本文二色刷り【同人誌】
同人誌の覚え書きのような、あとがきのようなものシリーズ第3弾です。
6冊目です。今回もサイドで色々作りすぎてハチャメチャになっています。
概要
個人同人誌6冊目です。
ハズビンホテルのハスクとエンジェルの同人誌です。
本文が黒と金の二色刷りになっています。32ページです。
作った経緯
この本も5冊目と同じく「推している作家さんの本を確実に手に入れるためにイベントにサークル入場したくて作った本」です。(今回もちゃんと推し作家さんの本を買えました!マジで良かった。最高本過ぎた。サークル入場という特権を得るために本を作っている。)
せっかくなので何か面白いギミックをねじ込めないかな~と考えながら作業を進め、下描きに入ったあたりで「ベルがモチーフの話だから、金属っぽいメタルインクを使った二色刷りにしよう」と決まりました。
仕様
タイトル 「ベルが鳴る ネコが鳴く」
今回のお話は、「People1」の「鈴々」という歌から作りました。
MVの2人もどことなくハスクとエンジェルっぽくてかわいいです。車内のダンスを2人に踊って欲しいです。
タイトルの意味は、序盤は「ベルが鳴る ネコが鳴く=所有物であることを思い出させるヴァルのベルの音に苦しむエンジェル(ネコ)」ですが、中盤以降「ベルが鳴る ネコが鳴く=助けを求めるエンジェルの心の非常ベルの音に応えるハスク(猫)」へと変わります。
前回に引き続き、ロゴデザイン/表紙デザインをデザイナーのniruさん(Twitter:@siro___snow)にお願いしています。何度も言いますがマジで最高天才デザイナーさんなんですよ……
ロゴにベルの要素と本文の要素を入れて頂いたんですが、niruさん曰く4話のポイズンからのルザベビから着想を得て
「本心を隠す」
↓
「ロゴを隠す」
↓
「隠した先にハスクの寄り添う羽がある」
になったとのことです。天才すぎる。
表紙はヴィンテージ感のある大人っぽいデザインにして頂きました!niruさん、本当にどんなデザインにも対応してくださる……!ありがたすぎます。
原稿戦士の発狂をいつも笑顔で聞き流してくださっています。
内容
前述したようにモチーフにしている曲が「ベル」について歌っているので、その要素を入れました。
で、私、実は「フロントマンのハスク」にめちゃくちゃ萌えてて……あの飲んだくれのおっさんが客の対応を一任されてると思うと満面の笑みになってしまう。気が狂いそうだ。
フロントといえばカウンターベルかなと思ったので、それを軸に物語を組み立てていきました。
カウンターベルは「誰かを呼ぶ」役割があります。ベル自体が動かないという前提で作られています。
これに対して愛玩動物の首輪につけるベルは「居場所を把握させる」ことを目的としているため、ベル自体が動く前提で作られています。
バー/フロントという定位置が決まっているハスクをカウンターベルに、仕事に遊びにと活動的なエンジェルを首輪のベルになぞらえています。
強かに生きて来たから助けを求める(ベルを鳴らす)ことに慣れていないエンジェルと、誰かの期待に応えて出向く(鳴く)ことがすっかり億劫になってしまったハスクが半歩踏み出すお話です。
自分のどうしようもない所を認めた上で横に座り込んでくれる。お前も負け犬仲間だと差し出された手を取って、ああ俺もお前もなんてクソなんだろうなと踊る。そんな自分たちが一緒にいれたら、ちょこっと前向きになれそうだねと笑い合う。そんな原作の二人はかっこよくて、本当に輝いて見えました。
Loser,Baby、本当に本当に大好きな歌とアニメーションです。
負け犬で飼い猫でも、負け犬で飼い猫だから、私の大好きな二人はとてつもなく強くて魅力的で大好きだという気持ちを本にしました。
構成
構成としては『ドン底の気分のエンジェルが思い出を糧に空を見上げ、ハスクの存在に少し引き上げられるけれど、最後は自力でホテルの頂上まで登った後、自らの意思でトラストフォールして落っこちてくる』という感じです。
ここからは私の願望が入ってしまうのですが、もしエンジェルがサーペンシスと同じように天国に行ったとしても彼には天国よりも地獄の方が似合ってるんじゃないかと思っています。「水清ければ魚棲まず(綺麗すぎる水に魚は住めない)」的な。
更生を目的とするこのホテルのオーナーであるチャーリーは作中「自分で選択する事が大事だ」と言っています。今は有無を言わさず地獄に振り分けられているけれど、天国と地獄を比較して自ら地獄を選ぶ人だっているんじゃないかな。自分で選んだ世界なら、きっとちょっとは楽しく生きていけるんじゃないかな。死んでるけど。
チャーリーみたいな素敵な考え方の人もいるし、「同意」という名前のセックスクラブもあるし、一概に地獄が最も悪い所であるとも思えないのです。
そりゃあ美しく整頓された場所(天国)ではそうそう嫌なことは起こらないです。ただ、そんな世界のためには規範や気遣い、その他いろいろなものが必要かつ犠牲になっていくと思います。そこで暮らしやすい人も居れば、暮らしにくい人もいる。これを自分の意思で選べたらいい。
チャーリーの「選択」を大事にしたいという意思は今後そういう事にも関わって来るのかなと思っています。
そんな訳で上を天国、下を地獄に見立て、自らの意思でエンジェルが地獄に落ちてきてくれたらいいなという思いを構成に込めました。
あと新装開店ホテル、左がハスクモチーフで右が(多分)エンジェルモチーフなんじゃないかと思っていて。HAZBIN HOTELあるいはHUSKERDUST HOTEL、っつってね。エンジェルが天国行っちゃったらホテル改装しなきゃいけないじゃん。こっちにいなよ。
金インク
せっかくメタルインクを使うので特性を活かして色々実験してみました。
私が読みてえもの・私がやりてえことを試すために同人誌を作っているところ、大いにあります。
印刷はホープツーワンさんです。金インクのメタル感が強いのに両面印刷にも対応して下さっている、すごい印刷所さんです。(記事の最後に印刷所のリンクを貼っています。)
1.半不透明性
金インクの半不透明な特性を活かして「ほんのり読める仕掛け」というのを組み込んでみました。
せっかく本を刷るのならここでしか体験することのできないギミックが欲しかったので、下地が透けて見える特性を活用出来るよう色々試してみました。
メタルインクは光を反射する為かなり見えにくくなる角度もあり、疑似レンチキュラー的な効果も出せました。
2.光沢
メタルインクの光を反射する特性を使ったギミックも仕込んでみました。光を受けて輝くと紙の白よりも明るくなるため、印象的な文をより目立たせてくれます。
3.混色
金インクは半不透明インクなので、透明インクとは違った混色具合になります。
これがまた厄介だけど奥が深くて……特に黒の上に載せた時にブロンズのような落ち着いた色味と輝きになるのが面白くて!ハスクの眉毛の部分など色合いに深みを出したいときに使いました。
オマケページも、黒インクの版と金インクの版でまったく同じ絵柄を刷ることで茶色っぽい色にする事が出来ました!本編との差別化が出来て嬉しかったです。
他バージョン
仕様変更版
印刷所を変えた仕様変更版も制作しました。今回は特殊インクでの二色刷りのため、どうしても結構な金額がかかってしまいます。会場でどのくらいの人が手に取ってくれるかは分からないけれど、スペースに来てくれた人には確実に本をお渡ししたい(前回の本は会場分が売り切れてしまい、スペースでお渡しできなかった方がいてすごく悔しかったので)。でもそんなに金は無え。
なので、数が分らなかったイベント会場分は仕様変更版で補うことにしました。
仕様変更版を頼んだ栄光印刷さんの金インクは透明度が高く、白の上に乗せると綺麗に輝き、黒の上に乗せるとうっすら図面が浮かび上がってくるのが印象的でした。
透明度が高い分だけ、金インクの章で触れた「1.半不透明性・3.混色」を活かしたギミックの効果は薄れてしまいましたが「2.光沢」の部分ではホープ21さんの透明度の低いインクに負けない輝きで画面を彩ってくれました。
更に、黒ベタ+栄光印刷の金インクではホープ21のインクとはまた違ったギミックに活用出来て面白かったです。
ラストのページのイラストなのですが、黒の上に金で絵柄を刷ると本当に本当にうっっっすらと絵が浮かんで見える表現になりました。感想で「隠し要素みたい!」と楽しんでいただけていて、嬉しかったです。
あと、栄光印刷さんでは使いたかったパール箔の箔押しが出来ました!マットPP+箔押しをしてみたかったので……牛乳っぽいきらめきが表現できて良かったです。(こちらも記事の最後に印刷所のリンクを貼っています。)
仕様変更版の通販はこちらから↓
オマケ
今回のオマケは一色刷りです。インクのキラキラを気にせず、ストーリーに集中したい人用です。
あと、老眼鏡をかけたハスクの差分が見たい人用です。要は私が見たかったので作りました。
こちらは完全に趣味の悪ノリで作ったため、通販は無いです。
印刷はちょ古っ都印刷工房さんです。(記事の最後に印刷所のリンクを貼っています。)
反省
チラ見えしていた通常版と仕様変更版とオマケの表紙を見て「おっと……?」と思った方もいらっしゃると思うんですが……イベント当日の卓上なんですけど……はい……
サイゼの間違い探しになっていました。混乱させてしまって本当にすみません。
終わりに
「魅せる(注目させる)」と「隠す」に特化した同人誌になりました。ギラギラなインクの下に隠された本音は、本を手に取った人にしか分からない。ハスクとエンジェルっぽい同人誌になったんじゃないかなと大満足しています。
毎度毎度、大満足出来る同人誌しか作れないんじゃないかと自分で自分が怖くなります。ごめんなさいね、私が有能なばっかりに……
今回の本はこちらから全文読めます。↓
感想はこちらまで↓
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本の詳細
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