川根町と祖父のこと。
静岡のお茶で有名な処といえば川根もそのひとつだと思うけれど、祖父母の家がそちらの方にあった。
あった、というのは、今は廃墟だから。
この記事ヘッダー写真の下泉の駅はまだ大きい方で、駅舎もろくに無いような駅が、大井川鐵道沿線には多い。
無人の時間も多くて、本当に絵に描いたような田舎の駅。
高いし本数も少ないけど、SLに乗る事もできる。その場合は観光サービスのような形で、駅員さんが切符を切ってくれたりする。ついでにSLに乗っている間にハーモニカを吹いたりもしてくれる。
一面の茶畑は至る所に現れる。
なぜ肝心のSLの写真が無いかというと、古すぎて使い物にならない写真だから。10年以上前だし…それってガラケーの時代だね?
SL自体は銀河鉄道の夜や長野まゆみの世界そのものという感じで、一度乗ってみると楽しいと思う。
これは徳山の辺りかな?
緑深くて、植物の生命の匂いだとか、肥料の混ざったような農村部の空気が満ちている。
懐かしい風景だな。祖父が他界してからは殆ど行ってない。
家族や親族の事はいろいろあって、あまり書かないけれど、そういう中で、祖父のことは多分いちばん好きだった。
祖父はあまり話す方ではなかったけど、可愛がって貰っていたなと思う。
生前、まだなんとか歩けていた頃に、よく散歩に付き合っていた。
祖父が喋らないので、無言でいるのも何だなと思って、こちらばかり話していた。
宇宙の話をした時に、「途方もない話だなぁ」と祖父が漏らしたのが印象に残っている。普段とは違う遠くを見た視線が宇宙を見ているようで、そんな顔をする事があるんだなと思った。
その時した話は、いま見えてる星の中には、もう消滅していて存在していない星もあるかもしれなくて、見えているのは過去の光だって事。それから、人体が銀河の材料と同じ元素で出来ているという事。
祖父には戦時の話をいくつか訊いたりもして、乗馬が得意だった事や狩猟の事を聞いたことがあった。
もうこれ以上、祖父の話が更新される事はないけれど、日常の中で溢れるように思い出す事がある。
川根は今は当時より色々な店が出来て、観光地として発展しようとしているみたい。
バイカーの人や、鉄道好きの人をよく見かけるので、店が増えるのは良いね。
とても素敵なカフェだな。行ってみたいな。
茶茗舘は昔からあるところだけど、実は小さく作った庭園に、水琴窟がある。
長野まゆみの鳩の栖に出てくる、あの庭にある綺麗な音のする水琴窟。
現代に作ったものだから趣に欠けるかもしれない。それでも音は綺麗で、これがあの音なんだなぁと思える。
長野まゆみが好きなら一度は聞いてみたい音なんじゃないかな。
川根は何かとアクセスが悪いので、SLとセットでお勧め出来ないのが難点かな。
場所としては良いところなので、機会のある方はぜひ。