「dpi」という概念 3/3 画像加工のTips
画像加工のTips 1998年(昔メモ)
では、今から画像をどう補正するかについて話をします。
1. 画像を印刷物からスキャンする場合
まず、画像加工のTipsの基本。スキャンする時、まず自分がスキャンしようとしているのが何かを知る。これが基本です。写真か、印刷物か。あるいは、カラープリンタで出力したものか。それによってスキャンの設定が変わります。
・印刷物の場合、あまり解像度を上げてスキャンすると網点までそっくりスキャンしますから、やや低めにスキャンしたほうがキレイです。
・写真の場合、もともと解像度が高いから少々解像度をあげてスキャンして、小さな部分を拡大して使うと言うことも可能です。
解像度の設定ですが、原寸で使う場合だと(取り込む原稿の大きさと、画面上で見る大きさがほぼ同じ場合だと)画面で見るため(ウエヴデザインのため)だけだったら150dpiもあれば十分、プリントアウトする予定があれば300dpiくらいで取っておきましょう。原稿が印刷物であれば、これよりやや低めだからそれぞれ100dpi、200dpiくらいでいいです。
で、印刷物の場合は取り込んだ画像にいったん「ぼかし」をかけます。これは、アンドウを繰り返してパラメーターを何度か替え、一番適当と思えるぐらいに設定する必要がありますが、コツは、「画面を最大に拡大して見た時、元々の印刷のアミが辛うじてわからなくなる」ぐらいが目安でしょう。そのあとでシャープをかけます。このとき、「モアレ」といって幾何学模様のようなものが画面一杯(または一部分)にでることがあります。これは印刷物に特有の現象ですが、大概はその場限りで消えます。(一旦別名保存して開き直してください)画面でだけ見えるモアレというものもあります。(拡大・縮小すると消えてしまうけど)万一消えないときは、画像解像度をやや低くしてみてください。たいてい消えるはずです。原稿が大きければ大きい程、使用サイズは縮小することになります。従って入力するときの解像度も低くして構いません。原稿が2倍の大きさだったら、解像度も半分。これを目安にしてください。
それから。ホームページに画像を張り付けるときは、必ず「実寸」で張ってHTML側でサイズを変倍しないでください。(すっごく汚く見えます)サイズの変更は、あくまで画像加工ツール側で!
それと画像の大きさはすべてピクセル数で考えます。(インターネットの世界は72dpi画一で、解像度の概念はない)
2.階調補正
階調、とは、「画面の明るさを、ディスプレイが表示できる一番暗いところから明るいところまでを段階に分けて表示する」という意味です。で、このレンジを一杯一杯使ったほうがより豊かな表現が出来ます。ということは、暗い部分はより暗く(真っ黒に潰れないくらいにね)明るいところはより明るく(明るくし過ぎて、真っ白な部分と見分けがつかなくなってしまう
ことをとぶ、といいます。これもダメ)補正するわけですね。こうすることによってメリハリのある画像に補正します。
3.鮮やかさを調整
紙からスキャンした原稿は、どうしても色が鈍いです。(これはCMYKとRGBの違いのとき、少し話しましたね)というわけで、気持ち鮮やかに補正してやります。特に空や海の鮮やかな青はどうしても取り込めず、濁った空色や濁った紺のようになります。こういう場合は、Rを控えめに、BとGを多めに設定してみてください。あ、でもあまり極端にやると後悔します。
4.色カブリの補正
その写真の中で、グレーだと思われるところ(アスファルトやコンクリート、髪の毛や影など、あまり色彩のないと思われる部分)の色成分を見てみます。何パーセントくらいでも構いませんがR、G、Bそれぞれの成分がだいたい同じぐらい入っている(グレーになっている)のが正しい状態です。特定の色だけ多く含まれているということは、その色が「かぶっている」ということになり、ややその色を控えてやる必要があります。
6.グラデーションがシマになる
緩やかなグラデーションが広範囲に広がる場合はそのグラデーションが縞状の帯になってしまうことがあります(気圧配置図みたいに)これは精度の低いスキャナーの場合よく起こる現象ですが、そこそこのスキャナーでも起こる場合があります。もしも256色と数万色が切り替えられるタイプのスキャナなら、色数を増やしてみてください。それからこれは原始的な方法ですが、取り込む際にいったん原稿の角度を変えてスキャンしてみて、同じになるようだったら思いっきり解像度を上げてスキャンし、取り込んでから
ぼかしをかけてゆくといい場合がありました。
7.迷ったら時間を置く
画像と言うのは、いじくっているうちに何がいいのか分らなくなってしまいます。一枚の画像にあまり何度も補正をかけないこと。それと、どっちがいいか迷った場合は、人の意見を聞いたり、いったん別の作業をして目を変えたりしないと適正な判断力を無くします。
8.小さな世界にとらわれるな
作業を進めていくうち、「いま自分が加工しているのは最終的にどのくらいの大きさになって、どの程度重要な意味をもっているのか」を忘れてしまって、わずか数十ピクセル四方のバナーを作るのにムキになっている場合があります。無論本職のデザイナーやカメラマンならそれもアリですが、「こだわることに夢中になってなんのためにこだわっているのか忘れて」しまったのでは、時間のムダです。
9.自然がイチバン!
画像と言うのは、いじろうと思えばいくらでもいじれるんだけれど、人間の目ってたいしたもので、「これは美しいかどうか」よりも「自然か不自然か」っていうのを先に判断しちゃうんですね。テクニックに溺れて加工しすぎると、嘘臭い画像になってしまうから、気をつけて下さいね。
10.最後は好みと周囲の調和。
画像加工については、「これが正解だ」「こうでなくてはならない」という「絶対」はありません。要は「周囲と調和がとれて全体的に美しいか」「この画像の一番伝えたいことは伝わってくるか」「欠けてはならない要素が欠けていないか」「わかりやすいか」ということが一番大切なんです。画像単体だけをみるのではなく、その画像が置かれる「全体」を見て判断してください。