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ナイチンゲールと公務員

先日観たTVの刑事モノにこんなエピソードがありました。

事件があって、現場に加害者と被害者が倒れています。加害者は軽傷、被害者は重症でトリアージの黒です。現場に居合わせた医者がそう判断して、かけつけた救急隊員に加害者を先に移送するよう言いました。

刑事はその様子を見て「被害者を先に…」と言いましたが、医師は拒否しました。

医師がトリアージをしたのは医師としての適切な行為でしょう。さらに、刑事も刑事である以前に公務員であり、全体の奉仕者であるため、加害者にも公平に接する必要があると思います。ならば、医師と刑事の意見は一致するのでは。すると、(感情的には分かりますが)「被害者を先に・・・」という刑事のセリフは如何なものでしょうか。


又、先日観たTVには、新型コロナ患者が出て隔離中の船で、「病院に入院中の夫が危篤になったから会いに行かせて欲しい」と懇願する妻の話がありました。

しかし、隔離中のためか規則上はできないようです。でも、医師は上層部を説得してまわり、会いに行かせました。ナイチンゲールの話でも分かるように、敵味方の区別なく治療する医師は、患者という一部の奉仕者でしょう。

しかし、上層部にいるであろう公務員は、全体の奉仕者であるので、例外を認めるならば、全体に説明できる正当な理由を探さなければなりません。ナイチンゲールの例を持ち出すならば、公務員なら「敵兵まで治療して、元気になった敵兵が再攻撃してきて、他の住民まで犠牲になったらどうする」と、他の住民に対する奉仕(弁明)も先に考えると思います。

その上で、「危篤の夫に妻を会わせるのは人道上の配慮として適切な行為だ。万全の隔離体制をほどこして行うことは差し支えないだろう」等と結論付け、例外を認めたのだと思います。

公務員は全体を見る義務があるために、大声を上げる一部の者に感情移入しすぎる事は適切ではないと思います。これは公務員が薄情だとかではなく、視座の違いなのでしょう。


(  最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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