見出し画像

郵便ポスト

こんにちは☁ こちらは、あいにくの曇り空です。

それぞれの10年、というタグを見て、語れることは少ないけれど、語ってみたいと思いました。

あの日、2011年3月11日の昼過ぎ。

私は、図書館からの帰り道を歩いていました。好きな本をいくつか借り、体調に波がある中、外出できた自分を褒めながらでした。

交差点を渡り、郵便ポストの近くを通り過ぎようとした時でした。

ぐわん、と世界が揺れた気がして、思わず、郵便ポストに手をつきました。

そして、あたりをきょろきょろと見渡すと、ビルから次々と人が飛び出してきて、建物の窓がガシャガシャと激しく揺れていました。

それを見て、初めて、大きな地震が起こったことを自覚したのです。

急いで家に帰りながら、家族に電話をかけました。幸い、家にいた家族に怪我はなく、お皿が何枚か割れただけでした。そのことにまず、ホッとしました。

そして、あることを思い、ゾッとしました。

私は、地震が起こる数分前まで、図書館にいました。「読みたいな」と思った本になかなか巡り合えず、30分以上、本棚の間をぐるぐるしていました。

もっと図書館にいたかったし、本を探したかったけれど、歩きで来ていることもあり、持ち帰れる本の数は決まっています。

仕方なく、諦め、図書館を出た数分後、地震が起きました。

「私がもし、もっと欲を出して、図書館に残っていたら? 地震と共に本が落ちてきて、どこかを怪我していたかもしれない」。

次の瞬間、何が起こるか、なんて、自分にすら、わからないもの。

その時に決めた判断や決定がこんなふうに影響があるものだとは、その時まであまり考えたことがありませんでした。

今も、同じ道を通るたび、思わず手をついた郵便ポストを見ます。

「あの時、自分の中にある何かと正しさが交差した気がする」。

その次の日。私は、原発事故が起きていることや空気中に放射能が飛び散っていることを知らず、外に出て、ポスティングの仕事をしていました。余震が襲ってくる怖さから、本当は休みたかったのですが、こういう時だからこそ外に出て気分転換したほうがいい、と言われ、渋々、といった感じでした。

私が語れることは少ないですが、それでも、あの日を境に様々なものが変わっていきました。価値観も物の見方も習慣も。

あの日から、もうすぐ10年。私は変わることができたのかな?

#それぞれの10年

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?