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【オーストリア旅行】2日目 よく歩いた日【ウィーン】
ウィーン時間で15時頃になると頭がぼーっとしてくる。そりゃそうだ。日本時間だと22時なので、まだうっすらと日本が残っている体内時計がそろそろ寝なさいと言ってくる。18時頃が最高に眠い。ウィーンが暗くなるのは20時頃。18時なんてまだまだ昼過ぎくらいの明るさだ。でも今日はウィーン時間に合わせるために眠気と戦わなければならない。ヘトヘトになるまで歩けば、パタッと眠れるかも……とは思わなかったけど、今日はよく歩いた。
明日ザルツブルクに移動して、数日滞在した後またウィーンに戻ってくるので、エリアを2つに絞って動くことに。そして今日はかっこつけてドイツ語なんてしゃべらないで英語で行くぞと妙な気合を入れてホテルを後にする。
ブラームスとカールス教会
まずはカールスプラッツ駅で降りて、ブラームス像にご挨拶。交響曲第1番を作ってくれてありがとう。11月のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団@サントリーホールに行きますからね。ブラ1の日を選びましたよ、ブラームスさん。
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その後、カールス教会に入って屋上からウィーンの街を眺めてみると、超高層ビルがないから見晴らしが良い。東京の方が大都会感がある。イラッとすることを除けば住んでみたいなと思った。そのイラッも英語が話せれば薄れる感じの大きさ。それ以外だったら本当に住みやすそうよ。
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シェーンブルン宮殿
その後はU4に乗ってシェーンブルン駅で降り、シェーンブルン宮殿のグランドツアーに行ってきた。日本語のオーディオガイドがあるのでもちろん利用する。
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地下鉄のアナウンスを聞くと、「しぇーんぶるん」なんて言ってない。「しょぇんぶふん」に聞こえる。「ょぇ」は「おの口でえ」と発音するので短くね。rはフランス語と同じでのどを鳴らすのだけど、ほとんど「は行」でいける。日本語は子音に必ず母音が付くからどうしても母音が残って長くなる。外国語は短くテンポよく発音すればそれっぽく聞こえるかも。
それは置いといて。
シェーンブルン宮殿は豪華絢爛、ハプスブルク家の栄華と富、力を存分に使ったんだなぁという印象だった。1441室あるらしいんだけど、実際に使うのはお気に入りの数室なんじゃないかなと思う。それにしても「◯◯の間」が多すぎて働いてる人は覚えられなかっただろうな。ビル一棟分の部屋数だよね。
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舞踏会や演奏会が開かれた大広間は、何年か前のニューイヤーコンサートでディナミーデンを演奏している時(だったと思う)に3組のカップルがワルツを踊った場所。すごくきらびやかな広間だな、本当にこんな部屋があるんだなと思っていた所に今まさに私は居るんだと思うと不思議な感じがした。
カフェザッハーとケルントナー通り
シェーンブルン宮殿を後にして、カールスプラッツに戻る。ケルントナー通りをぶらぶらしようと向かう途中にザッハトルテ発祥の店の本店として超有名なカフェ「カフェ・ザッハー」があった。しかも並んでいない。これはチャーンス!ということで先頭で待つ。
外のテラス席に座ることにした。陽射しは強くてもカラッとしていて気持ち良く、街を歩く人々を見るのも楽しい。メニューを見てザッハトルテとザッハーセレクトの紅茶にミネラルウォーターのセットにしようと決める。
しかーし、いつまで経ってもオーダーを取りに来ない。周りをみると、私より先に座っている欧米人のオーダーもまだだった。日本が急ぎすぎなのか、オーストリアがゆっくりなのか、何回かオーダーをお願いしてもそれでも来ない。
やっとオーダーを終えてしばし待つ。しばし待つ。しばし待つ。まず水が来る。しばし待つ。しばし待つ。紅茶のポットとカップが来る。ガシャンと置かれる。そしてメインのザッハトルテをしばし待つ。しばし待つ。しばし待つ。しばし待つ。待つ。待つ。待つ。待つ。
すると私より後から来た欧米のご婦人達の席にザッハトルテが運ばれて行く。更に隣の席の欧米のご夫婦にもザッハトルテが運ばれる。私には来ない。おかしいよね。おかしいぞ。
ザッハトルテお願いしますを2回言った。しばし待つ。あのねぇ、私待ってるんですけど。やっと来た。遅くなってごめんねの一言を添えて。ザッハトルテの味は美味しかった。味は。
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被害妄想はしたくないけど、目の前で通り過ぎるザッハトルテを見ると、やっぱりおかしいよなと思う。これでもチップ必要?ここ、高級店だよね?
昨日から失礼な振る舞いをするのは欧米人ではないことに気付く。それをするのはアジア系や中東系の人だ。移民なのか元々オーストリアで生まれ育ったのかは分からないけど、地元あるいは欧米からの旅行者と思われる人々はむしろ親切だった。
アジア系がアジア系を差別するという現実。差別されているであろうアジア系が同じアジア系を差別する。ため息を吐くとここでまた気付く。私だって日本に来る中国人の振る舞いをやれやれと思うことがあるじゃない、と。やってることはこのカフェの店員と同じだ。
街を観察すると、お店の店員、ホテルのハウスキーパー、ホテルのレストランなどサービス業で働く人はアジア系や中東系が多い。超有名で高級ホテルに併設されているカフェの店員もだ。1人だけ欧米の若い女性の店員がいたけど、その人はまだ感じが良かった。
寛ぎたいとも思わず早く出たくて食べ終わるとすぐに会計をしてもらった。10%のチップを乗せて。あー、すっきり。ザッハトルテの味は美味しかったです。味はね。
早く出たかったのでトイレに行くのを忘れた。海外でトイレに行ける場所を確保するのって大事。シェーンブルン宮殿に入る前にトイレに行こうとしたら有料で50セントを払って入る。
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有料だけあって綺麗に掃除されている。宮殿内のトイレは無料で、女性用は長蛇の列ができているのはどこの国も同じだね。
カフェを出た後、ケルントナー通りをシュテファン大聖堂に向かって歩く。両側にお店が連なって観光客で賑わっていた。誰もマスクをしていない!完全にコロナ前のウィーンに戻っている。
トイレトイレトイレトイレ。今、脳内メーカーを作ったら私の頭の中はトイレ一色だ。お土産屋さんにはきっとトイレがない。かといってマクドナルドに入るには至らない。しばらく歩くと小規模のデパートがあってそこに入ってフロアガイドを見るとトイレがある!!日本で言うところのイトーヨーカドーのような、地元の人が行くような品揃えの建物。ありがとう!ウィーンのイトーヨーカドー!無事トイレを済ますことができたよ!
排泄の安心が確保されない状態だと緊張が走る。小も大も「漏らす」というのは人間の尊厳に関わるからだ。ウィーンでお漏らしとか笑えない思い出になる。それだけは避けたかった。その後もウィーンのイトーヨーカドーには何回もお世話になった。こうして学んで行く、知っていることが増えるのが嬉しい。
シュテファン大聖堂
ケルントナー通りをぶらぶらと歩く。原宿の竹下通りと渋谷のセンター街を足して2で割ったような感じ。飲食店やお土産屋さんが軒を連ねて世界からの観光客が集っている。ソーセージを焼く良い匂いがする。匂いまで日本と違う気さえしてくる。そこに突如現れるシュテファン大聖堂。
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塀や参道がない伊勢神宮が原宿のど真ん中に建っていると想像してもらえるといいかも。ホテル窓から塔の先が見えるので、街のシンボルと言ってもいいんだろうな。
中はキリスト一色。装飾がストーリーになっていて、無宗教の私は「キリスト痛そう」「そこまでしなくてもいいんじゃない?」と思ってしまった。
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人間って心の奥底では残酷だから(だからアウシュビッツのようなことが起きるんだと思う)、キリストにしていることって一人ひとりが持っているサディズムなんだと思う。自分ではできないし自分がされるのは嫌だから、自分の代わりにキリストが罪や傷を背負ってくれていることに申し訳ないと思いながら同時にありがとうって思ってるんだよ。
帰り道
時差ボケもあってヘトヘトだ。またウィーンに戻ってくるし、今日はこの辺にしておこう。地下鉄が遅れていて満員電車に乗る。たった2日で地下鉄に慣れた。ウィーン中央駅に戻るとホッとする。買いたい物があって駅ナカをウロウロするけどぴたりと来るものがない。ウロウロウロウロ。
ああ、お米が食べたい。プレッツェルも美味しいけどやっぱり米。緑茶は売っているけど砂糖とレモン入りなのだ。そうだよね、欧米からしたら緑茶もティーの一種なんだよね。と思いながら、フードコートを歩いているとチャイニーズのお店があったのでトマトと卵の炒め物ご飯付きを注文する。
注文して少し離れた所に立っていると、おそらく労働者もしくは路上生活者であろう男性が私に「お先にどうぞ」と手を差し出してきた。注文終わってるから大丈夫ですよと微笑みながら、基本的な礼儀としてレディファーストあるいは親切が身に付いているんだなと思った。人に歴史あり。この人だって両親がいてこの人なりの人生を送ってきたんだよなぁと異国の地で思う。
日本は島国で守られている。今もなお鎖国しているんじゃないかというところもある。日本国内にいて人種差別されることを感じたことはない。でもその分、アジア諸国の中でも英語力は劣っている。日本から出てみるとそれがよく分かった。もちろん日本の良いところも見えてくる。サービスの良さと綺麗さは世界に誇れるよ。ホテルのアメニティも充実していて至れり尽くせり。世界には出てみるもんだね。