原価は一つではないという事実
こんにちは。会計士の青山です。
正しい原価はあるのかが御題
今回は、原価について書いていきます。原価のテーマもいろいろありますが今回は「このパソコンの原価は○○円」、「この机の原価は××円」というような言い方が日常的によく行われますが、そうした表現は正しいものではないですよという話をしていきます。
ラーメンの原価で考えます
それで具体的な題材があった方が良いのでラーメンの原価を考えてきましょう。ラーメンの原価を考えていくとまずは麺(セット)があります。この麺の原価の特徴は1杯売れれば1杯分の原価が発生し、10杯売れれば10杯分の原価が発生します。こうして販売量に応じて原価が比例的に増減していく原価のことを「変動費」といいます。
それで、ラーメンの原価がこの変動費だけなら、原価についてあれこれ考えてなくていいんですが、ラーメンの原価はこれだけでないです。
つまり、店舗の家賃とか人件費もラーメンの原価として考え、ラーメンの価格から回収しないと商売は成り立ちません。
固定費があるから話はややこしくなる
しかし、ここで問題なのは店舗の家賃とか人件費はラーメンの販売量に応じて増減しないことです。極端に言えば、月が変わって1日になった途端にまだ売上がない状態でも生じてしまう原価です。こうした原価のことを変動費に対して「固定費」といいます。
こうした固定費は繰り返しですがラーメンの販売量に応じて金額が変わりませんので、こうした固定費も考えてラーメンの原価を考えると下の表のように考えることになります。
原価についての正しい言い方
つまり、ラーメンが1000杯売れればラーメンの原価は300円になり、ラーメンが2000杯売れればラーメンの原価は200円になるということです。
要はラーメンの原価は販売量に変わっていくということです。
まとめましょう。理解して頂きたいのは、「ラーメンの原価は○○円」という言い方は正しくなく、「販売量(生産量)が○○個だったら、ラーメンの原価は○○円」になるというのが正しい表現です。
ps)商品製品の原価が変動費だけだったら、「この製品の原価は○○円」という表現は正しいことが多いでしょうね。