副業先として強みを発揮できた京都の旅館の話
副業を許可する会社が増えている。副業を受け入れる会社も増えている。こちらの記事↓では、東京に住みながら石川県の和洋菓子店で副業する会社員の方が紹介されている。
記事によると、この方はリクルート社のサンカクを利用したようだが、ほかにもキャリアSNS YOUTRUSTの「すごい副業」「かなう副業」も注目を集めている。また、ヤフーのギグパートナー募集では10歳から80歳までの104名と業務を開始した。
このような副業増加の背景としては、以下の4点が考えられる。
① 個人の変化
副業ブームから始まった、個人の就労観の変化。今まで考えていなかった副業を、今までよりは考えるようになっている。
② 本業側企業の変化
従業員の要望や、中途採用の際の施策として、本業側(勤務先企業)で副業が解禁、もしくは副業条件が緩和される動きが顕著になっている。
③ 副業側企業の変化
上記を受け、自社にない才能を求め、副業受け入れに対して前向きな企業が増加している。
④ リモート化などの後押し
リモート化に伴い移動時間がかからなくなったことで、副業のハードルが低下。これにより、今までは物理的に不可能であった遠隔地にある企業での就業が可能となった。
私自身も、副業募集・受け入れを経験した何社かの方々に成功談を伺う機会があったが、興味深い話があったのでこの記事で紹介したい。
beforeコロナの副業と異なるのは、昨今のリモート化により今まで弱みとされてきたものを強みに転換できる(もしくは弱みを無効化しやすい)ことだ。
先日、京都にある旅館の話を聞いた。
都内の殺伐としたオフィスワークに浸かってしまい、すこし思うところのあるビジネスパーソンにとって、旅館のように人の感謝にふれられるホスピタリティビジネスは魅力的に見えることがある。また「京都」が好きな人は日本人のみならず外国籍の人にも多くいる。京都の旅館には「ホスピタリティビジネス」と「京都」という強みがある。
しかし、いざ本業で求人を募集しても、接客業の報酬レンジで条件が合わなかったり、京都への移住はさすがにハードルが高いと思われてしまい、出会いたい人に出会える可能性は低い。経営企画やマーケティングのプロフェッショナル、エンジニアのようなポジションならなおのことだ。
ところが、本業マーケットでは分が悪くなりがちな企業でも、副業マーケットだと戦えるようになることがある。副業であれば、本業でプロフェッショナルとしてきっちり稼いでいる人は副業先の報酬へのこだわりは低くなる傾向にあり、そのような金銭報酬よりもむしろ「本業では体験できないことができる」という経験報酬が強みとなる(個人的にも、小遣い稼ぎで同業他社の仕事をするよりも、こちらのほうが人生やキャリアを豊かにするように思える)。
また、京都に移住はできずとも都内からリモートで業務することや、月に数日は京都にいる必要があったとしても、京都に一時的に滞在(旅行?)しつつ本業をリモートで対応することも可能になる(裁量労働の人であれば、よりそれがやりやすくなるだろう)。
そうなると、
■今までの弱みだった「金銭報酬」は無効化され、
■強みでもあり弱みでもあった「京都」は強みだけが残り、
■本業では得られない「経験報酬」を提供できる。
それにより、
■従来の本業採用では出会えなかったような才能たちと新たに出会える幅が広がる。
これは非常に興味深い変化のように思える。
個人の思いとしては、この京都の旅館や冒頭の石川県の和菓子店のように、ビジネスパーソンが都内に偏重することなく、このように全国各地に活躍の場を広げて、既存スタッフとともに刺激しあって産業が活性化されるのはとても良いことだと思う。
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