だただいま製作中。その2
抽斗を作りました。
過程の写真を撮るのを忘れました。ごめんなさい。
前板は黒柿。側板と底は桐です。
以前は、あられ組で組んでいたんですが、あまり意味がないような気がしたので、もう少しシンプルな形に変えました。
抽斗を一つずつ仕込んでいきます。出入りの具合を何度も確認しながら鉋で少しずつ、当たっている部分を削ります。
削り過ぎるとガタガタになってしまうし、ピッタリにすると湿度の高い梅雨などの季節では、硬くなりすぎて具合が悪いです。
この鉋は台(木の部分。刃は買いました。)を自作しています。細長い物を削る時などに重宝しています。
この抽斗の様に横幅のわりに奥行きが無いものは、どうしても、出し入れの時に引っ掛かりやすくなってしまいます。
ピッタリにすればガタつかないんですが、木は生き物ですからね…
お客様からのクレームが怖いので、あまり無理は出来ません。
多少、ガタついても開かなくなるよりは… そういう風に考えがちです。
続いて取っ手の製作。
3枚の板を繊維の方向を直交させて貼り付けます。
アクセントが付いた方が良いと思ったので、3枚の板の外側をブラックウォールナットにしてみました。
横から丸棒を接着して、本体との接合に使います。
変な形のベニヤ板は、墨付けのテンプレートです。半分しかないのは左右対称だから。
右側を墨付けする際は、ひっくり返して使います。こうしておいた方が、左右の形が等しくなります。
この後、糸のこ盤で墨線に沿って切り抜きます。
木工機械の中で糸鋸盤は安全な機械とされていて、中学校にも導入されていますが、最近は、生徒に触らせないことも多いようです。
たまに鋸刃が引っかかって、板がバタつくと最初はかなりビビるのと、怪我が怖いからなんでしょうね。
板のバタつきの原因は、要するに下手って事なんですが、返し刃のアサリが引っかかることが最大の原因だと思います。
糸鋸の刃は、主に上から下に向かって移動する時に木を切断するのですが、反対に下から上に移動する時に切削する刃も下の方に幾つか付いています。
上から下だけだと、板の下側の切り口にバリが出来やすいので、それを抑えるためにそんな構造になっているんです。
また、切断中に板が刃を挟み込んで動かなくなるのを避けるために先端が幅方向にハの字型に広がっています。
これをアサリというんですが、広がっている分、引っかかりやすいんですよね。
なので、板のバタつきが怖い人はダイヤモンドのやすりで返し刃のアサリを取ってしまうのも手かもしれません。
反し刃のアサリはヤスリで数回こすれば簡単に取れます。ただし、必ず両面やってくださいね。
面倒であれば、最初から返し刃の付いていない鋸刃を買うのも手だと思います。
ちなみに、バタつきを抑える金具は使っていません。あれを使うと下手になるそうです。(ほんとかな?)
…
切り抜いた後は、切り出し小刀で荒削りします
この作業は、下手するとザックリとやってしまいますが、適度な緊張感を持ちながら削る作業は、沢山ある加工の中でも好きな作業の一つです。
切れない刃物だとイラつきますが、良く研いだ切り出しだと、削れる感触がとても心地よいです。
切削痕を残すのもアリだと思いますが、今回は(…っていうか、何時もですが)サンドペーパで仕上げます。
いつもは、#60→#120→#240→#320 or #400という番手(粒子の細かさを番手と言います。数字が大きいほど細かくなります)で仕上げています。
#320や#400で研磨すると表面がツルツルになって触った感触がとても良くなります。お客様からも好評です。
続いて、取っ手と本体を接続する部分を作ります。
ブラックウォールナットの角材に半円の墨を付けて万力で挟んで鉋で削ります。
大体削り終わったら、サンドペーパーで仕上げて所定の長さに丸ノコ盤で刻みます。
小さい部材は丸ノコ刃に弾かれやすいので要注意。
更に、黒檀で抽斗のつまみを作って…
抽斗に穴を開けて、つまみを接着して完成したのがこれです。
この後、ガラス塗料で塗装して完了です。乾燥にしばらくかかるので、出品は来週になりそうです。
…でも、正直、塗装はしたくないんですよね。
この感じが無くなってしまうから。
木は無塗装が一番美しいと思います。
でも、手垢などの汚れを考えると、現実はそうはいかないんですが。