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小説 老人と猫(第1話と第2話)
第1話:静寂を破る隣人
10月のある静かな朝、1人の老人と2匹の猫が住む小さなアパートに変化が訪れた。老人は長年このアパートで平穏な日々を過ごしてきたが、その日から全てが変わり始めた。隣の部屋に新しい住人が引っ越してきたのだ。荷物を運び入れる音と共に、異国の言葉が廊下に響き渡る。最初は特に気に留めなかった老人だったが、次第にその外国語が妙に流暢な日本語に変わっていくことに気づく。しかし、その日本語にはどこか違和感があった。文法が不自然で、言葉遣いもおかしい。
ある夜、老人は隣の部屋から聞こえてくる会話に耳を傾けた。"基地局、賃借権、同意、交渉などが面倒くさい、老人は面倒"といった言葉が断片的に聞こえてくる。何か不穏な気配を感じた老人は、心の中に不安の種を抱え始めた。
第2話:悪化する状況
10月の終わり頃から、老人は異常なにおいに悩まされるようになった。部屋中に漂う強烈な臭いに、2匹の猫も落ち着かない様子で、老人自身も咳が止まらなくなった。耐えかねた老人は管理会社に連絡を入れるが、対応は遅く、問題は一向に解決しなかった。仕方なく市の行政にも相談するが、ここでも進展はなかった。
ただ、隣人に出入りをしているものは、翻訳機を使って話をするとネパール人であった。この外国人は食事をして、階下の201号室に住んでいた。
隣人たちは深夜にも関わらず大声で話し続け、部屋には常に3人以上がいる様子だった。彼らの会話の内容は耳を覆いたくなるような悪事ばかりで、老人の不安は日に日に増していった。
11月に入っても状況は改善されず、ついに11月19日、老人は警察に相談し、110番通報の許可を得ることに成功した。12月6日には交番にも相談し、その夜に再び110番通報を行った。警察が注意を促した結果、においは多少軽減されたものの、問題の根本的な解決には至らなかった。
12月15日、隣人の1人がベランダにいる老人に向かって「一晩中苦しめ」と不気味な言葉を投げかけた。その夜、ついに事件が起こる。老人と2匹の猫の運命は、ここからさらに暗い闇へと引きずり込まれていくことになる…。
第3話に続く・・・
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