日記 友だち。

 10月22日(火)

 10月20日の夜遅く、夫の友人が亡くなったという連絡が届いた。持病があったとはいえ、あまりにも突然のことだった。夫は来月彼を含めた仲間と一緒に旅行に行く計画すら立てていたのだ。愛嬌があって面白いひとだった。お酒は飲めないけどその分たくさん食べるひとだった。ソフトバンクホークスを熱心に応援していた。深夜の台所で、夫とふたりで泣いた。

 22日の夜に一般葬があり、私も参列した。強い雨が降っていた。自分より年下のひとのお葬式に参列するのは初めてのことだった。斎場にはたくさんのひとがいた。愛されていたのだな、と思う。遺影のなかの友人は、今より少し若くてやさしい笑顔を浮かべていた。彼がフルートを演奏している映像がずっと流れていた。人がひとり亡くなって、そのほんの数日後にはこんなにキッチリとした儀式が何の滞りもなく行われるなんて、なんだかすごいことだよな、と思った。なんだかへんな感覚。現実味がなくて、夫のとなりでずっとふわふわしていた。ご両親に挨拶をするとき、もちろん私は初めましてだったのだけれど、お二人の顔を見た途端にすごく込み上げてしまい、ろくに話すことができなかった。みかねた夫が隣でいろいろ話してくれた。大切な我が子を突然失ったばかりで、次から次に訪れる人々(もちろん私のような初めましての人間もたくさんいると思う)に対して時に笑顔すら見せながら対応してくださるご両親の心中を思うと、たまらない気持ちになってしまった。帰り際、赤い眼をした夫が「自分はもっとドライな人間だと思っていた、こんなに泣くとは思わなかった」とぽつりと言った。帰りのタクシーを待っている間、ますます雨は強まっていた。涙雨だ、と思った。

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