おじさん、子供の頃の『地獄』を語る、の巻 【前編】
2021年11月9日(火)、これは、先週末の話。
高3の長女を模試会場まで車で送っている道中、娘が唐突に「パパ、これまで、『これはこのままだったら死んじゃうかも?』って思った体験ある?」と聞いてきた。
先々週、約2年ぶりに俺の父(娘にとっての祖父)が田舎から出てきて我が家に泊まった。その際、久しぶりに孫たちに会えて楽しくなっちゃった親父が、戦争中の昔話(終戦当時、本人は8歳)をいくつか聞かせた。
そのうちの一つが、親戚のお兄ちゃん(中学生)と夜道を歩いていたら、突然、米軍の爆撃機が山の向こうから現れた、という話。
そんな時、本当は、両耳と両目を両手で塞いで「ば・く・だーん!」と言いながら、道端に伏せなきゃいけない(学校でそう教わった)のに、爆撃機が珍しすぎて、8歳の親父はぼーっと見惚れてしまった、と。その際、爆撃機のパイロットは、コクピットの風防を外していて、ちょっと顔を傾けて、ぼーっと自分を見ている少年を見続けたらしい。親父は、おそらく人生で初めての「生のアメリカ人とそいつが操縦する爆撃機」を、目も耳も隠さず眺め続けた。とはいえ、その間、おそらく数十秒だろう。パイロットのほうも子ども相手に機銃掃射の必要もないと思って、そのまま飛び去ったのだと思う。
爆撃機が去って、道に突っ伏していた中学生のお兄ちゃんが起き上がり、「こら!おめ、なにやってんだ!!」って、えらい剣幕で怒って、親父にゲンコツを2、3発食らわせたそうだ。
そんな話を聞いたばかりだったからか、娘は俺に唐突にそんな質問を投げてきた。
「そうだねー。死んじゃうかも、っていうのはないけど、子供の頃、『これが地獄っていうものかな?』って思った体験はあるよ…」と俺は答えた。
この話、続きます。
ですが、相当くだらないのと、内容がグロいので、そういうのに弱い人はスキップしてください。多くの人が「読むんじゃなかった」って言うと思います…。でも、記録と文書書く訓練のために書きます。
〈続く〉