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ダダという宇宙人がいたな

『ダダからシュルレアリスムへ』(シュルレアリスム100年映画祭

『幕間』(1924年/フランス/22分/B&W/原題:Entr’acte)
監督・脚本:ルネ・クレール/脚本:フランシス・ピカビア/音楽:エリック・サティ/出演:ジャン・ボルラン、インゲ・フリス、フランシス・ピカビア、マン・レイ、エリック・サティ、マルセル・デュシャン

『幕間』は、フランシス・ピカビアのバレエ『本日休演』の幕間に上映するために作られた、名匠ルネ・クレールによるダダイズムの短編映画。音楽は20世紀の音楽に多大な影響を与えたエリック・サティが担当。ピカビア、サティに加えて、マン・レイやデュシャンも出演。

こっちがダダイズムの映画。ダダイズムは映画の特性を生かした多重露出や逆回し、早送りなどでコメディタッチに仕上げていた。ピカビアの演出したバレエなのか?そのダンサーの床から撮るシーンとか男の助平心だと思うがズロースかよ!という笑いを誘う。ピアノがエリック・サティとは知らなかった。調べてから見に行くべきだった。誰がマン・レイかデュシャンかわからなかった。狩猟の鉄砲撃ちで死亡した人の葬儀で、ラクダに引かれていく霊柩車が走り出し、それにスキップするような駆け足で追いかけるシーンから、霊柩車が下り坂で止まらなくなり追いかけていき、やがて棺桶が投げ出され生き返るシーンは生き返った人が逆に参列者を消していくとか、全体的にコメディの世界だった。初期映画の楽しさは作る方にあったのかもしれない。実験動画的な映画。

『貝殻と僧侶』1928年/フランス/39分/B&W/原題:La Coquille et le Clergyman
監督:ジェルメーヌ・デュラック/脚本:アントナン・アルトー/撮影:ジョルジュ・ペリナール/出演:アレックス・アリン、ルシアン・バタイユ、ジェニア・アタナシウ

『貝殻と僧侶』は、歴史上初めてのシュルレアリスム映画。性的な欲望に取りつかれていく僧侶の妄想を幻想的に描いた作品。シュルレアリスムの詩人であり俳優としても知られるアントナン・アルトーの脚本をジェルメーヌ・デュラックが演出。

こっちはアルトーが脚本を書いているので芸術っぽいのか、ホラー映画みたいだった。美女が出てきて衣服を僧侶に破られておっぱいポロリのシーンがあったり、あの時代ではかなり過激だったのかもしれない。僧侶役の人もアルトーみたいな顔だった(無表情が怖い)。僧侶が悪魔祓い師みたいな感じなのか、奇妙なシーンが多かった。無意識的と言われればそうなのかもしれない。ダダの映画にあったコメディ要素はなく、アングラ劇みたいだった。観客もいびきかいて寝てしまうような映画かな。特撮みたいな部分が面白いのだと思うが(壺に人の顔が写ったり壺が割れたあとも水に顔が浮かんでいたり、やっぱホラー系だよな)、ダダの映画の方が面白かった。


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