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シン・現代詩レッスン144

ジャック・プレヴェール「鳥刺しのシャンソン」

飯島耕一『現代詩が若かったころ シュルレアリスムの詩人たち』から。古井由吉『詩への小路』でドイツ近代詩からリルケまで行こうと思ったのだがドイツ近代詩は難解だった。ベートヴェンの歓喜の歌とか格調が高すぎた。そんなわけで今日はシャンソン。日本の歌謡曲を考えることにもなると思う。プレヴェールの詩の説明の動画、同じ鳥の詩だが違うみたいだ。

前に富永太郎のフランスの象徴詩をやったので、その繋がりとして本当はフランス語でやった方がいいのかもしれないが、飯島耕一の翻訳もわかりやすくて良かった。ここに音韻的な言葉(パロール=話し言葉)があるのだった。そうかパロールというのは口語体ということなのかもしれない。パロールの歌があったよな。

そうか、パロールは鳥の囀りみたいだから鳥のタイトルになるのかもしれなかった。「鳥刺しのシャンソン」を検索したらモーツァルトに当たった。関係あるのかな?

鳥刺しのシャンソン

とても静かに飛ぶ鳥
血のように赤く生ぬるい鳥
とてもやさしい鳥 冷やかし好きの鳥

鳥が出てきたら象徴詩だと思えは、今まで学んだ現代詩からだった。静かに飛ぶ鳥は、猛禽類で獲物を狙っているのかもしれない。「血のように赤く生ぬるい鳥」はカナリアをイメージした。炭鉱のカナリア。血を吐くというホトトギスでもいいかもしれない。鳥も千差万別。鳥のイメージは、言葉だった。

突然 不安になる鳥
突然 ぶつかる鳥
逃げたがる鳥
孤独で 逆上した鳥
生きたいと思っている鳥
歌いたいと思っている鳥
叫びたいと思っている鳥

鳥のイメージを列挙するのだが、言葉を列挙すればそれだけで現代詩になるとやったな。まあ安易な方法だとは思うが、これはシャンソンだから許される。歌心があれば。

それはきみの心臓だよ かわいい女の子
とても悲しげに羽博きをする きみの心臓
とっても固くて まっ白な きみの胸に向かって

鳥は女の子だった。やっぱシャンソンだから「愛のささやき」なのか?ナンパする詩なのか?それで「鳥刺しのうた」なんだ。これに似たようなうたが奄美の民謡であったかと思う。

ちょっと違うけど鳥のうた。今日はこれをBGMに。

串刺し天使

とても五月蝿い天使がきみの頭に
天使の輪っかという拘束具
きみの頭にもカチューシャ

十二の 使徒てんし たち
水虫
昼行灯
蜃気楼
魚の目
ノイズ
子供
時雨
空虚
コメント
暗闇
煙草
権力
鳥刺し
そうした天使の言葉がきみを悩ます

それはぼくの声だよ
バリアを張ったぼくの声が
きみを串刺しにする

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