のような(子供なのだが)声色でユミがそう言った。

私が何か言うのを待たず、ユミが改札にスマホをかざして入場してしまった。そのユミの後姿は半透明で、反対側のホームが透けて見えていた。少し嫌な予感がし私も慌てて入場した。さっき乗っていた電車があんなに派手に爆発したのにここの電車が来るのかと心配していたが、数分後博物館へ向かう電車がやってきた。しかも人が外面に張り付いていない。それどころか、車両の内部もガラガラだった。私は、そしておろらくユミも、この時生まれて初めて車両の内装を見た。壁も床もシートも黒で統一されていて、とてもシックな印象だった。

シートに座ると、いつの間にかすぐそばに車掌らしき男、というかロボットのようなものが立っていた。というか見た目は『銀河鉄道999』の車掌そっくりだ。

合成音声のような、あるいは別の音声を逆再生したような不気味な声で「博物館行キデスガ、オ間違イナイデスカ」と確認してくる。頷くと「ソレデハ、出発イタシマス」と言いふっと消えた。そして電車が動き出した。

おわり

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