『ことば』という観点から読むシャニマス~第3部『浅倉透の感動詞』編~
明けましておめでとうございます。青雪です。
新年の運試しで未所持の限定pSSRを引いて大喜びしていたら、小糸ちゃんが270連まで来てくれませんでした。凛世は天井までいませんでした(専用セレチケ)。
今回もシャニマスの『ことば』に注目して、ニッチに振り切った考察をしていきます。「なんで?」という方は第1部をお読み頂ければと思いますが、別に読まなくても平気です。
改行だの句点だのと、『ことば』の考察と言っていいのかと疑われる題材を扱ってきましたが、今回は『ことば』である感動詞を考察しますよ!
※今回もSSRやイベントコミュのスクショ、タイトルを表記します。特にプロデュースコミュに言及しますので、台詞のネタバレ等が苦手な方はご注意ください。
【第1章】 まずは『感動詞』をおさらい
いきなりWikiのリンクを貼ります。
間投詞、感嘆詞、嘆詞などとも呼ばれるようですね。私は「感嘆詞」の認識でした。それぞれが完全に同じ意味を指すのか、わずかにでも意味が異なるのかという点も非常に気になるのですが、趣旨に外れますので割愛します。
感動詞とは感動の際に発せられたり、掛け声や応答の際に口から発せられたりすることばの総称を指します。随分ぼんやりした範囲ですが、要はきっちりした文語体(体系だった文)では扱われないものの、日常では口にされることばを広くまとめたものが感動詞と考えてよいです。
シャニマスはアイドル・プロデューサーなどの作中人物の自然な会話が魅力的なコンテンツです。必然的に、会話の中で感動詞もよく出現します。
その中でもちょっと尋常じゃないくらい感動詞、というか感嘆の表現が多い人物、浅倉透の感動詞について考えていきます。
なお、第2部以降では感動詞の中でも「感嘆」を表現する際のことばとして「感嘆詞」という表現を用います。場合によっては違和感を覚える方がいるかもしれませんが、ご了承ください。
【第2章】 浅倉透、感嘆詞とそれ以外が1:1
コミュを見たことがあればわかると思いますが、浅倉透はもうホントびっくりするくらい感嘆詞が多いです。
特に多いのが上記の「あー……」です。回数を数えるのも馬鹿らしいほど、透にはこの発言が多いですね。また、「えー……」や「おー」など、頻出する感嘆詞の種類が多いことも特徴です。
この「感嘆詞が多い」ことから浅倉透というキャラクター性をどう読み解くべきかを考えます。なお、ここからは表現の解釈という領域なので、あくまでも私の見解として読んで頂ければと思います。
【第3章】 感動詞が表現するもの
第1章でも書いた通り感嘆を含む感動詞は基本的に口語でのみ使われるものであり、その多くは「つい口から発せられるもの」です。
私自身が使うことがある(最近発言した覚えがある)感嘆詞を例にすると
といったところでしょうか。感嘆を一切含まない日常会話とは意外と難しいものです。当然ながらシャニマスの登場人物全体から見ても、感嘆詞はよく出現します。
他にも口癖レベルで感嘆を表現しているアイドル、「ははっ」が多いプロデューサーなど、感嘆詞はあちこちで表現されています。
その中でなぜ透に注目するのか。それは
「感動詞から感情が読み取れない、または読み取りにくいことが多い」
という理由によります。
表現として感嘆詞を用いる場合、「単独で感情を表現する」もしくは「その前後から感情を(明確に)読み取ることができる」のが普通です。理由は簡単で、「感情を表現するために感嘆詞を使っているから」です。つまり「感嘆詞を使うのに感情が表現できてない」ことは、普通は考えられないのです。
普通は。
何なんすかねこれ。
透の「んー」は、
明確な答えを持っていないが、回答を求められたから発言した
とも取れるし
一応の答えはあるが口にしたくなかった(出来なかった)ため濁した
とも取れます(他の解釈もあるかも)。
上記のように浅倉透の感嘆は、受け手に解釈を委ねる形で表現される例が非常に多いと感じています。これに「モノローグにて心情を表現しない」という特徴が組み合わせることで、掴みどころの無さが表現されているのだと思っているのですが、いかがでしょうか。
ちなみにモノローグをほぼ使用しない(少なくとも知る限り)人物としては他に芹沢あさひ、幽谷霧子などが該当します。特に霧子はあまり積極的に喋るタイプでもなく、類似する要素が多いです。
それでも霧子と透の掴みどころの無さには明確に違いがあります。霧子は「(独特な表現を用いたとしても)ことばにする」に対し、透は「ことばで表現しなくても伝わる(だろう)という意識を持っている」という点です。
この点、透のWING編をプロデュースしたことがある方はお分かりかと思いますが、明確に上記の意識によるすれ違いがコミュで描かれていますね。この「伝える」「伝わる」というのは、透だけでなくノクチル全体のテーマのひとつでは無いかと考えています。
【第4章】 ノクチルという範囲で考えてみる
透以外のメンバーでも、WING編やイベント「天塵」で、それぞれ下記のような「伝えない」「表現しない」ことによるすれ違いが描写されます。
・樋口円香の、彼女が隠そうとする(恐らく不安等の)気持ち
・福丸小糸の、両親へ伝えられない「やりたい」気持ち
・市川雛菜の、「周囲に理解されること」への諦めに似た無関心
これらは全て「他者と理解し合う」ことに対して消極的だったり、うまくいかないという描写と取ることができます。そしてその多くは、逆説的に「4人の間であれば理解し合えている」ことを補強するものです。
今までの透にとってこれらは感情が伝わる表現だったのです(少なくとも、スカウト前までは)。透に限らずですが、普通の高校生の世界はあまり広くありませんから、これで問題はありませんでした。
しかしアイドルとして一気に交流する人間が増えた結果、幼なじみには伝わっていたはずのことばが、他者に伝わらない場面が増えました。
透WING編の「ていうか、思い込んでた」というコミュは、その最たる場面であり、透本人がはじめてこの問題に気づいた場面でもあります。
【第5章】 なぜ「日誌」だったのか
では、これから先の透は、そして「感嘆」はどうなっていくのか。
透WING編での重要なアイテムである「日誌」が、この先の変化を考えるうえで重要なものである、と私は考えています。理由は第1部で説明した「文語体(体系だった文)では扱われないもの」という感動詞の特性にあります。
日誌における透の文章はあまり例が多くないものの、少なくとも文体の中で透が感嘆を表現している描写はありません。まあ普通書きませんよね、特に仕事で書かされている日誌に「えっと……」なんて。
これは単にプロデューサーとの業務日誌なだけでなく、"察してもらうこと"から脱却する象徴と捉えてもよいのではないでしょうか。実際に、WINGコミュ「ちゃんとやるから」では日誌や自分のことばでプロデューサーに伝えようとする透の姿が描かれます。
その結果、この強烈なパンチでPの情緒を直接殴るアイドルが生まれるわけです。
口癖の部分もあるでしょうし、もっと言うならキャラクター性の特徴として感情表現が乏しい描写は今後もあり続けるでしょう。
それでも、WING編での透の成長とは「"ことばで伝えることの必要性"に対する自覚」ですし、今後ノクチルや透がよりアイドルとして羽ばたく際には感嘆でない「ことば」が増えるのではないかと思います。
確認とスクショのために改めてコミュを見ましたが凄まじい破壊力でした。みんなもう一度このコミュ見て。未見の人はすぐに透WINGやって。
第3部の終わりに
今回も思いのほかに長くなりました。挙句に記事作成が年をまたいだ結果「海へ出るつもりじゃなかったし」が来てしまった(り、小糸ちゃんが引けなかったりした)ことで、時間がかかってしまいました。
「海へ出るつもりじゃなかったし」は、"幼なじみ4人の集まり"ではなく"アイドルユニットのノクチル"がようやく動き出しそうな予兆を感じるものでした。ぜひ読んでほしいです。今日でイベント最終日、というかあと数時間ですけども。
次回のテーマはまだ決めてません。今回ノクチルからテーマを拾ったので、他のユニットで興味を惹かれるテーマを探すつもりではいますが。ただその前に一度シンデレラガールズの新春ライブ「Happy New Yell!!!」についての感想を書くと思います。良いライブでしたね。
それでは今回はこの辺で。
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