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【黒人差別】ジョージ・フロイドは社会的弱者のヒーローとなった【警察暴力】
ふとスマホに警報音が響いた 夜間外出禁止令 とある! アメリカで生活していると度々スマホに緊急事態警告が入るようになった アンバーアラート(児童誘拐)とか コロナでの公園等立入禁止とか・・ 日本では地震の時にビービーなったが 今度は一体何が起きたのだろう
事件の概要
2020年5月25日、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド(46)が、食料品店カップ・フーズで偽20ドル札を使った疑いで911番通報され、現場に向かった4人の警官のうち、白人警官(44)に首を9分29秒にわたり 膝で圧迫され死亡した。その間29回、息ができないと必死に訴えたが無視された。 その後、全米に人種差別と警察暴力に対する抗議運動が拡がり、デモ参加者が警察官と衝突、ビンや石を投げつけ、一部が暴徒と化し、パトカーや一般車両、建物への放火やハンマー等での破壊、落書き、商品やATMの略奪等、大規模な暴動に発展した。
2014年7月スタテンアイランド、エリック・ガーナー窒息死事件では、11回も息ができないと叫んだが首を絞め続けた。(不起訴)
2014年8月ミズーリ州、丸腰のマイケル・ブラウンは12発中6発の弾丸を受けて死亡(不起訴)「ファーガソン暴動」
2014年11月オハイオ州クリーブランド、黒人少年タミル・ライス(12)は公園でおもちゃの銃で遊んでいた所を白人警官に射殺される(不起訴)
2015年4月メリーランド州、フレディ・グレイは拘束による怪我により後日死亡(無罪)「ボルティモア暴動」
2016年7月5日ルイジアナ州バトンルージュ、アルトン・スターリング射殺事件(不起訴)
2016年7月6日ミネソタ州、フィランド・カスティール射殺事件(無罪)
2016年7月7日テキサス州ダラス、2日連続で起きた事件に抗議する集りに居合わせた警官が狙撃され、5人死亡7人負傷した。
2016年7月17日ルイジアナ州 バトンルージュ、警官が銃撃され3人死亡3人負傷
2019年8月コロラド州、エライジャ・マクレーンはフェイスマスクをしているのは不審として取り押さえられ鎮静剤を注射され死亡(不起訴→500万人以上の署名→有罪)
2019年10月テキサス州、アタティアナ・ジェファーソンは深夜に玄関の扉を開放しているのは不審として通報され駆けつけた警官に自宅にて射殺される
2020年3月ケンタッキー州、ブレオナ・テイラーは自宅で寝ていた所、住所を間違えて突入してきた警官に射殺される(無罪→再審有罪)
同様の事件が続いており警察に対する不満が溜まっていった
各地の動き
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抗議運動は140都市以上に波及、デモ参加者2,000万人以上で、アメリカ史上最大級。
逮捕者は、14,000人以上、死者28名以上。
多数の警官が投入されたが、30州以上で62,000人以上の州兵が動員され、ゴム弾や警棒、催涙ガス、発煙筒などで対応。
これほど広範囲で起きた暴動は前例がなく、被害額は少なくとも10億ドルに達する。
外出禁止令が出たのは、首都ワシントンなど40都市以上に及んだ。キング牧師暗殺以来の規模だという。
暴動はミネアポリスより始まった。警察署が放火され全焼、非常事態宣言が出された 。連日の略奪で多数の店舗が廃墟と化した。
ニューヨークのソーホーや五番街、ロスのメルローズ・アベニューやロデオドライブなどあらゆるショッピングスポットが襲撃を受ける無法状態と化した。
デモ隊がシアトルを占拠、キャピトルヒル自治区設立を宣言したが、区内で銃撃事件が発生するなど治安悪化により、一か月ほどで警察が強制排除した。
各地で抗議者集団が高速道路に集結し走行を遮る。
ポートランドでは抗議デモが100日以上続いた。連邦軍も派遣された。
白人至上主義の象徴と見受けられる、先住民族迫害や奴隷制に関与した歴史的人物の像や記念碑が各地で、撤去 、破壊される動きにある。コロンブスや南部連合軍指導者、歴代大統領ら、これまで英雄視されてきた面々だが、評価が見直されている。
今回の件で、この国に存在する大きな亀裂がはっきりと姿を現した。人望ではなく強い力が国民を押さえつけていて不満を内包している。普段は大人しく従っているが、何かきっかけがあればそれを口実に一気に表に反撃に出てくる。
主張
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Black Lives MatterやDefund The Police(警察予算を削れ)がデモ隊の合言葉となった。
下院司法委員会の公聴会にて ジョージ・フロイドの弟、フィロニス・フロイド
「黒人の命は20ドルの価値しかないのか」 「兄の名前が死亡者リストにただ追加されるだけであってはならない」
「あの警官たちは生きて行ける 」
「法執行機関が誤りを犯せば、責任を取らせてほしい。」
兄の死が無駄にならないよう対策をとって欲しいと訴えた。
フロイド氏の葬儀にて フロイドの姪のブルック・ウィリアムズ
「法は常にアフリカ系アメリカ人にとって機能しないように制定されてきました」
「アメリカが偉大だったことなんてあったでしょうか?」
アル・グリーン下院議員(民主党)
「彼の罪は黒人として生まれたことだった 」
公民権活動に取り組んできた アル・シャープトン師
「世界中で奴隷主の孫たちが、奴隷主の像を引きずり下ろしている」
「神は見捨てられた石を拾い、世界全体を変える運動の礎石とした」
BBC放送 映画監督スパイク・リー
「みんなが怒ってるのは持てるものと持たないものの格差について」
「黒人があちこちで殺されて、警察は自由に立ち去るから」
「あなたが勝つためのシステム設定がなされないこの世界に毎日生きているから」
トランプ大統領 ツイッターで
「略奪が始まれば、発砲が始まる」
ホワイトハウス周辺で平和的なデモを行っていた人々を、近くの教会へ歩いていくため、ペッパーボール弾や閃光弾で強制排除。
ジョー・バイデン大統領の声明
「これは白昼に行われた殺人であり、制度的な人種差別を世界の目にさらした」
裁判
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民事訴訟では、ミネアポリス市議会はフロイド氏の遺族に2700万ドル(約29億円)を支払い和解 。 ミネソタ州の裁判所の多様な人種からなる12人の陪審員団は、第2級殺人、第3級殺人、故殺の3つの罪に問われている元警察官のデレク・ショービン被告について、すべての罪で有罪とする評決を出した。さらに、被害者を獲物のように探し続ける累犯者としての登録を命じ、銃器の所有は終生禁止された。 2021年6月、ミネアポリス地方裁判所は禁固22年6カ月の量刑を言い渡した。判事は、「被告は信頼や権限のある立場を悪用し、フロイドを残酷に扱った」「敬意に欠け、全ての人間が持つ尊厳を否定するものだった」と述べた。警官が起こした死亡事件でこれほど長い刑はほとんどないという。 フロイドの弟フィロニス氏は記者会見で「私たちは今日再び息ができる」と安堵の様子。 遺族側弁護士「判決は事件に区切りをもたらし、責任の所在を明確にした」 (最終的に関与し解雇された他の警官3人とも、連邦裁判及び州裁判で公民権侵害の罪などにより有罪判決を受ける。) ショービン被告の弁護側は、すべての罪状で無罪を主張。控訴する模様。 窒息が直接の死因ではなく、フロイドの「持病の心臓疾患と薬物中毒」が死因になったと責任転嫁。 フロイド殺害の決定的瞬間は世界中に拡散され、大きな非難を浴びた。 映像ではどう見ても過剰な暴力の行使がうかがえるし、近くにいた人達は彼を助けるよう訴えている。 しかしながら、事実は国家権力の自己に都合のよい見方で強引に捻じ曲げられる。 釈然としない言い訳にごまかされ、それに誰かがサインをする。これが普段の裁判の現実。
まとめ
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黒人というだけで日常的に監視やハラスメントを受け、 刑事司法制度において何倍も不平等に扱われる。弱者・マイノリティが不利となるあらゆる仕組み・社会構造になっている。 一方警察は強い権限に守られており、警察による死亡事件において何もしなければこっちが悪者にされ99%無罪となる。 奴隷制という建国からおよそ100年続いた黒人差別は公民権運動を経てなお、分かりにくく形を変え現在まで綿々と続いている。暴力はいけない、しかし正当性があれば暴力とは呼ばない。また、時と共に相互理解が深まってゆくのもまた事実。短絡的にならず正義をしっかり訴えることで何かに改革を迫る力を引き出し得る。 この評決は歴史的な意義があり、権力に対する責任追及の重要性が認められたといえる。