『ことば』という観点から読むシャニマス~第1部『改行』編~
こんにちは。青雪です。
今回はシャニマスの『ことば』に注目し、考察していく記事です。
ちなみに何の結論も出ないと思いますが、アホみたいに長くなったうえにやろうと思えば何万字でも書ける題材なので数回に分けます。
そういう視点もあるのね、と暖かく見守ってくれる人向けの記事です。
なお、3章以降各種コミュの台詞やタイトルを記載します。シナリオ的なネタバレは無いように気を付けますが、SSRコミュのタイトルもネタバレと捉える方はご注意ください。
【0章】 そもそも『ことば』に注目する理由
いきなり『ことば』と書かれても何のことやら、とお思いかもしれませんので説明します。
私は大学時代に言語学、それも日本語を専門とする言語学を専攻していました。様々な文章や口から発せられる日本語すべてが研究対象という、身近でありながら非常にニッチで、就職先の少ない学問です。
そんなものを第一志望に掲げる人間ですから、学生時代から長い時間が経った今でも様々な文章や発音などに他の人よりも強い関心を持っています。
というわけで、がっつりハマってしまっているシャニマスの『ことば』を見つめなおしてみようと思います。なお、あくまでも四年制の間での専攻なので言語学的見地などという高尚なものではなく、またそんな論説をできるだけの知識もありません。
【1章】 『ことば』の何に注目するのか
言語というものは色々と考察・検証できる観点があります。実際に注目するかは置いといて、まずは観点を羅列してみます。
【コミュ内で表現されることば】
・台詞
→アイドル・プロデューサー等が実際に作中で発したことば
・モノローグ
→アイドル・プロデューサー等が心の中で表現したことば
・その他台詞枠を使用して表記されたことば
→シャニマスにおいてはほとんど(全く?)使用されていない
一般的には「バタンッ」など音を表現したり、
看板などの文字を表現する地の文的な役割のことば
シャニマスではSE等の音を使って表現している事が多い
【コミュ外で表現されることば】
・お知らせ
・ガシャのポエム
・衣装のポエム
・グレフェス控室など「アイドルのことば」として表現されるもの
・歌詞
大別して『コミュ内』と『コミュ外』があると考えています。
このうち、『コミュ外』については一部を除き、アイドルやプロデューサーという作品内のキャラクター性の考察とは結び付かない、または結びつきが弱いものがほとんどです。
「アイドル自身が発したことば」として表現されているものは考察の余地がありますが、まずは優先度を落とします。つまり、「コミュ内で表現されることば」をまずは考察していくのが妥当でしょう。
当たり前の前提に落ち着いてしまいましたが、スタート地点を間違うと抜け落ちる要素があるかもしれませんので少しずつ進めます。
【2章】 コミュの心情ではなく『ことば』に注目する
アイドル達やプロデューサーについては先人達が素晴らしい考察の数々を残してくれています。私もそれらを読むのが大好きです。
ただ、私はアイドル達をそこまで深く理解できている自信がまだなく、それ以前にシャニマス君の文章について気になる点がいくつかある状態です。
そこで、この記事では通常の考察とは視点を変えて『ことば』そのものに注目します。シャニマスというコンテンツの『ことば』を理解することは、コンテンツそのものを理解することに繋がるはずです。
※ここから「早く考察に入れよ」とお思いの方々が絶句するのが目に浮かぶほど細かい考察が始まります。ご了承ください。
【3章】 改行に注目する
まずは台詞類における改行に注目します。
いきなり『ことば』じゃないじゃん!と思いますか?
私も最後まで書いてそう思いました。でも続けます。
透の2つの発言ではそれぞれ、「貯金」「老後」の前に改行が入っていますね。これ、なぜ改行なんでしょうか。
「しなきゃ、貯金」という表記でも全く問題が無いように思えます。
実際に、上記の通り「真似じゃん、私の」という記載がなされるパターンもあります。つまり、表記ルールとして改行を使用しているわけではないということです。
ここで一度、透を離れて別の台詞を見てみます。
は?
この2種類の台詞は「んふふ~」から始まり「プロデューサー」で終わる非常に近い形式の文章ですが、改行位置(+読点の位置)が違いますね。
同じカード内のコミュ同士でもあり、これには必ず意味があります(無かったらこの考察終わりです)。
あえて違う表記をする意図として考えられるのは下記の2つでしょうか。
理由案その1:文章として強調したいポイントが違う
理由案その2:文章としてより読みやすい形式を選択した
特に下の文章が(ボイス的にも)良い感じの台詞なので、まずはこちらを表現上あり得るパターンでそれぞれ記載してみます。
全パターン記載してわかることは
・パターン①は読点が2回入り、文章が細切れに感じる
・パターン②は改行後に「プロデューサー」という単語だけになり
感謝の心情描写が乏しくなる
・パターン③は上記2つのどちらも起きない
ということです。「プロデューサー!」と意志を持って強く呼びかける表記の場合は改行後に単体で記載しても心情が読み取りやすいですね。
つまり
理由案その2:文章としてより読みやすい形式を選択した
こちらが改行位置が違うことの理由のひとつかと思われます。
ちなみに、もうひとつ挙げた例についても
パターン③の場合、「んふふ~」が浮いてしまうことを避けたのではないかと考えます。
どちらの例も、"!"の付け方や位置、"…"の追加などでも解消するのですが、そここそがライターさんの描写の要点でもありますので、本文そのものを改変するパターンは割愛します。
逆に言えば文章を読みやすく、伝わりやすくする表記方法のひとつとして「改行」が使われているというのがシャニマスの特徴のひとつだ、と考えることができます。
この文章を書く上で何度も恋鐘の「んふふ~」を聞きました。かわいい。
第1部のおわりに
予想よりも長くなった上にまだ改行についてしか考察できていませんが、今回はここまでにしたいと思います。
次も表記上の疑問点に突っ込みです。言語学の知識を全く活かしてねえ!!
次回は「シャニマスくんの句点の使い方がよくわからない」編です。
それでは今回はこの辺で。
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