「お前は何のデータを見ているんだ」 ~ マネジャーに求められる分析能力とデータに対する姿勢
私が毎朝会社に出社して、最初にやることはデータの確認です。
前日夜のシステムのバッチ処理で吐き出されたCSVファイルがあって、そのファイルを自身の管理しているExcelに取り込んで集計し、前日の活動状況を確認、異常値があれば、その原因を確認するように当該部署に指示を出します。資料によってはそのファイルや結果データを関連部署に配信したりもしています。
少し余談ですが、CSVファイルを吐き出すというような機能は多くのシステムが持っています。このファイルを使って資料を作る場合、単純に取り込むだけで資料が完成する、ということがあるべきところです。「Excelで開いて、ピボットテーブルを組んで、条件をいろいろと設定する」というのはワンショットの分析ではアリですが、日常のルーチンの中では避けるべきところです。手間が掛かり過ぎます。(あえて言えばExcelのピボットテーブルを使うのであれば、貼り付けて、ピボットテーブルの「データの更新」だけやれば終わる、というのであれば、なくはないかなというレベルですね。)
自分でそこまでやっている理由は2つ。1つは単純に(年寄りの私が)比較的出社時間が早く、他の人の作業を待っているより、自分でやった方がデータが確認できる時間が早いから。作業自体はルーチン化していることもあり、たいした手間でもなく、5分もあれば終わります。これだけのために、当番決めて出社を早くさせる社員を作ることもありません。(もう少し手間がかかるようであれば、Excelで簡単にマクロなどを組んで効率化を図ります。) 他の社員が来る前に、必要であれば指示を出しておいて1日が始まる、というのは目指すべきところです。
もう1つの理由は、具体的にデータを見ることで見えてくることがあるからと思っているからです。毎日まずデータを見ていくことも大事ですが、そもそもどんなデータが吐き出されていて、どう集計すればどういう分析ができるか、ということを知っていることは大きいです。何かおかしなことがあった時に今あるデータだとどこまでわかるか、必要に応じて細かく見て、さらに必要であれば分析を担当者にしてもらう、そういう流れが重要だと思っています。
私がこうなるに至った一つのキッカケはミスミ時代の先輩が、部下に指導している時に言っていた言葉があります。ちょっと評価が低い管理職社員に対して指導していた時に、「お前は何のデータを見ているんだ」と聞きました。その管理職社員は、経理から配信されているデータについて見ている、というようなことを答えたのですが、経理の配信データは月に1回だけ、さらに言えば、彼が見るべき粒度のデータではありません。それでは全然データ把握のレベルが足りていないという指導となりました。
今、多くの企業がシステムを利用し、取得しようと思うと多くのデータが取得できる状態にあります。その中で、必要なデータを見極め、最小の労力で、必要な情報を把握していく、そういうことができることが求められています。ツールは何でも構いませんし、できればBIツールのようなものがあればいいのでしょうが、システム化されていないとデータを見ることができない、では困ります。当面は、Excelなどのデスクトップのツールも使いながら、あちこちに散らばっているデータを見ていくことが求められる、そんな時代が続くのではと思っています。