#ネタバレ 映画「チコと鮫」
「チコと鮫」
宝石
2003/10/29 9:06 by 未登録ユーザ さくらんぼ
( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )
中学のころに腕時計を買ってもらった。
デパートで一時間ぐらい熱心に選んで、すい込まれるような深い青の文字盤のものにした。
あの色の美しさは宝石を思わせた。
その一時間は自分探しの旅だった。
「チコと鮫」(1962伊)は、私が映画館で、おそらく初めて感動した作品だろう。
といっても子供だったので、ストーリーは全く覚えていない。ためしにインターネットで読んでも記憶がない。でも、大画面に展開した珊瑚の海の水中撮影、あの青の美しさだけは今でも目に焼きついている。
私が南の島に魅かれるようになった根っこは、あの映画に有ったのかもしれない。
大人になって本物の南の海を見に行ったけれど、それは美しかったけれど、まだ見つけられなかった。映画の感動には及ばなかった。
そればかりか、今は青の深遠には不安を感じ、鮫には恐怖を感じる。
そして、サンゴには僅かの不気味を感じるかも知れない。
あの当時は、ストーリーは理解できなかったけれど、海の中は総て美しかったのに、感動した気持ちに何の不純物もなかったのに・・。
でも、最近また美しい青を発見した。
それは映画「藍色夏恋」にあった。
主人公の少女に思いを寄せる男子高校生が、夜のプールで一人泳ぐ。
それを隠れてウットリ眺める女生徒たち。
あのとき水中照明に浮かび上がった、プールの青の輝くような美しさ。宝石のようだった。
追記
2004/1/14 18:43 by 未登録ユーザさくらんぼ
映画を観た頃、もうテレビが売られていたのかは分かりませんが、少なくともわが家にはありませんでした。私は字幕スーパーも読めない小さな子供でしたし、本屋さんでカラー印刷の海を見る事もありませんでした。近所の海水浴場は、当時でも、沖縄の海のようには澄んではいなかったと想像します。
そんな幼な心にいきなり飛び込んできた、大画面で見た、青く澄み切った南の海の水中映像は、この世の物とは思えないほどの美しさでした。まさしく初体験。
もしお店でDVDを見つけたら、欲しいけれど、観るのは怖い気がします。きっといつまでも、私は観ないように思います。宝物のような思い出の一つだから。
追記Ⅱ ( 「ロールシャッハ・テスト」 )
2019/2/4 18:02 by さくらんぼ
おじさんになってから、ふと思ったのですが、海の中は、ある意味「ロールシャッハ・テスト」なのかもしれないと思いました。
同じように、優雅な旋律の中に、ふとダークな世界が挟まっているモーツァルトもそうです。
悩み事があった時期には、それらは不安な世界でしたが、悩み事が減った時期には、美しく感じたからです。
( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)