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プロクソンのテーブルソーに他社製の鋸刃を取り付ける

ちょっとマニアックな内容です。

以前、こんな記事を書きました。

小物の切断用にデスクトップで使える超小型のテーブルソー(プロクソン No.28070)を購入したのですが、この機械、丸鋸刃(チップソー)の振動で切断時に切断面が荒れて、かなりビミョーな評価になっていました。

その後、幾つかの改良を行って、一応、満足できるレベルになったのでご報告したいと思います。

この機械、色々と癖があるのですが、最大の問題点は切断面の荒れです。
最悪の場合、切断面に0.5㎜程度の段差が出来てしまうこともあります。
通常のテーブルソーでは送りをしっかりしてさえいれば、こんなに段差が出来ることは考えらないのですが…

問題だったのは、機械本体ではなくて鋸刃の仕様でした。

通常、超硬刃のチップソーは外周近くに制振スリットと呼ばれる切り込みが入っています。これが有ることで切断中に鋸刃が共振して切断幅方向にぶれることを防いでいるんですね。

兼房の横切り刃。変な模様みたいな奴が制振スリット

くだんのテーブルソーは、かなり特殊な機械なので、替え刃のチップソーも専用の仕様なのですが、純正品にはこの制振スリットが入っていません。

外径が小さいから不要という判断なのだろうと思いますが、個体差なのか何なのかは分かりませんが、切断中に共振と思われる横ブレが頻繁に発生し、切断面を荒らすという現象に悩まされました。

他社製のチップソーには制振スリットではなくても、同等の対策をしてある鋸刃もあって、これが使えればよいのですが、穴径が異なっているため、そのままでは取り付ける事が出来ません。

純正品は高いしね…

個体差なら、同じ商品を幾つか購入して選別して使うっていう手もあるかもしれませんが、他社製品と比較しても不釣り合いに高いので、やる気が失せます。

仕方がないんで、鋸刃の表面にアルミテープを何枚か張り付けて、スリットもどきの効果を試してみました。

こんな感じで、両面にアルミテープを貼ってみました。

まぁ、これでもやらないよりは明らかに改善しました。送り速度をゆっくりにしてやれば、横ブレ振動の頻度も、程度も少なくなりました。
でも、0にはなりませんでした。
切断面もあまり奇麗とは言えないし。特に縦引きは…

…なので抜本的な対策として、他社製品の鋸刃を取り付けられるように、取付穴の直径を変換するブッシュを作ることにしました。

ちなみに、この製品の鋸刃は直径85mmです。
この径のチップソーを探してみると、

純正品 24T/穴径10
ブラックアンドデッカー 24T/穴径15
マキタ 20T/穴径20
SK11 20T/穴径15
トリガー 28T/穴径20

24Tとか20Tとあるのは鋸刃の外周にある超硬チップの数で、通常、この数が多い方が切断面はきれいに仕上がります。負荷は重くなりますけど。

ネット上で評判を調べてみると、トリガーの 28T/穴径20という製品が評価が高く、また価格もお手頃でした。…なので、この製品がベストの選択なのですが、取付穴の直径が20mmとなっています。

純正品は10mmなので、この差を埋めるためのブッシュが必要になります。

穴径変換用のブッシュは幾つか市販されてはいますが、10mm→20mmという製品は見当たりませんでした。
…なので、どうしても必要なら、自作するかどこかに委託して誂えるしかありません。

幸い、弊工房には金属加工用の旋盤があり、これまでも真鍮の切削加工などは行っていたので、材料を買って自作することにしました。

加工の様子。真鍮は削り易いです。

出来上がったブッシュはこんな感じ。

中央の穴径がΦ10、外径がΦ25、段差の部分がΦ20、厚みが3mm程です。

中央の穴径がΦ10でテーブルソーの軸径に合わせてあります。段差の部分がΦ20でチップソーの穴径です。全体の厚みは3mm程。段差の部分は鋸刃の厚みに合わせて、0.5mm程にしてあります。

鋸刃にはめ込むと、こんな感じ。

塗装が剥げ剥げ。見た目はオンボロ。価格も安い。でも切れ味は良い。

結果、横ブレの振動はほぼなくなりました。

どのくらい違うのか比較してみると、

トリガー28T 鋸道がきれい
アルミテープを貼った純正品。振動で微妙に鋸道が広がっている。
アルミテープ無し純正品。鋸刃の両側に横ブレで生じた隙間があるのがわかるでしょうか?

切断面を比較してみると、

一番上がトリガー、真ん中がアルミテープ付き、一番下がテープ無しの純正品です。
材料は6mm厚のブナ材で縦挽きしました。

こうなると明らかですね。トリガーの切断面は、多少荒れてはいますが段差はほぼ無し。テープ無しの純正品は不規則に発生する横ブレで切断面が抉れています。

トリガーは切削抵抗も少なく、切れ味も良いです。

もう、純正品は使えませんね。
実際問題、あんなに横ブレが発生すると、そのうち鋸刃本体が破損するのではないかと心配になります。

高速回転する鋸刃のチップが割れて飛んできたりしたら…

ちょっと、怖いですね。

満足できる結果が得られたので、今後はトリガーのチップソーを使っていきたいと思います。

ただ、課題もあります。

一番の問題は、テーブルソーの鋸刃のフランジの直径が22mm、鋸刃の取り付け穴径が20mmなので、両端に1mm程しか締め代が無い事。

使った感じ、特に不具合は感じていないのですが、強度的に不安ではあります。

今後、ブッシュの形状を見直すなどして、対策していきたいと思っています。

注)ここで示した内容を真似することは構いませんが、結果は保証できません。あくまで自己責任でお願いします。

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