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Kagrraのはなし。


V系の世界では和物の要素の強い音楽はそう珍しくなかったけれど
個人的にはKagrraはとても綺麗なバンドだったと思う。


日本的な世界を構築していたバンドはほとんどロックやメタルの要素やアングラ要素が強く、激しいものが多かった。

そんな中で、Kagrraは平安時代の幽玄な世界を構築していて
一志の柔らかく中性的なファルセットは妖のようだった。

反抗的でインパクトの激しいものではなく
四季の美しさや日本的な余韻、奥ゆかしさ、雅やかな幻想や盛者必衰の儚さがあった。


高校時代の校長が、授業で『余韻』の話をしたことがある。
来客があって、扉を閉めてすぐに音を立てて鍵をかけるのではなく、その人がそこを去るまで間を置くという余韻が日本的なのだという話だったように思う。


一志の声にはいつもどこか余韻が残るようで、趣の宿るバンドも珍しいなと思った。
世界から消えていく側の抑圧されたものを愛するような優しさを感じていた。

亡くなってしまった彼やメンバーの性格などは知らないので、あまり深く語れないけれど
日本的な世界観のバンドでは一番好きなので書いておきたかった。

特に好きな曲は、沙羅双樹の子護唄、し、み、め、ゆ、き、さ、あ(あさきゆめみし)、悲文、桜〜再会の華〜、徒然なるままに、終焉の季節、
いちばん好きなのは混沌だ。


以下は特に印象に残っている詩


終焉の季節


運命の淵を彷徨った
傷みさえ
何故か微笑ましく
歯車に支配されていた
あの頃も
不思議と懐かしい

人は何故 生まれ 傷付いて
人は何故 儚さを 愛せる

吹かないで 葉を揺らす風
いかないで 大地を飾る紅葉

唯今は
悲しみも刹なさも哀れみも憎しみも
全てを棄てて

せめて終わり告げる雪が掌を濡らすまで
この命が果てるまで

 

混沌

幾歳の時の中を 彷徨って扉を探しても
掌に触れるものは 霧のような 雲のような

揺れて 心も今に溶けて
塵のひとつに薄れても

彼方に見えた薄く白い光り求め
再び交わる いつの日か

せめて形も影も 消えて
時代の埃に変わっても
この世に生を受けた命の意味をそっと
教えてください

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青咲
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