趣味の自転車をオーダーするのであれば、語彙力がある方が良い【1】
【一連のテキストは揶揄から始まる】
知性は骨子である
思春期をとうに過ぎたのであれば "語彙力()" などと自らを揶揄している場合ではない。これは趣味の自転車に限った事ではないが、これから記すのは趣味の自転車の話だ
トレンドに準ずるのであればビッグブランドの完成車を買えば良く
スタイルに殉ずるのであれば、フレームビルダーを訪ねるのが良い
【何せ太いタイヤとドロップバーの組み合わせに懐疑的なのだ】
修飾を省くが。フラット(ライザー)バーの良さは、力点に変速と制動機能の伴った重量物が無い事に尽きる。僕の場合はバーエンドを備えるが、力点の軽い車体を以て走るのには根源的な愉快さがある
かといってドロップバーのジオメトリにフラットバーを入れるのは良くない
極端にクイックなハンドリングかつ、フロントセンターが足りない事が殆どである
※個人的に"フラットバーでもドロップバーでも組める"というマスプロダクトは欺瞞に思えるのだが個人の楽しみの範疇であれば好きにするのが良い
自転車はそれなりに自由だ
【物理法則を無視した事柄は起きないし、理由なく安価な製品は存在しない】
大きな企業が為す研究開発の果てに生じた複雑な形状のコンポジット・エンジニアリングの産物が高価格なのは必然である。カーボンを用いた趣味の自転車は、金属の筒をつなぎ合わせた構造の代替設計ではなくなって久しい
質量や空力に由来する運動性能が覆る事はなく、そういったものを求めるのであれば相応のコストを払う以外に解決策は存在しないのだ。稼ぎ、そして払うのみである
【"Strong, light, cheap: pick two."】
これはKeith Bontragerが残した有名な言葉だ
スチールバイクを選ぶという事はつまり、あなたが”Strong”と”Cheap”を選択した事を意味する
(この場合の"Cheap"とは、「意図のある設計と材料選定が為された一点もの」に対するコストの事だと、個人的に解釈している)
【タイヤ幅に"振り幅"は(ほぼ)存在しない】
これは一例だが、「使用可能な最大タイヤ幅」と「ジオメトリ(特にトレール値の事だ)の基準となるタイヤ幅」が等号で結ばれる事は稀だ
コンパチブルとは曖昧さを端的に示す単語だ。用途が限られるほどに洗練度は増し、互換性は減ずる
今回の車体は、50cのスリックパターンを履く前提でジオメトリを決めた
それ以上のサイズのタイヤを履くのであればMTBでいいし、
以下であればマスプロダクトにそれなりの正解が存在するのだ
これが個人的な解であり、市場に存在しない(が、個人的に必要な)自転車を作るたった一つの冴えたやり方である。オーダーの価値は、煮詰めた座標を明確にする事にこそ真価がある(ように思う)
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※塗装とビルダーに関しては、別のテキストで記す
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