おもりと気体の力学の疑問点?
前回,ピストンに作用する大気圧をおもりに置き換えました。その際,おもりがピストンを押す力$${F_0}$$=重力と気体がピストンを押す力$${F}$$のつり合いを考えたのですが,なんだかちょっと変だ?というモヤモヤが晴れません。
前回示した図では,重力は物体に働くはずなのに,ピストンに働いてしまっています。あれっ,これ何かおかしくないでしょうか。大丈夫でしょうか?
そもそもピストンの質量は無視しますから,気体とピストンは一体化していると考えてピストンを取り去ってみましょう。気体のほうは,何かスポンジのような縮むことができる物体に置き換えてしまいましょう。
すると重力はピストンではなく,おもりに作用します。だから重力$${F_0}$$の作用点はおもりの中にあるはずです。
おもりが静止している時,気体がおもりを押す力(抗力$${F}$$)は上向きで,重力とつり合っているはずです。この力の反作用が,「おもりが気体を押す力$${F'}$$」であり,$${F}$$とは向きが逆で大きさは同じになります。また,気体は床からも抗力$${N}$$を受けているので静止します。
おもりが上昇する場合,気体がおもりを上向に押す力$${F}$$は重力よりも大きくなっているはずです。すると,その反作用である$${F'}$$も同じだけ大きくなります。
すると,おもりの重力は気体に作用していないことになる?う〜ん,何かを見逃しているようなのですが,ちょっとわからなくなってしまいました。
熱力学の教科書には,おもりがピストンに乗っている図が載っているのですが,力の矢印の細かいところまでは載っていません。
何度やっても,この力の矢印は苦手です。そもそも,こういう置き換え自体に無理があるのかもしれませんが・・・何か間違いに気づいた方,コメントを頂けると助かります。
2023年9月8日追記
その後,わかったことを追記します。
おもりとピストンを一体化した一つの系とみなすと,ピストンがおもりを上向きに押す力$${F_1}$$と,その反作用であるおもりがピストンを下向きに押す力$${F_1'}$$は内力となり打ち消し合う。その結果,おもりにはたらく重力$${F_G}$$が大気圧$${P_0}$$に相当し,気体がピストンを上向きに押す力$${F_2}$$が気体の圧力$${P}$$に相当する。
位置エネルギーは物体に蓄えられない
何か一定の「力」に逆らって物体を移動させる場合と,そうでない場合はエネルギーが蓄えらる場所に違いがある。
大気圧に逆らってピストンを移動させると,仕事として移動したエネルギーはピストン自体に溜まらない。ピストンを素通りして外界の方に移動する,と考えることができる。
もし逆らうべき力が無い場合,ピストンそのものが上向きに加速して,速度を得る。仕事はピストンが持つ運動エネルギーになるだろう。
しかし逆らう力があり,少なくとも始状態と終状態で静止している場合は,「力のつりあい」がある。重力がした負の仕事と,気体がした正の仕事は正負が逆で大きさは同じだ。
もし気体がした正の仕事は外界に蓄えられる,という考えが正しいならば,おもりの中には蓄えられないはずだ。気体がした正の仕事=重力がした負の仕事なのだから,エネルギーは気体→おもり→外界に移動しなければならない。ところが今の場合,外界とは真空のことだ!?
そうすると,エネルギーが真空,あるいは空間そのものの中に溜まらなければならないことになる。
すると,おもりに上向きのヒモをつけて引っ張る場合も,おもりにした仕事はおもり自体には蓄えられないことになる。
エレベーターに乗った人の位置エネルギーは,人ではなく,それ以外のどこかに蓄えられる・・・のだろうか。
・・・私の考えに何か間違いに気づいた方,コメントを頂けると助かります。
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