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"3つにまとめる"と"Over Simplify" ~ 効果的なメッセージの伝え方
私が昔、マッキンゼーで働いていた時、どんな会議でも「ポイントは3つあります」とまとめる先輩がいました。彼のまとめには、たまに「それ違うんじゃない?」と感じるものや、レベル感の違う要素が混ざっていると感じられることもありましたが、彼のこの「まとめ仮説を作る」ということは課題の整理の枠組みを呈示するものであり、一定の価値があったと認識しています。
この「3つにまとめる」という方法については、IBMの元社長、北城恪太郎氏(元経済同友会代表幹事)が報告や説明の際に「ポイントは3つあります」と言うように指導していたことが印象的でした。彼は2つでもなく、4つでもなく、必ず3つと明確に言っていました。2つでは少ない、4つでは多い、ちょうど良いのが3つ、というのが彼の考えで、それこそ急にスピーチをすることになった場合でも、「まずは冒頭で『3つあります』と言い、考えながら3つ話せば良い」と。3つ目が出てこない時でも、「忘れてしまいました」と言えばよい、と言っていたくらいです。(これ、私も最近時々やります。)
私自身、若い頃にはあまりその重要性を感じなかったのですが、年々、この「3つにまとめる」という考え方の重要性を強く感じるようになってきました。人間の思考において、3つくらいの要素で論理を考えることが最も理解しやすいというのが一つの理由です。また、項目が多すぎると覚えにくくなり、一つ一つの重みが薄れ、伝わりにくくなります。特に組織で何かメッセージを打ち出すときに、「これもやれ、あれもやれ」と指示を出しすぎると、すべてが中途半端に終わってしまうことがあります。そのため、「これだけはしっかりやってください」という指示をするべきだと思っているのですが、その際に、3つが最適な数であると感じています。
そのような時には、その3つのポイントをそれぞれ、相手が理解できるように伝えることが極めて重要です。可能な限りシンプルで、わかりやすく、伝わる言葉で語ることが、戦略を実行に移す上で重要となります。現実は単純なものではなく、様々な背景や複雑に絡み合っていて、仕事をしていく上でもいろいろなことが気になります。それでも、あえてそれらをシンプルに表現し3つのポイントにまとめることで、情報が記憶されやすく効果的に伝わるのです。伝わるメッセージになり、行動につなげさせることが、価値を生むことに直結するのです。
しかしながら伝える相手に理解させるために、シンプルにしすぎて重要なポイントを落としてしまう「Over Simplify」というのも別の落とし穴になります。伝わるように、理解しやすくするように、メッセージをシンプルにしすぎてしまうこともやりがちで、押さえるべきポイントを欠いてしまったメッセージになってしまっていないか、常に注意を払わなければなりません。シンプルに伝えることと、重要な詳細を落とさないことのバランスを保つのが求められます。それでも、「Over Simplify」にならない限界までシンプルさを追求し、わかりやすく、覚えやすく伝えることが大事なんですよね。
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