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【オーストリア旅行】6日目 Musikverein 【ウィーン】
オーストリア旅行の最大の目的はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートに行くこと。ベストは楽友協会の大ホールでウィーン・フィルを聞くことだけど、それはとても難しいことが分かる。楽友協会でウィーン・フィルが演奏するのは定期演奏会で、それはウィーン・フィルの会員のみが入ることを許されるからだ。会員がキャンセルしない限り、定期演奏会のチケットが出回ることはない。行けるかどうか分からないチケットを待つより、楽友協会もウィーン・フィルも確実に行けることに重きを置いたら、別々のスケジュールが見えてきた。
Musikverein
楽友協会ホールはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地。サッカー風に言えばホームだ。
毎年1月1日にここでニューイヤー・コンサートが開かれる。このニューイヤー・コンサートに来ることが夢ではあったけれど、チケットが高額なこと、年末年始に休みを取ることが難しいこと(ヨーロッパに旅行するのに2泊3日なんて言ったら弾丸ツアー並みに行ってすぐ帰ってくることになる)、年末年始は費用が跳ね上がることなど、現実的に厳しい。
それならば、まず楽友協会ホールで開催されるコンサートに行くことにした。最初のうちはモーツァルトのコスプレをした楽団が演奏するコンサートに行くつもりだったけど、ザ・観光用という感じだったので、そうではなく純粋にクラシックのコンサートに行きたかった。なかなかスケジュールが出ないまま時が過ぎ、諦めかけた所にウィーンのコンサート情報を見つけ、日にちも時間も演者もぴたりとくるコンサートがあり、すぐに予約した。それがCarl Michael Ziehrer Orchesterのコンサートで、演目に私が一番好きなカヴァレリア・ルスティカーナが入っている。音楽の神様が「お行きなさい」と用意してくれたように思えた。
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席も奮発して前から10列目を取った。それでも日本円で12,000円ほど。ニューイヤー・コンサートだったら前から10列目なんて取れるわけがないので78ユーロなら万々歳だ。
ウィーンに着いた初日にチケットを受け取りに楽友協会のボックスオフィスまで来ていたので、初めてこの目で楽友協会を見た感動はその日が最高潮だった。その後何回も横を通ったので、常に見ることができるとそこにあるのが当たり前になり、贅沢なことだけど「ああ、あるのね」くらいの感覚になってしまった。
でも中に入るのは初めてなので、1時間前に着いてロビーやトイレなど少しでも楽友協会を感じていたかった。ちょっとした雑誌くらいの厚さがある(146ページもある)立派な冊子は無料ということで記念にいただいてきた。
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開演30分前に開場になり、階段を上がっていよいよ大ホールへ。テレビで見ている限り、真正面から入るのかと思ったら、全て横から入るようになっている。
私は確かに楽友協会大ホールに行ったのだけど、あのシャンデリアもこの目で見たのだけど、不思議と記憶がぼんやりしている。演奏の途中も何度もシャンデリアを見上げたのに、舞台も柱も見回したのに、ここに来ることが夢だったから、まだ夢の中にいるようにぼんやりしているのだ。
写真を見て、あるいは来年のニューイヤー・コンサートを見て、ああ、本当に行ったんだなと思い出すのかもしれない。
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演目のうち3曲は私が好きな作品だった。
・カヴァレリア・ルスティカーナ
・皇帝円舞曲
・ラデツキー行進曲
一番好きなカヴァレリア・ルスティカーナが始まった時のことは覚えている。はっきりと「私は今、楽友協会の大ホールにいる」と強く思った。と、同時に涙が出た。本当にここに来たんだ。私は私に感謝した。
アンコールはマーチ。それはそれでテンションは上がるけど、このホールでのアンコールはやっぱりアレでなきゃね。ということでラデツキー行進曲のイントロが鳴った瞬間YEAHHHHH!!と両手を声をあげてしまったよ。
お馴染みの拍手が始まって、指揮者もズービン・メータ氏よろしく2階の観客の拍手を促したりしてコントロールしている。楽しいだろうなぁ、指揮者。ミューザとかサントリーホールでオケの指揮者体験させてくれないかな。そんなイベントがあったら絶対に申し込むし、人気出ると思うよ。
拍手喝采の中終演して、名残を惜しみながら外に出る。21:30を回っているのに空は薄っすらと明るく藍色をしていた。歩いている人もたくさんいる。夜歩く不安もあったけど、全く心配はいらなかった。
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気分が良いと小腹も空くのか、オペラ座前のソーセージスタンドでソーセージを買って部屋で食べた。美味しすぎる……前半はお米が恋しかったけど、今は目の前のソーセージに夢中。オーストリア滞在もあと2.5日。