確定申告終了 来年こそ確定申告の準備は計画的に行いましょう
あおぞら会計社の西村(公認会計士税理士)です。
3月15日は令和5年度の所得税・復興特別所得税の確定申告期限でした。弊社でもすべての依頼を無事に申告することができました。
とくに個人事業主の方にとって確定申告は頭の痛いイベントです。自分の税額をわざわざ大変な手間ひまをかけて計算し、納税するのですからモチベーションがあがらないのは無理もありません。
クラウド会計を用いて個人事業主が少しでも確定申告の負担が減らせるようTipsをご紹介します。
現金管理をやめ、口座連携を進める
個人事業主の方で多いのは、期末の現金残高がマイナスになっていたり、そもそも現金の管理をしていないため帳簿の数字が意味を持たないという自体です。
現金勘定は小口現金、レジ、金庫など日々管理が必要な現金を保有していない限り必要がありません。おすすめは事業主貸借を使って現金勘定の管理に関するコストを省略することです。
そして、より確定申告の準備をスムーズに進めるためには、銀行口座やクレジットカード、交通系ICとの連携を進め、デジタルで管理できる体制を整えることです。口座連携を進めることで、取引履歴が自動的に記録され、経理作業の効率化が図れます。また、現金管理に伴う人的ミスのリスクを低減できるほか、取引の透明性も向上します。
日々の支払を現金からデジタル記録のできるものにしていくように心がけましょう。
クラウド会計ソフトを活用することで、口座やカードの取引データを自動的に仕訳し、決算書の作成まで行えるようになります。現金管理からの脱却と口座連携の推進は、確定申告準備の第一歩として取り組むべき重要な課題です。
事業専用口座やクレジットカードを整える
事業用と個人用の口座を分けることは、経費の管理をより明確にするために欠かせません。法人の場合はもちろん法人用の口座を管理しますが、個人事業主の場合も事業専用の口座を用意することを強くおすすめします。
具体的には、事業用口座を作成し、ネットバンキングの機能をクラウド会計と連携させます(使っていない口座があればそれを活用してもよいです)。
事業用の口座では、事業に関連する取引のみを行うようにしましょう。これにより、確定申告時に必要な情報を容易に抽出できるようになり、申告作業がスムーズに進められます。
余計なプライベート入出金が交じる場合、それを処理から外すのに手間がかかります。税理士に仕訳を依頼する際も通常は仕訳量に応じてコストが生じることになりますから、プライベート混用の口座はその分コスト負担が生じることとなります。
事業用のクレジットカード、交通系ICを用意することも同様に重要です。カード使用は現金払いよりも管理が簡単で、記録漏れのリスクも低減できます。また、経費の内容が明確になるため、無駄な支出を防ぐ効果も期待できるでしょう。
口座とクレジットカードを事業専用に整えることは、確定申告の準備だけでなく、日々の経理管理の面でも大きなメリットがあります。早めに専用の口座とカードを用意し、事業と個人の財務を分別管理する習慣をつけましょう。
月々の支払が銀行の自動振替契約であったり、契約マイページのパスワードがわからなくなっていたり、口座とクレジットカードの整理をすることは思いのほか時間がかかります。1年かけて整理するつもりで地道に取り組むことが大切です。
レシートを月次でまとめて管理する
日々の取引で発生するレシートは、月ごとにまとめて管理することが大切です。レシートは、経費の証拠として確定申告に欠かせない存在ですが、紙のレシートは劣化しやすく、保管場所も取るため、できるだけデジタル化することをおすすめします。スキャンやスマートフォンでの撮影により電子データ化し、クラウド会計に取り込みましょう。
ご参考に、私が行っているレシート管理は以下のようなものです(個人事業主の簡便な処理です。会社組織として必要な統制は改めて紹介します)。
外出先で取得したレシートの管理
外出先で取得したレシートはプライベートの財布にいれず、事業用に分けておくと処理漏れがありません。私は透明はビニール製のペンケースにしまっています。
透明であれば未処理レシートの存在が明らかなので、処理を忘れることがありません。
事務所に戻った際の処理
事務所に戻った際にはケース内のレシートをスキャナに流し込みます。スキャン済みのレシートは二重処理がないようにスタンプを捺しておきます。
スキャナは会計事務所であるためScansnap iX1600を採用していますが、一般の個人事業主ではScansnapだとiX100などの入門機や、スマホのスキャンアプリ(freeeなども提供しています)で十分使えると思います。
月ごとにレシートをまとめて保管する
処理済みのレシートはファイルに保管します。13ポケットのドキュメントファイルが月単位のレシート管理には便利です。12個の仕切りがあるため、対応する月に放り込むだけで済みます。
レシート処理を毎日行うのはなかなか難しいものですが、少なくとも月に一度は整理する習慣をつけましょう。
マイナポータル設定、ダイレクト納付設定を済ませる
マイナポータルは、行政機関から発行される各種申告書や行政サービスの情報を一元管理できます。現在では保険会社、証券会社、ふるさと納税ポータルサイトなど、確定申告に必要な情報の一部がマイナポータルから取得できるため、事前に連携を済ませておくことをおすすめします。一度設定を完了すれば、毎年の確定申告で連携サービスを利用できるようになります。
今後もサービスが拡大するマイナポータルは、確定申告の準備を進める上で、欠かせないものとなるでしょう。早めに連携を済ませ、申告作業の省力化を図りましょう。
次に、確定申告で発生する税額は、ダイレクト納付を利用することで簡単に納付できます。ダイレクト納付とは、国税庁に届け出た金融機関の口座から、税額を自動的に引き落とす電子納税の方法です。
事前に口座登録を行っておくことで、確定申告書の提出と同時に納税が完了し、手続きの手間を省くことができます。また、納付期限を気にする必要がなくなるため、うっかり納付を忘れてしまうリスクを防げます。
ダイレクト納付の口座登録は、e-taxから行えます。一度設定を完了すれば、毎年の確定申告での納付に利用できます。期限内の納付を確実に行うためにも、ダイレクト納付の設定を済ませておくことをおすすめします。
口座の残高不足には注意が必要ですが、納付手続きの負担を大きく軽減できるため、確定申告準備の一環として取り組みましょう。
確定申告は先回りの対応が重要
以上、来年の確定申告に向けて準備すべき点をご紹介しました。
税制は年々複雑になっており、現在では紙で確定申告書を作成することは税理士でも難しいです。適切な申告のためにデジタルを活用することは非常に重要です。今から準備をすすめていきましょう。
また、税理士をしていると「はやく相談してくれていればできる対策があったのに…」と思うことはしばしばあります。年が明けてからは取れる対応がぐっと狭まりますから、税理士へ依頼するのであれば12月までにご相談することをオススメします。
あおぞら会計社は会計×デジタルのプロフェッショナルです。会計に関するお困りごとはぜひご相談ください。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?