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ナスカってなんっスカ?
このタイトルにしようと決めるまで3日かかりました。
恥ずかしい、でも言いたいそんなダジャレ愛。
その日21時から、南米ペルーへの旅立ちを控えていました。とある旅行会社のツアーで、日本から直線距離約15,510キロをひとっ飛び。
『行った気になる観光セミナー~巨大なCANVASナスカの地上絵~』
行った気になるだけ。
どうりでUS $15って安いと思った。知ってたけど。
昨年から、リアル体験が困難な世の中になり、各種業界がそれでも何とか新しい道を模索しようと、リアルとデジタルを駆使したハイブリット体験コンテンツを開発・提供しています。それらはきっと、そこはかとない知恵と努力の上に成り立っていて、私は敬意を表しつつ、渇望しているリアル体験への想いを満たしてくれるものなのか、という事に興味を抱いていました。
ワイの想い、満たしてくれるんか、と。
その中でもオンライン海外ライブツアーは、一度体験したいもだったので、申し込んだという訳です。
行き先は『ケニア・ナイロビの国立公園』と『ペルーのナスカの地上絵』で悩み、価格比較でナスカに決めました。
届いた予約完了メールには当日のzoomアドレスの他、注意事項などが記載されていて、私は確認のため目を通していました。
その時ふと、タイトルのある文字が目に飛び込んで来ました。
“行った気になるセミナー”
“セミナー”?
やりたかった事選べてない気がする。
ちょ待てよ!
改めてケニアの方のタイトルをチェックするとこう明記されていました。
“ライブツアー”
間違いない、求めてたのこっちやね。
広大なナイロビ公園を、砂埃ガンガンに巻き上げながら四輪駆動車で駆け巡り、ツアーアテンダントさんが、ライブ感たっぷりにあらゆる野生動物を紹介してくれる様子が想像できます。
一方で座学感が否めないセミナー。スライドを見ながら淡々と講義を聞く様子しか目に浮かびません。
躍動と静寂。
ガンガンと淡々。
仕方ない。ひとまず気を取り直し、こういったオンラインツアー体験では、現地の食を一緒に楽しむ事で、その国への没入感をより高められる、というテクニックもあると聞きますので、せっかくならペルー料理を作り、食べながら参加しようと考えました。そうだ!そうしよう!!
ペルー料理?
聞いたことないけど。
私はスマホで検索しました。
セビーチェ、ロモ・サルタード、トルーチャ、アンティクーチョ。
ちょ待てよ!
全然作れる気がしない。
結果、お酒は飲めませんので、コロンビア産のコーヒーを飲むという、ギリ南米で繋がってみました。
いよいよ時間です。
私は少し緊張しながら、約3分前にzoomへアクセスしました。
聞いたことのない音楽(笛の音?)が流れ、インターバル画面に、ハチドリの地上絵が映し出されています。参加者は20名程のようです。
時間になると旅行会社の方が登場され、挨拶もそこそこに段取りが説明されました。
ここからは、現地のガイドさんに進行をバトンタッチし、その方と一緒にナスカの地上絵を見ながら解説を聞くということでした。
「では、現地のAさ〜ん!よろしくお願いします!!」
「は〜いみなさんこんばんは!○%$>△‘!!」
知らない言語で、おそらくこんばんはと挨拶して下さった女性のガイドさん。現地は朝の7時だというのに驚くほど元気いっぱいで、その口調や笑顔に、まるで子どもの頃に夢中になった歌のお姉さんを思わせる親密さ、包容力を感じます。
ガイドさんの出発合図で、我々はリマからナスカまで、海岸沿いの「パンアメリカンハイウェイ」と呼ばれる道を車で走りました。
そう、ハイウェイの静止画を見ながらガイドさんの案内を聞き、脳内で車を走らせたわけです。
真っ赤なセミトレーラートラックでガンガンにスピード出したった。
想像通り画面に大きく表示されているのはスライド(静止画)で、ガイドさんはワイプで小さく右下に映っているだけの状態です。
しかし、ガイドさんのアテンドの臨場感は想像を遥かに超えるものでした。
小さなワイプに閉じ込められながらも、とにかく“ペルーという国の魅力をお伝えしたい!”“ナスカの地上絵の謎や魅力をお伝えしたい!”という情熱が溢れんばかり。
めくられていくスライド(静止画)に、ガイドさんの熱という生命力が注ぎこまれ、まるでVRだかARだかの立体感をもまとい始めていました。
この人そのうち、貞子みたいにワイプから出てくるんちゃうかと、ちょっと怖いなと、そんな事を参加者全員が思っていたはずです。そうだよね?みんな。
おおおお!なるほど!へぇ!まじで!?
私は1人猫を膝に抱きながら、ガイドさんとシンクロ率100%で、ナスカの地上絵を観ていきました。
何のために描かれたものなのか、その描かれたモチーフは何なのか、未だに多くの謎が残るナスカの地上絵は、参加者の想像力や解釈に委ねられる部分も多く、それを楽しむという事も魅力の1つだと感じました。
そしてやはり、スライドショーでのセミナー形式でありながら、素晴らしい熱量で楽しませてくれた、ガイドさんの魅力。そのプレゼンテーション力はスティーブジョブズを超えると言っても過言ではありま……すが、言ってもいい。
最後にガイドさんから、今は現地で案内する機会がなくてとても寂しい、早く現地でみなさんにお会いしたい、という気持ちをうかがいました。
ワイの想い、満たしてくれるんか。
そう思っているのはきっとガイドさんも同じで、今は提供する側も享受する側も、置かれた環境の中で試行錯誤しているのかもしれない、と感じました。
次は、ケニアに行くつもりです。
ケニア料理?
聞いたことないけど。
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