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適切な利益水準について ~ 利益を追い求めすぎることの弊害

バブル崩壊以降、企業ガバナンス改革の一環で、日本企業の経営者も株価だったり、利益だったりの成果で報酬が得られるようになってきました。株価が上昇することでのストックオプションだったり、報酬委員会で事前設定した目標の達成度合いに応じた賞与が出る、などです。

これはこれで、お手盛りでなく報酬を決めていくためには必要な制度ではあると思うのですが、多くの場合、短期的な成果が経営者の報酬を増やすレバーになってしまうという弊害があります。成果が出るのは10年先の研究開発を進めるインセンティブは働きにくいですし、収益に明確に貢献しないシステム基盤改修などはどうしても後回しになっていってしまいます。長期的な視点で考えられるのが、昔は日本的雇用や日本人経営者の良さ、と言われたものですが、そういった面は影を潜めてしまっていると言わざるを得ません。そしてこれが、失われた30年の間に企業の活力を失わせてきたことの原因でもあると思っています。

ミスミの三枝氏は、ここに対しての危機感をかなり持っていて、利益追求の声を上げる一方で、利益水準を一定以上に高めることについて戒めの言葉を発していました。利益水準が上がりすぎるということは、新しい成長に向けての取り組みが十分に行われていないことの証左だと。新しい成長に向けては、人材の採用や教育だったり、試験的な商品の投入などがあります。利益を確保するためには後回しにすることの多いこういったことを継続的にやることで、短期的な利益率は高くなりすぎないようにしろ、と言われていました。

とはいっても、日々のオペレーションで、目標の利益を達成しなければ、というのがマネジャーの気持ちとしては最初にあり、なかなか彼の期待するような動きはできなかったことも確かです。

それでも、利益を上げることと同時に、次の成長に向けての取り組みを継続的に行なっていくことの重要性は確かですよね。

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