「dpi」という概念 2/3 CMYKとRGB
さて、ここまでがキチンと理解できたならば、あなたはデジタルイメージングの基本に大きく一歩踏み出したことになる。では次にCMYKとRGBについて。
CMYKというのは、印刷など、「インクや絵の具などの混色」の概念である。つまり、黄色のインクと青のインクを混ぜれば緑色になる、という理屈だ。混ぜればまぜる程色は濁り、暗くなってゆく。C=シアン、空色。M=マゼンダ、濃い赤紫。Y=イエロー、黄色。K=ブラック、黒。
この4種類のインクの掛け合わせで、かなりいろいろな色が再現できる。無論、「メッチャあざやかなブルー」とか「目のさめるようなエメラルドグリーン」なんてのは再現できないから、「特色」といってそれ専用のインクを使う。
それから、「掛け合わせ」とは「インクを混ぜ合わせる」ことではない。カラーの印刷物を虫眼鏡で拡大して見ると、細かな色の点々で構成されている。そしてそれはCMYKの色の組み合わせの筈だ。現在の所、カラー印刷はCMYKをドットパターンにして同じ紙面に四度印刷し、結果フルカラーに見せかけた印刷をしている。
それに対し、RGBは「光の混色」の概念である。すなわちR=レッド、G=グリーン、B=ブルー。光の混色は、混ぜればまぜる程明るく(白に近く)なっていくという、CMYKとは反対の性質を持っている。ちなみにパソコンモニターの白に見えている部分を虫眼鏡で見ると、R、G、Bの光の点で構成されていることが分かる。
つまりCMYKもRGBも人間の目の錯覚を利用したカラーシステムなのである。ではなぜ、印刷屋でもないのにRGBとCMYKの概念を理解しないといけないか。何故ならこれを理解しないと、画像の原理が理解できないからだ。
RGBとは、光の混色、パソコンモニターやテレビなど、「自ら光を発しているか、光を透過しているものの色」である。CMYKとは印刷物など「いったん光がそれにあたり、反射して見える色」である。
スキャンする画像の多くは印刷物や写真だろう。これは専門用語で「反射原稿」という。文字どおり光を当て、反射した色をスキャンするからそう呼ばれる。ネガフィルムは裏から光を当て、透過した光をスキャンするので「透過原稿」と呼ぶ。
ところが、このふたつ、さっき言ったとおり混色の原理が異なるために完全に一対一では置き換えられないのだ。つまり「印刷で表現できる色のほとんどはパソコンのディスプレイで表示できるが、パソコンのディスプレイでしか表示できない色というのが結構ある」ということなのである。
「パソコンディスプレイでは物凄く鮮やかな画像なのにプリントアウトするとやけにくすんでいる」というのが顕著な例だ。印刷と原理は違うが、カラープリンタもCMYKの掛け合わせで混色をしていることに変わりない。つまり、原色として持っている有彩色は空色、赤紫、黄色の三色だけで、全てその混色で作るわけだ。反射色の混色は必ず濁る。緑、紺、赤といった原色もそれぞれCとY、CとM、MとYという掛け合わせで表現するため、ある程度濁ってしまうのである。これを補正するのはDTP屋のテクニックだが、何が言いたいのかというと、逆もまた真なり。つまり反射原稿をスキャンした場合、これを撮りっぱなしで使用すると汚いですよ、ということなのだ。
これで解像度、RGBとCMYKについての基本概念はおよそ理解していただけるのではないかと思う。
つづく