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#ネタバレ 映画「カーマイン・ストリート・ギター」

「カーマイン・ストリート・ギター」
2018年作品
ギターショップの一週間
2019/8/14 15:56 by さくらんぼ

( 引用している他の作品も含め、私のレビューはすべて「ネタバレ」のつもりでお読みください。 )

昔、オーディオブームの頃、毎週のように電気屋さんへ冷かしに行きました。

気になる新製品が出ると、店員さんにお願いして試聴させてもらったものです。

あの頃は、LPの時代ですから、レコードで聴かせてくれました。

若造だったのに、いつも気持ち良く聴かせてくれましたよ。店員さんには今でも感謝しています。

でも、先客が試聴している時も、良かったです。

少し後ろで、ギャラリーのように参加させてもらいました。実は、これが一番気楽だったかもしれません。

そんな話を思い出したのが、この映画「カーマイン・ストリート・ギター 」でした。

アーティストたちが次々と店に訪れ、ギターを物色し、試しに演奏するのを、偶然居合わせた第三者の視点で、お気楽に眺められる映画なのです。

ギター好きにはたまらない「お散歩の収穫」的な。

NHKで「ドキュメント72時間」という番組がありますが、少し似ています。

★★★★

追記 ( 羨ましい仕事 ) 
2019/8/14 16:23 by さくらんぼ

>パソコンも携帯も持たない職人リック・ケリーと見習い店員シンディ、そしてリックの母親の3人によって運営されている“カーマイン・ストリート・ギター“。さまざまな建物のヴィンテージ廃材を使い、世界でただひとつのギターを生み出すこの店の魅力に迫る。 (ぴあ映画生活「あらすじ」より)

おじさん職人のリックさんは、ネットとは無縁の生活をしているようです。私より、おじさんらしい、おじさんですね。

苦労して、独学でギター職人になったリックさんには、5年前に後継者が出来ました。いかにもロッカー風な25歳の美女・シンディさんです。当然彼女はネットにも出入りしており、新作ギターをUPすることに余念がありません。

普段、シンディさんは半田ごてのような道具を使い、ギターに絵や文字を書く担当をしているようです。

私は羨ましいと思いました。

本当はあんな仕事がしたかったのです。

若い頃は、「民芸品」を作る職人になりたいと、漠然と思っていた時期もありますが、「ギター職人」は、それを思いださせてくれました。

何と素晴らしい、ワクワクするような仕事なのでしょう。

追記Ⅱ ( ある日のシンディさん ) 
2019/8/14 16:44 by さくらんぼ

シンディさんは正統的なお弟子さんですが、客の中には、単なる店番だと思う人もいるようです。

ケースに入ったギターを持ち込む客がいて、シンディさんが(ブランド名を聞こうとして)「何ですか?」と尋ねると、「ギターだよ!」と答える客もいたとか。

そんな時シンディさんは、「そうなんだ、私、何も知らないから、ごめんなさ~い」風に答えるそうです。

追記Ⅲ ( 人生が、街の歴史が、聴こえる ) 
2019/8/15 21:30 by さくらんぼ

ステレオの、特にスピーカーには、エージングが必要です。新品のそれは、糊の付いたカッターシャツみたいに、ゴワゴワした音が出がちですから。

それを何か月も、何年も使いこんで、滑らかな音にしていくのです。

今私が使っているスピーカーは頑固者で、新品で買って2~3年になりますが、やっと最近、鑑賞に堪える音に近づいてきました。でも、まだ道半ば。

ところで、強制的にエージングするには、外出するときも(近所迷惑にならない程度の音量で)音楽を流しておく方法があります。

その時のメニューは、私なら、エネルギーの激しいロックが最適だと思います。普段聴くような、静かな小品よりも。

エージング専用のCDもあります。使ったことはありませんので、どんな音が入っているのかは知りませんが(オルゴールの鋭く立ち上がる高音が入ったものもあるとか、噂話は聞いたこともあります)。

以前、友人がジャズ用の中古スピーカーを買い、「モーツァルトが意外に良く鳴るから、前のオーナーはクラシックファンだ」と言ったことがあります。確かに、「好みの音楽をかけてエージングするのが効果的だ」という説もあります。

要するに、私が知らないだけかもしれませんが、エージング用のソースには、①エネルギーの大きなものを最善とするのか、②エネルギーは小さくとも、好みの音楽を最善とするのか議論が分かれているのです。

そんな折、この映画「カーマイン・ストリート・ギター」にも、同類のエピソードが出てきました。

この映画に登場するギターは、建築廃材などを再利用していますが、その素材の音が(微振動により電気信号にフィードバックされ)ギターの音に混じってくるのです。古い建物を壊したときに出る木材からは、その建物の、街の歴史が聴こえるわけです。

それから、アーティスト名は忘れましたが、往年の、ある著名なクラシックの演奏家が亡くなったあと、彼が愛用していた楽器は、生前の十八番が一番良く鳴った、とのエピソードが語られていました。

①が正解なのか、②なのか。そんなことをぼんやりと考えながら、今夜は、ビリー・バウアーの「Plectrist」を聴いています。

追記Ⅳ ( 不動産業者は名前まで画面に ) 
2019/8/16 9:14 by さくらんぼ

>シンディさんは正統的なお弟子さんですが、客の中には、単なる店番だと思う人もいるようです。(追記Ⅱより)

不動産業者がお店を訪れ、店主のリックさんに名刺を渡すシーンがあります。

リックさんは「はい」と受け取りましたが、下を向いて仕事を続け、相手にしません。取り付く島もない不動産業者は、(心なしか苦笑いの混じった)営業スマイルのまま、「 … Have a nice day!」と言って、早々に出ていきました。

なぜリックさんはそうだったのか(客に対する愛想の良い態度とはまったく違います)。

それは、街の古いビルが、再開発で次々と取り壊されているからです。

他所のビルが壊されるのは廃材を入手できるから良いのですが、自分のお店が入っているビルまで壊されては困るのからでしょう。リックさんは心の片隅では、それを心配していたようです。

実は、このエピソードと、シンディさんの打ち明け話は、関連付けられているように思います。

シンディさんの話は、もっとハッキリ言うと、女性差別をする客もいるという話です。

そして両者は、「価値を知らない人がいる」という点で同じなのです。

追記Ⅴ ( みこと さん ) 
2019/8/18 9:20 by さくらんぼ

彼女は歌も歌う小学生シンガーソングライターです。

今朝のラジオにゲストとして出演していました。

「 【11才・女子が弾くソロギター・耳コピ5時間修行】青い珊瑚礁 松田聖子 【みこと耳コピ修行#22】 」

追記Ⅵ ( みこと さん ② ) 
2019/8/18 21:46 by さくらんぼ

夢を見ているようです。

「 やさしさに包まれたなら k.Yairi ソロギター 6才 D3200で撮りました。」

追記Ⅶ ( 柔らかな音 ) 
2019/8/23 18:21 by さくらんぼ

ピアニスト・田部京子さんの弾くピアノの音は、とても柔らかく感じます。

ところで、6歳の、みことさんの弾かれるギター。

6歳の方が弾かれるという事は大変な驚きですが、それと同時に、幼くて、たぶん指の力がまだ弱かったのでしょう。それが幸いしたのか、みことさんのギターの音の、なんと柔らかいこと。

天使が演奏するハープも、きっとあんな音がしていたのではないでしょうか。


( 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
更新されたときは「今週までのパレット」でお知らせします。)


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