【言07】「他山の石」を書く
あなたは、この言葉を知っていますか?
知らなければ、一緒に覚えましょう。
知っていれば、おさらいしてみてください。
🟩お題
他山の石(たざんのいし)
🟩意味
🟩書いて覚える
恋愛のはなし。
友達のカジオ君がある日、私に相談してきた。
何という薄い根拠だ。
この程度の理由で自分が好意を持たれていると思えるのは、ポジティブ思考の極致に到達していると言える。
逆にうらやましいくらいだ。
まぁでも、この男の究極の勘違いと決めるのは、さすがに早計か。
もしかしたらと言うこともある。
あ、いや、やはりない。
そう言えば、マユミちゃんには彼氏がいることを私は思い出した。
それをカジオ君に伝えたが、何と彼はそれでもいけると、たぶん彼氏とはうまくいっていなくて、心変わりをしているところだと言う。
前向きなうえに、新たにストーリーまでこしらえてきた。
ここまでいくと、彼の可能性に賭けてみたくすらなる。
翌日、カジオ君は実行にうつす。
昨日の今日で、この限りなく勝率0%に近い作戦を決行する実行力も、それはそれで見習いたいところだ。
この無謀な挑戦、いや、彼にとっては、これは挑戦ではなく『救済』なのだ。
自分に気持ちが移っているマユミちゃんのそのもどかしい恋心に手を差し伸べ、心の安寧(あんねい)に導こうとしている。
彼は、もう涅槃(ねはん)の領域に入っているのだ。
放課後、マユミちゃんを呼び出し、カジオ君は気持ちを伝えた。
結果は……。
彼氏いるし、カジオ君はまったく好みじゃないとのこと……。
惨敗……。でしょうね……。
しかも、単純に好きだと告白をしたのではなく、よりによって、俺のこと好きなんでしょ?的なことを伝えたと言う。
この男、阿呆だ。
すぐさま、この阿呆な出来事は学校中に知れ渡り、カジオ君は史上最高の勘違いナルシストに成り下がった。
それから卒業まで、彼は後ろ指を指されながら、1度も彼女ができないまま学校生活を終えた。
私は、この彼の哀れな所業を他山の石として、暴走だけはしないように気をつけるようにした。
おかげさまで、何人かお付き合いをすることができ、人並の青春を送ることができ、楽しく学校生活を送れた。
彼には感謝をしている。