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8月3日「アップデートされる斧」

「きこりと旅人」みたいなお話があります。

きこりは朝から晩まで必死に木を切っています。
通りがかった旅人が、きこりに挨拶しました。
「せいがでるねえ。たまには休んだらどうだい。疲れているようにみえるよ」
きこりは手を止めずに答えました「とんでもない。少しでも休もうもんなら仕事にならないよ」
「なあ、見たところあんたの斧はもうぼろぼろじゃないかい。そんな〝なまくら〟じゃあなかなか切れないだろう。手を止めて、斧を研いだ方がいいんじゃないのかい」
「わかっちゃいるけどね、木を切るのが忙しくて、とてもそんな暇はないよ」

みたいな感じの話。

イソップ童話みたいなテイストですが、後世の創作でしょうか。

「準備は大切だ」みたいなお話ですね。

目の前の作業をこなすのに精いっぱいになってしまって、効率化のための工夫をしないやつはダメだ! みたいな場面でよく言われるのですが。

最近の道具、クラウドでアップデートされるような道具について、ちょっとワタシはこのきこりさんみたいな気分になるときがあります。

きこりで言うと、いつでも最新にアップデートされる斧です。アカウントに紐づいたサブスクリプションによって、朝起きると斧が最新バージョンにアプデされているのです。

クラウドソリューションが最高効率のきこり体験エクスペリエンスをワタシに与えてくれるのです。

しかし……最高効率でこの斧を使いこなせるかといわれると、そんなことはないのではないか、ときこりのワタシは思うわけです。

なぜならこの斧、手に馴染む、ということがありません。使いこなして、少しわかったころには、アップデートされて使い心地が微調整されてしまいます。

そうなったら、また使い方を模索するところからやりなおしです。

いつのまにかワタシは手に馴染ませる、みたいなことをやらなくなって機械的に斧を振るだけになってしまっているかもしれません。

どうせどんなにカスタマイズしたところでアップデートされてしまえばまたやり直しだからです。カスタマイズした部分が仇になることすらあります。

「この斧がすごいらしい事はよく聞くんだけどね。とてもそこまで勉強する時間はないよ」

なんかそんな感じになってしまっている気がしないでもありません。

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