全てのことには熟慮が必要
(2020年3月1日)
新型肺炎に関して煽り報道の先頭に立つテレビ局が、参院に導入されたサーモグラフィーによる入館者検査が議員には適応されないことを批判した報道をしている。
煽ることが商売と考えているかのような批判を繰り返すマスコミにはよくよく考えてもらいたい。
議員には国会開会中の不逮捕特権など、憲法上強い身分保障がなされている。
それは、議員個人を守るためではない。議会制民主主義を守るため、たとえ司法による判断であっても権力の濫用によってなされる危険性がゼロとは言えないので、これに対抗しうるよう制度的保障がなされているのだ。
ところで、最新のWHOの報告によれば、新型肺炎のここのところの致死率は1%未満とされている。したがって、新型感染症の病態は通常のインフルエンザ並みのものとも考えられるところ、その対策として立法上の措置でもなく臨時的に取られた簡易検査によって憲法上も保障されている国会議員の国会への出席の権限を制限するようなことなどあってはならないことは自明の理。権力の濫用はどこに潜んでいるかはわからないからだ。
浮き足立った判断によって、今後、議員活動の自由を簡単に奪うことができる先例など安易に導入してはならない、ということにマスコミも思いを致す必要がある。重要な法案などの採決がある時、このような安易な手段で恣意的に賛成派あるいは反対派が排除されたらどうするのか?
感染症対策というならば、国会を一時的に休会にして一切の審議を取り止める方がよほど効果的。それならば特定の議員のみ排斥される危険性もない。
この手の煽りがナチスの国家支配を容易にする先兵となったというのが歴史の教訓。批判にも熟慮が必要である。