マタリキ、希望の星たち
今はNZではマタリキと言って先住民マオリの新年に当たる。マタリキとは日本でいうスバル星団のことで、この星団が北東の空に昇った直後の新月から新年とされている。マタリキ星団が現われる期間に祝うので、それは年によって異なり、新月が現われるのは6月から7月にかけて。今年は7月2日、2022年は6月21日になる。
マタリキと同時にNZは本格的な冬に突入。収穫の時期を終えてマオリの人たちはこの時期を日本のお正月の様に家族と共に祝っている。この寒空にマタリキを見つけた時、旧年への感謝と新年への希望に満ち溢れるのだ。私はこの季節のマタリキに心から感謝している。と言うのもこちらは南半球なのでお正月が夏にあたり、日本で味わっていた元旦の冬の寒さが手伝って、ピリッと肌が引き締まる厳かなあの感覚。それが夏では難しいのだ。
なのでこの季節の中新年を迎えられるのは、精神的にとても助かる。
私はそのマタリキを先週、冷たい海で見つけた。OCEAN SWIM The Iceberg,つまり寒中水泳だ。
オークランドからフェリーで40分ほどの所にWaiheke Islandと言うワイナリーや美しいビーチが点在する島があり、2016年には世界の訪れたい島ランキングで4位にランクインしたほどだ。
その島のBig Oneroa Beachに11000人ほどのOcean Swimerが集まり、水温14度の海を2km(2kmのレースには約600人ほどが参加)泳いだ。
私は残念ながら泳げない。でもOcean Swimのレースを見るのは大好きである。彼らが一斉に大海に飛び込み、きらきら輝く波面を搔き分ける姿は飛び魚の群れに見える。人も魚になれるのか、と感動する瞬間だ。
実際海中ではそんな優雅な状況ではなく、他のスイマーからのパンチやケリが入ると言う過酷な世界らしい。
私のパートナーは一年に何度もOcean Swimのレースに参加する。今回も地元の仲間たちと一緒だった。
仲間の殆どは60代後半から70代前半。彼の仲間だけではない。レースの参加者にはその年代の人たちがぞろぞろいるのだ。皆さん陸の上でもキラキラしている。その年齢でレースに臨んでいる人の中にはビーチからゴールまで疲れ切って足がもつれ走れない人もいた。
今回お友達になったキウイ(NZ人)の写真左のミッシェルは60近くだ。でも、本当にキラキラして若々しい。私はあなたの年から本格的に泳ぎ始めたの。将来はハーフアイアンマンレースに参加したい、と言う。そして、あなたにもきっとできるから頑張ろうと励まされた。
彼女は最近できた素敵なボーイフレンドを連れてこのレースに参加したのだが、あなたのボーイフレンドはフィットでとてもやさしい人ね、と彼女に伝えると赤面してはしゃぎ始めた。照れているのだ。そしてこれが初めての彼と旅行なのよ~💓と私に耳打ちする。
見ている私が恥ずかしくなってきた。貴方って、本当にかわいいわね。そう伝えるのがやっとだった。
60,70、80代になっても自分の目標や恋物語をキラキラした目で語ってくれるこの国が私は大好きだ。彼らは私の希望の星団。
私は冬の海でマタリキを見た。
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