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AT2020USB-XPでポケカラした - 今日も釣れねンだわ

 釣りブログのはずなのだが、最近ポケカラにハマっていて、マイクを新調したら非常に満足度の高い買い物ができたので、共有しておきたい。

 俺はカラオケが好きである。どれくらい好きかというと、カラオケ行くぞと言われて断った覚えがないし、一時期はヒトカラのために川崎のカラオケ館まで足繁く通ったほどあるが、このカラオケ熱が再燃している。

 釣りのほうは寒くなってきたし、出張続きで金欠なのでコスパのよい遊びはないかと思っていたら、フォロワーがポケカラを始めたので影響されて自分もやってみた。というのがきっかけで、これが大ハマりしたのだ。

 俺は過去に気まぐれで時々ゲームとか、雑談とかの配信をしていたのだが、常にひっかかっていたのが配信するときの声の音質であった。配信する自分の声を聴いてみると鼻声だし、なにかモゴモゴしているような感じで滑舌もよくない。「これはマイクのせいなのか?」と思い「ECM-PCV80U」というソニー製のコスパの高いマイクを買ってみたのだが、声は多少クリアになったものの、モゴモゴしている感じはあんまり変わらなかったので、「まあ俺の声はこんなもんなんやろなぁ」と思っていた。

 んでそんなモヤモヤを抱えながら、このたび始めたポケカラでもECM-PCV80Uを使っていたのであるが、やっぱり納得がいかない。ポケカラでも上位っぽい人の歌声を聞いてみると、明らかに声のクリア感が違う。これは自分の声質だけの問題ではないなと思った。今持っているECM-PCV80Uも評判は悪くないのだが、ここはひとつ、もっとよさげなマイクを調達してみるか……と一念発起して、配信に使えそうなマイクを探してみた。

 調べてみたところ、マイクには大きく分けて「ダイナミックマイク」と「コンデンサーマイク」の2種類がある。ダイナミックマイクは電源不要で、周囲の環境音が入りにくいのが特徴だ。そしてコンデンサーマイクはレコーディングとかに使われるマイクで、電源も必要だし周囲の環境音を拾いやすいが音質はクリアになるらしい。

 迷った結果、コンデンサーマイクを選ぶことにした。家族がいるので環境音は気になるものの、もしそれで収録ができないレベルなら、その時はエンジン切った車の中で歌えばいいやと思った。

 ただ、コンデンサーマイクは電源が必要だし、iPhoneはLightningとかいうクソ端子なので、どうにかしてiPhoneに接続しなければならない。普通はオーディオインターフェースという大層な機器をコンデンサーマイクに接続して、更にiPhoneに接続するという方法を取らねばならないのだが、本格的な演奏収録などしないのにオーディオインターフェースのようなゴテゴテしたものをテーブルに置きたくない。

オーディオインターフェース

 そこで簡易でも構わないのでUSBのオーディオインターフェース機能を内蔵したコンデンサーマイクはないものかと思って探してみて、見つけたのがAT2020USBシリーズである。このシリーズには「AT2020USB+」「AT2020USB-X」「AT2020USB-XP」の3つがあるのだが、これらはオーディオインターフェースの機能を内蔵しており、別途オーディオインターフェースを買わずとも、PCなどのUSBを持つデバイスに直接接続して使用することができるコンデンサーマイクである。

 「AT2020USB+」は価格が1万1000円程度であるが、今時micro USB端子なので没。「AT2020USB-X」は2万円程度でType-Cが使える。「AT2020USB-XP」は2万4000円程度だが、ノイズキャンセリングとオートゲイン機能が付加されている。

 オートゲインは多分音楽機器を扱わない人には聞きなれない言葉だろうから、簡単に説明しておくと、マイクの入力レベルを自動で調整してくれる機能だ。この機能があると、大きな声を出しても音割れしなくなるし、小さな声を出してもボソボソにならずきちんと拾ってくれるという優れものである。
 カラオケでも高い声を出すときは声が大きくなりがちだし、低い声を出すときは小さくなりがちだ。それをいい感じに調整してくれるとなると、この機能はポケカラに非常に有用なはずだ。
 というわけで、俺の用途で買うなら「AT2020USB-XP」がベストバイであろう、という結論になった。

 ただ、問題はそれがきちんとiPhoneで動作するかどうかである。ネットで検索してみると「AT2020USB-X」はiPhoneで動作したという実績はあるようだが「AT2020USB-XP」にはその情報がない。「AT2020USB-X」が動作するようなら「AT2020USB-XP」も動作するのでは?と思ったが、ノイズキャンセリングやオートゲイン機能といった、いかにも電力を使いそうな機能があるので、iPhoneで動作するかどうかは不明だった。非常に迷ったが、「ええい、イチかバチかじゃ!!!」とポチッてみた。

届いたAT2020USB-XP

 結果としては何の問題もなくiPhoneで動作した。注意点としてはiPhoneに接続するUSBカメラアダプタである。iPhoneからのUSB電源供給だけではやはり電力が足りないらしく、外部電源供給機能のないUSBカメラアダプタでは動作しなかった。外部電源供給機能のあるUSBカメラアダプタに切り替えると普通にうまくいった。

外部電源供給機能があるアダプタを買うべし。Type-C to Lightningの充電ケーブルで接続しても認識されないので注意。

 iPhone15からはType-Cでマイクと直接接続できるし、電源供給機能もLightning端子より大きいので多分、こういう変換ケーブルを使わなくても大丈夫だろう。知らんけど。

 で、「AT2020USB-XP」だが、コイツにはポケカラをやるために重要な機能をほかにも兼ね備えている。それが「ダイレクトモニター機能」である。これはAT2020USB-XPの裏側に3.5mmステレオミニプラグがあって、ここにヘッドホンを指すと、遅延なく自分の声がモニターできる機能だ。もちろん、接続したiPhoneの音もミックスしてヘッドホンに流してくれる。

モニター用の3.5mmステレオミニプラグ

 ポケカラで歌うときによくタイミングを誤ってしまうことがあるが、その要因の一つとして、自分の声が数十ミリ秒程度遅延して聞こえてくるというのがある。しかし、ダイレクトモニター機能を使えば遅延がないので違和感なく歌うことができる。これはカラオケボックスで歌うときよりも更に快適だ。
(ダイレクトモニター機能を使うときは、ポケカラのアプリ側の設定で自分の声が出力されないようにしたほうがよい)

 とまあ、こんな感じで快適にポケカラをするために必要な機能がてんこ盛りなわけであるが、肝心なのは音質である。というわけで歌ってみた。

めっちゃええやん……


 ECM-PCV80Uで感じていた違和感は一体何だったのだろう。というレベルである。非常にクリアで、歌声にモゴモゴしている感じがなくなって、自分の滑舌が良くなったように聞こえる。ECM-PCV80Uではつぶれていたビブラートもしっかりと拾ってくれるし、感情を入れて歌えばきちんと反映され、カラオケにありがちな棒読み感が消えてくれる。
 心配していた環境音についても全く問題なく、電気ストーブをつけている部屋で収録しても気にならない。
 更に、これまでのマイクではかすれた声を出すと曇った感じに録られていて、女性ボーカルの曲を男声のキーで歌うと聞けたものではなかったが、AT2020USB-XPはクリアにしっかり拾ってくれて聞ける声になる。歌える曲が増えるのは何よりもうれしい。
 自分の声が自分の納得のいく形できちんと録音されるのはこんなに気持ちのよいことだとは思わなんだ。

 しかし、AT2020USB-XPを使ううえで気をつけなければならない点が2つある。

 ひとつはクリアに音声を拾うので誤魔化しが効かないというところだ。あんまり慣れていない歌を歌っていると、途中で弱気になって声が揺れることがあるが、それがダイレクトに録音に反映される。自分の発した声を忠実に拾うのでそういうことになる。他にも自分で気づいていなかった声の不安定さを突き付けられたりもする。
 もう一つは、iPhoneへの入力の遅延幅が100ミリ秒ほどあるということである。ポケカラであれば収録したあと、この遅延を調節できるので他人に聞かせる分には問題ないのだが、ただ採点機能は点数が出ない。音質はどうでもいいから、とにかく点数を出したいということであれば、他の機器を選んだほうがいいだろう。あと、ポケカラの生配信はやったことないので分からないが、遅延を調整する機能がなければ、歌った時に曲より100ミリ秒遅れて声が聞こえることになるので注意が必要だ。(OBSとか使えたら調整できるのだが……)

 ポケカラに限らず、現在はインターネットで配信する機会は非常に多い。スマホを数回タップすれば生配信が始まる時代である。それに配信とまではいかなくとも友達と通話しながらゲームをすることもあろう。しかしその時に通話の音質まで気を配っている人は少ない。
 マイクの音質がクリアだとそれだけで「おっ」と思わせることができるし、他人から声が良いと言われたりするのは、たとえお世辞であっても気持ち良いものである。
 歌とは不思議なもので、その人に内在するナルシシズムや承認欲求を曝露させる魔力があると思う。会社でおとなしくて控えめな人がカラオケに行くと人が変わったようにシャウトするとか普通にあるし。

 なぜ歌が人をそうさせるのか分からないが、しかし、歌とはそういうものなのだ。他人からすればそこまで気にならない声の揺れも自分の歌声となると我慢ならぬものである。自分の声を聴くと他人の声を聴くときの数倍敏感に評価をしてしまう。これはつまるところ、自己満足かもしれない。だが、この自己満足を満たせるならば、2万4000円を支払う価値は十分にあると思う。

 最後に、ポケカラを始めてみたものの、ほぼbotしかフォローしてくれないので、良かったらフォローしてクレメンス…

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