文字だけでしかけ絵本書いてみた

しかけ絵本、描いてみたいなぁ。
でも絵は苦手だし、ネットで表現するには動画作れないとダメだなぁ。

僕、何にもできないもんなぁ。

いや待てよ、
全部文章で表現すればなんとかなるんじゃないか?
絵も、しかけも、全部全部文章で表現すれば。

よしっ! やってみよう!

おっと、その前にペンネームを作らないと。
やっぱり絵本作家ってペンネームあるから。

まあここは適当でいいか、
最初に浮かんだ言葉をそのままペンネームにしようっと。

そう、
ジャイアント墨子に。



『絵本:足のつめの』
(表紙には、たくあんをカカトで踏み潰した絵が描いてある)

 著者:ジャイアント墨子。本名、年齢不詳。
 顔が地黒でキュートなお歯黒、というキャッチコピーで名が売れる。
 自伝「ライトノベル作家になりたかった」がネット上で賛否両論に。
 一時はライトノベル作家の神と呼ばれたい時期もあったが、
 今は親しい男性に名前で呼ばれたいと思っている。

よしっ、これで最初の部分はできた。
こうやって絵を文章で説明すれば、絵なんて描かなくていいぞ!
この調子で中身のしかけも作って、それも文字で表現しようっと。

『足のつめの』

足のおやゆびのつめのゴミは、どうして、くさいんだろう。
つめきりすると、とてもくさい。
(100円ショップで爪切りとピンセットを買い溜めする墨子さん、の絵)
(ピンセットを横に引っ張ると、墨子さんの肩にオウムが乗る)

とてもくさいけど、かいでみたくなっちゃう。
ふしぎだな。
いつもいつも、けっきょくは同じ、においなのに。
(悲しそうな顔をしている墨子さん、の絵)
(墨子さんの絵にブラックライトを当てると、ほうれい線が五重になる)

いつのまにか、ゆびで、そのへんをさわっている。
あぁ、とてもくさい。
(足の親指の毛をピンセットで抜いている墨子さん、の絵)
(ピンセットを縦に引っ張ると、
 墨子さんのカカトからたくあんが出てくる)

なにで、ほじろう。
このゴミを、なにで、ほじろう。
ゆびは、いやだなぁ、くさくなっちゃう。
(悲しそうな顔をしている墨子さん、の絵)
(墨子さんの絵にブラックライトを当てると、
 口の周りにたくあんカスがつく)

めんぼうにしよう。
あぁ、つめのあいだに、はいらないよ。
せっかくの、めんぼうが、とてもくさくなっちゃった。
(100円ショップで綿棒100本入りを買い溜めする墨子さん、の絵)
(綿棒を縦に引っ張れそうだけども、
 引っ張ってもギチギチになっていて全く動かせない)

つまようじにしたら、さしちゃうぞ。
あぶないよ。
(100円ショップで爪楊枝100本入りを、
 カゴから陳列棚に戻す墨子さん、の絵)
(爪楊枝を縦に引っ張れそうだけども、
 引っ張ってもギチギチになっていて全く動けせないが、
 無理して抜くと、先端に赤いインクがついているユーモア)

けずった、えんぴつにしてみよう。
わぁ、きれいになったけど、つめが、まっくろに。
つぎ、ほじるとき、きれいなのか、きたないのか、わからないよ。
それに、きょうは、だいじょうぶだったけど、しんがポキッとおれたら、
つめとのあいだに、のこっちゃう。
そうかんがえると、とてもこわいよ。
うわーん、うわーん、こわいよ。
なみだが、出てきちゃった。
すごく、こわい。
(絵無し)

あんぜんで、ほそいものが、ほしい。
どうすれば、いいんだろう。
かんがえよう。
(ステーキを食べている墨子さん、の絵)
(フォークを引っ張ると墨子さんがお歯黒に、
 ナイフを引っ張ると墨子さんがドスお歯黒になる)

そうだ、あれにしよう。
(絵無し)
(ブラックライトを当てると
 『ブラックライトを当てた』という文字が浮き出る)

よいしょ、よいしょ。
う~ん、耳かきをつかうと、とても、もうしわけない気分になる。
(悲しそうな顔をしている墨子さん、の実写)
(ブラックライトを当てると、墨子さんの肩に版画のたくあんが映る)

どうやら、手のつめで、したほうが、いいみたいだ。
そうだ、足のつめのゴミは、手で、ほじろうよ。
(満面の笑みを浮かべた墨子さんの実写が飛び出る)
(おまけのシールとして、おびただしい量のたくあんがあり、
 どうやら肩に貼れるようになっているらしい)

―あとがき 親御さんが読んで聞かせてください―

足の爪のゴミの正しいとり方は学校で習わない。
というより、足の爪のゴミの存在をほとんど言わない。
それはおかしいと思う。
私は削った鉛筆でよくほじっていた。
しかし、それはハイリスクハイリターンのやり方で、
今の私としては好ましくないと考える。
やはり人間は人間で、道具を使わず、
手の爪でほじることが、1番正しいと思う。
手が臭くなったとしても、いつか匂いはとれるから。
(すました墨子さん、のお見合い用写真)
(ブラックライトを当てると、ツイッターのIDが浮き出る)

(ツイッターのIDを打ち込んでみた)

(【たくあんオウムたくあん】というアカウントが表示されて、
 8年前に『ハム諸見里』と一回呟いただけで終わっていた)



まあ、こんな感じだろう。
文章だけで表現すると、めっちゃ簡単だった。

この世の全ては全部文章で表現したらいいと思います。

(ドカベンの絵)
とか。

書いたら描かなくても、みんな浮かびますからね。

というわけで『文字だけでしかけ絵本書いてみた』でした!

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伊藤テル(青西瓜)
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