起きながら夢を見ている

(2020年9月18日)

今から述べるのは消費税のこと。このコロナ禍の今、消費税上げようとか言っているものではないし、コロナによる経済的ダメージを緩和するために瞬間的に若干税率を下げるというドイツ的な政策を否定しているものでもない。あくまで消費税の本質について述べているだけですの誤解されないようお願いしたい。

やはり日本の一般的な左翼層のいわゆるお花畑思考にはついて行けない。

受益には負担が伴うこと、あまりに当たり前。それがわかっているからこそ、高福祉社会のEU、特に北欧は消費税がやたらと高い。EU平均で20%、北欧で25%くらい。それを引き下げようと選挙で主張する政党もないようだ。

それに反して弱肉強食、自助が原則のアメリカは、国民皆保険制度すらなく、貧困層への援助は慈善団体の役目、その代わり消費税も州任せ、所得税の累進もあってないようなもの。

ところが日本では消費税こそアメリカ並み、社会保障も医療などはEU以上なのにその財源は実は「なし」。すべてを国債頼みにしてきたので、今や1000兆円の借金大国だ。

そんなところ、「所得割合での負担率では貧困層が大きく、消費税は逆進性がある」というグラフを掲げた日経の古い記事があり、それに感化された方と延々と議論。その面だけからみればそれは当然そうなのだが、納税の絶対額でいえばはるかに富裕層が大きい上に、消費税を財源とした社会サービスの還元分を考えれば納税額を大きく上回る受益を貧困層が受けられることも考慮に入れるべきなのだ。

ついてに言えば、消費税は脱税も困難なので公正さも高い。

一方で、どれほど所得税の累進課税を強化し、かつ法人税を上げても、高齢化社会の社会保障を支えるには財源は全然足りない(試算済み)。

ということを指摘したところ、財源は難しいので考えていないが、あなたは消費税に逆進性があることを認めていない、だから言っていることはごまかしで信用できない、とあーだこーだ。本当に子どものような議論から一歩も出てこない。

私も政治家の端くれなので、「消費税なんて庶民の敵だからなくすべきー」とでも叫べればどんなに楽なことか。

貧困層への社会保障など考えないか、あるいは日本円の信用失墜で庶民がインフレで貧困のどん底に落とされることを本気で心配しないのなら、どっかの誰かみたいに「お金はばらまいて消費税はゼロにして貧困層を本気で救います。お金受け取ってください」みたいなこと言って喝采浴びた方が全然苦労はない。しかし、それでは本当の意味での政治家としての責任は果たせない。

もういい加減日本の左翼層も起きながら夢を見ているみたいなとこから抜け出して欲しい。EUの庶民だって20%なんて消費税払いたくはないはず。

でも、それでは困っている人たちを支えられないし、自分もやがては困ることもあるので、社会全体のことを考えて負担を甘受しているのだろう。それが大人の選択だ。「負担なくして受益だけはあり」、そんな幻想を信じているのは、世界中でも日本の一部の層と票目当てに媚びることしか知らない一部の政治家だけだろう。

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