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重ねる道具箱~ソーイングボックス

以前から「スタッキングできるトレイ」という製品をECショップで販売しています。
普通、スタッキングというと単純に重ねるだけですが、こちらはスライドさせると上下が一体化するというちょっと変わった構造になっています。

こういう感じで、まとめて持ち運びできます。

嵌め合いの部分には送り蟻というテーブルなどの天板の反り止めに使われる手法を用いています。

今回、この構造を発展させる形で、「重ねる道具箱」という作品を作ってみました。

どんなのかというと、

こんな感じ。材種は水楢です。虎斑(トラフ)と縮杢が出ています。

基本的な構造は、スタッキングトレイと同じ。

ただ、重量物を保管する可能性もあるので、嵌め合いの補強をしています。
また、持ち歩きの際にバラバラになっては困るので、鍵を付けてスライドがロックするように工夫しました。

左端に突き出しているのが鍵。上下に動きます。こういうの好きなんです。

…とまぁ、こんな感じのものなのですが、以前からアイデアだけはあって、なかなか形に出来ていませんでした。半年くらい放っておいたのをようやくっていう感じです。

上蓋に白い木(ハードメイプル)で格子のような象嵌を施していますが、伊達でやっている訳じゃなくて、反り止めの意味があります。(裏面にもあります)

この部分が反ってしまうと、嵌め合いに支障が生じます。しかし、密閉された箱の内側と開放された外側ではどうしても湿度差が生じてしまいます。外気の方が高湿度であれば凸、逆であれば凹に変形する可能性が高い。

…なので、少しでもこのような変形を抑える方法として取り入れました。

他に、框組にして中に鏡板を入れるとか、両端に端喰(はしばみ)を入れるっていう手もあるのですが、この方がシンプルで奇麗な気がしたのでやってみました。

その他、工夫は色々あるんですが、実は失敗したところもあって、一見すると意味ありげに見えても、切り込み過ぎ、削り過ぎをリカバーしつつ、ついでに加飾を加えて胡麻化している箇所もちらほら。(使用に支障が生じることはありません)

頭、ボケ気味で結構な頻度でやらかすので、リカバーの技術はかなり進歩したんじゃないかと思います。(笑)

で、用途なんですが、何に使って頂いてもいいのですが、持ち運べる道具箱というと、ソーイングボックスとかでしょうか?


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