おじさん、妻にハブられる、の巻
2021年11月7日(日)に起きたこと。
この3日間くらい、妻がどこかの「貴婦人から頂いた」と言っていた、とてもオシャレなホールケーキ(パウンドケーキがワッカになって「火山」みたいな形になって、てっぺんに砂糖がかかってる)が、真空パックされた状態で、キッチンに鎮座していた。
昨晩(土曜の夜)、俺が我慢しきれず「これ、みんなで食べようぜ!」と言うと、テレビを見ながら妻が「今じゃないでしょ!(怒)」と、ピシャリと返してきた。
俺が「じゃ、いつやるの?」と返すと、
妻が「今でしょ! とは、ならない」と、ギリギリで踏みとどまった。
俺は心の中で、「チッ」と舌打ちをして、黙った。黙って冷蔵庫からビールを出して飲んだ。
飲んでやった、と言ってもいい。
翌日の日曜は、日曜なのに、受験生である長女の模試会場への送りから、俺が所属しているとある団体の会計監査の立ち会い、少し離れた街に住む姪っ子への忘れ物のお届けなど、朝から珍しく多忙だった。
午後2時過ぎにそれら一連の「なんやかや」が終わって、ようやく家にたどり着き、我が家では「沼」と呼ばれるソファに横になると、いつのまにかウツラウツラと寝てしまった…。
BGM的には、ドラクエの「宿屋」の効果音(の感じ)。。。
小一時間ほどして目が覚めて、ソファのすぐ先にあるダイニングテーブル上の「異変」に気がついた。
まさか…。
テーブルに駆け寄り「おい!」と一声。
そして「なにこれ? え? なにこれ?」と悲壮な声をあげた…。
状況がよく飲み込めない、ということを自分なりに目一杯表現したつもりだ。
「あー、ごめん、ごめん、A男(高1の長男)と B男(中2の次男)がいたから、食べちゃった」と妻。
「いやいやいやいや、俺、昨日、聞いたよね? 『これ、今、みんなで食べようか?』って。そんとき、『今じゃないでしょ?』って言うから、我慢したのに、なんで俺が寝てる間に食べちゃうわけ!?」
「いや、でも全部は食べてないでしょ?
四分の一くらい残ってるじゃん?」と妻。
「じゃ、この残ったの全部食べていいの?」と俺。
「いや、だって、(模試を受けてる)A子(長女、高3)が食べるじゃん」(妻)
「は? じゃ、俺の分は?」(俺)
「わかった、わかった。じゃ、ちょっと切るから、待って!」(妻)
「わかった、わかったって?! なにそれ? なに言ってんの? これ食べようって、最初に言ったの、俺なんですけど?(怒)」(俺)
「はいはい。ごめん、ごめん」と、言いながら端から1.5cmくらい、薄ーく切って俺に突きつける妻。
ナイフで切ると、端からポロポロこぼれるパウンドケーキをどうしたら人はここまで薄く切れるんでしょうか?
「あ、ちょっと待って。 はい」と、背後にある食器棚からフォークを取り出して振り返った妻が目にしたのは、その『世界薄切り選手権』で優勝したパウンドケーキを口に放り込んだあとの俺(50歳)でした。
フォークは待てませんでした。
そのケーキは本当に上品で。
一瞬ふんわり、何とも言えない甘いいい香りを口の中に漂わせて、すぐにスッと喉の奥に消えていきました…。サヨナラ…。
また食べたい。
あの3倍くらいの厚さのやつを熱い紅茶なんかと共に。
しょーもな。
おわり