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ダシから味わうOfficial髭男dism【楽曲4選】

真夏のピークがだいたい去りましたね。
今年はアイスがすごく美味しい夏でした。

皆さん、アイス、食べてますか???????

美味しいソフトクリームって、使われている生乳が実は北海道産だったと知ると、
「あ〜だから美味しかったのか〜」
って納得しますよね。

あと、パリで修行を重ねたとかいうパティシエ監修のスイーツを見かけたら、他よりも目に留まるしつい買ってしまいますよね。私だけでしょうか?


で、これって音楽においても同じことが言えるはずです。

好きな曲のルーツや作曲者本人の音楽遍歴を知れば、
楽曲をもっと楽しく・美味しく味わえるし、
沼に深入りできる
と思うのです。

そこから新しい出会いに繋がって、
自分が生まれる前の曲や、
名前すら知らなかったアーティストに偶然惹かれることもある。

こういう時代とジャンルを跨いだ縦横無尽な味わい方ができるところに音楽を聴くことの楽しみがあるし、配信という超便利ありがた存在が普及した現代の特権とも言えると思います。


ということで、今回の記事では筆者の愛する
Official髭男dismの楽曲と、
それらにつながりを持つ洋楽を照らし合わせてみます。

幅広い音楽ジャンルを落とし込んだキャッチーな楽曲たちが魅力の髭男ですが、
根底には洋楽の影響が色濃く、特にブラックミュージックは主なルーツのひとつです。

作詞作曲をメインに担当している藤原聡さん(Vo.)の音楽遍歴と好みが大きく影響しています。

実は名曲のオマージュが入っていたり、
各メンバーがインスピレーションを受けた洋楽から曲のイメージが構成されていたり、
制作背景を知ると同じ曲でも聞こえ方がまた違ってきます。

その楽しさをぜひ皆さんにも味わっていただきたい!!!!

とずっと思っていたので、
こちらの記事でルーツと一緒にご紹介したい楽曲を4つピックアップしました!

いちファンとしての好きポイントも織り交ぜて、魅力をお伝えしたいと思います。

※この記事はご本人が公言されている情報に加え、筆者自身の素人全開な意見・推測も含みます。
そこはこういう見方もあるのね〜程度に読んでいただけると幸いです。



1. ESCAPADE × September(Earth, Wind & Fire)


最初はこちら、
髭男屈指の軽快なディスコナンバー「ESCAPADE」

本当にいつ聞いてもテンション上がる〜〜!!

この曲は聡さんのハスキーかつ伸びやかなハイトーンボイスが特に映えていて、
オクターブ奏法で動き回るベースラインも、
1曲を通して主役級に弾けるブラスサウンドも、
最高にグルーヴィーでかっこいい。

ひとことで言えば超洋楽っぽい。

ライブでブチ上がること間違いなしのリズミカルな曲です。


そんな「ESCAPADE」、アースの言わずと知れた名曲
「September」のオマージュソングだと公言されています。

こちらもいつ聴いてもワクワクしますね!
40年以上前の曲なのに全く色褪せないところがすごい。

キレキレのホーンセクションや、
次第に上がっていくBPMによって加速する高揚感がたまらないです。

こちらの2曲、どちらか1つでも「知らんな〜」という方はぜひ続けて聴いてみてください。

めちゃくちゃ面白いです。

「ESCAPADE」随所から聡さんのアースリスペクトをビッシバシ感じます。

サビ「曲がって突き当たりの公園で〜」の後ろで鳴り響くブラスは「September」で出てくるフレーズそのものですし、
Aメロのカッティングギターもファンク全開!!

ただ、髭男の方はラスサビ前にワウをギュインギュインかけたギターソロを持ってきていて、
ロック要素もしっかり入っているので、
なんか得した気分になります。


あと、イントロのブラスや全体のリズム感からは
「Boogie Wonderland」のテイストも感じます。
(こちらも「September」と並ぶアースの名曲です。)

特にホーン隊が奏でる

パッ!パッ!パッ!パパッ!!!

のところ。

この勢いあるフレーズ、「Boogie Wonderland」では開始0:00秒から登場し
曲のキーポイントになっているんですが、
「ESCAPADE」はアウトロの一番最後、
つまり曲の締めくくりにドカンと持って来ているんですね〜!

おかげで曲が終わった後も、圧倒的な至福感のある余韻が尾を引きます。


さらに「ESCAPADE」2番サビで

「ホワイトよりも白い声で」

という歌詞が登場しますが、
これはアースのボーカリスト、
モーリス・ホワイトのことを歌っています。

本当に、愛とリスペクトに溢れた1曲です。


とにかく始めから終わりまで宝探しのようにオマージュ要素が盛り込まれていて、
かつ、きちんとオリジナルのバンドサウンドが輝くOfficial髭男dismの作品に出来上がっていて、

「ESCAPADE」単体で聴くのはもちろん、
アースと聴き比べるのも楽しい〜〜!

2通りの味わい方があるイチオシ曲です。



2. 日曜日のラブレター × Isn’t She Lovely (Stevie Wonder)


次にご紹介するのはこちら、
「日曜日のラブレター」

インディーズ時代のEP
『MAN IN THE MIRROR』を締め括る1曲です。
ライブでは、メンバー退場というこの世で最も名残惜しい時間のBGMにこの曲が流れるのがお決まりでした。

優しいブラスサウンドで幕をあけ、
大切なひとへ日々の感謝と愛を綴るラブソングです。

前述した通りこのバンドは本当に多彩な音楽性を持っていますが、
これはまさに「髭男らしさ」が全面に詰まった
ザ・ピアノPOP

愛に溢れた歌詞の一言一言が丁寧であったかくて、
極寒の雪山で飲む豚汁ぐらい心に沁みます。


そんな「日曜日のラブレター」、サビ前にピアノとベースがユニゾンして音階を駆け上がる印象的なフレーズがあるのですが、
これはスティービー・ワンダーの
「Isn’t She Lovely」オマージュかと思われます。

「Isn’t She Lovely」は、スティービーが愛娘の誕生を祝って作った曲です。
冒頭にも赤ちゃんの笑い声が入っていますね。

聞いてみると分かるんですが、このサビ前のフレーズ、リズムがほぼ一致しています。

歌詞を見ると両曲ともありったけの愛を誰かに伝えているあたり曲の方向性が同じだな〜と思いますし、
シャッフルリズムが生み出す陽だまりのような多幸感もどことなく似ている気がします。

また、ピアノを弾きながら歌うスタイルや
ドラムも演奏できるマルチな才能などは、
スティービーと聡さんの両者に共通する点でもあります。

スティービー・ワンダーは聡さん自身の音楽活動、
そしてOfficial髭男dismの音楽性と深く繋がりを持つミュージシャンのひとりであることが窺えます。



3. みどりの雨避け × Blackbird (The Beatles)


3曲目は「みどりの雨避け」
こちらはベース担当の楢﨑誠さんが作詞作曲を手がけた曲です。

電車の走行音と街の雑踏から始まり、クラシックギターの音色が旋律を導いていく、
アコースティックなテイストが強い楽曲になっています。

アコーディオンやコントラバスの柔らかいサウンドと、聡さんの低く語るような歌声の相性が抜群に良いです。

ストリングスのピチカートは商店街の屋根を跳ねる雨音のようにも聞こえますし、
どこか懐かしいような、人情味に溢れた雰囲気にほっとする1曲だと思います。

少し余談になりますが、「みどりの雨避け」は収録アルバム『Editorial』の中でも、
レコーディングとミックスを手がけたエンジニアさんが唯一他の曲と違っていて、
インディーズの作品から携わっていた方が担当されています。

生音らしさが映えた温もりのあるサウンドに仕上がっていて、
アルバムの中でも、他とは一線を画した空気を纏っているように感じます。

(ちなみに筆者は世田谷区の下町情緒溢れる場所を歩きながらこの曲を聴くのがお気に入りです、スッと曲の世界に入り込めて感動するのでぜひお試しください。)


そんな「みどりの雨避け」、
ビートルズの「Blackbird」からインスピレーションを受けているそうです。

ポールの歌声とアコギだけで構成された曲ですが、
そのシンプルなハーモニーが一度聴くと忘れられないインパクトを残しますね。

ビートルズの方が音数も少なく静謐なイメージですが、耳のすぐ隣で鳴っているようなメロディアスなギターが1曲の軸を担っていて、
確かに「みどりの雨避け」と似通ったものを感じます。

全体的に見ても、「みどりの雨避け」は曲調こそ温かいですが、底抜けな明るさとは違いどこか閑寂さも滲んでいて、
「Blackbird」の面影が残っているな〜と思いました。

また楢﨑さんはこの楽曲以外にも、
同じくOfficial髭男dismの作品
「旅は道連れ」「Choral A」で作詞作曲を担当しています。
どちらも、ブラスサウンドの映えた素敵な曲です。

楢﨑さんの書く歌詞には、聡さんの作り出す表現とはまた違う魅力があるな〜と思います。
街の情景描写を通して間接的にひとの営みや感情を描いていて、包み込むような優しさが漂っている印象です。


キリがないのでこちらでの紹介は割愛しますが、
上記した2曲もぜひぜひ聴いてみてください。



4. Pretender × Sunday Candy (Donnie Trumpet & the Social Experiment)


最後にご紹介するのはこの楽曲。

「Pretender」です。

2019年のリリースから今に至るまで、
あらゆるランキングの上位を席巻したあの「Pretender」です。

イントロのアルペジオが聞こえた瞬間に
毎回キタ〜〜〜となります。

ループし続けるギターリフはもちろん、
AメロとBメロで世界観がガラッと切り替わる部分や、
間奏のシンセサイザーも特徴的ですよね。


こちらはシカゴのラッパーChance The Rapperの参加するバンドの楽曲、
「Sunday Candy」がヒントになったと聞きました。

イントロから入っている8分を刻むピアノは
「Pretender」のBメロでも出てきますね。
(アクセントの付け方がちょっと似てるような気もします。)

晴れやかな気持ちになれて、個人的にとても好きな曲です。


これまで紹介してきた3曲は、歌詞やメロディなど直感的に「ここがこの洋楽と似てる!」と指摘できる箇所がありましたが、

こちらはレコーディング方法や構成といった部分にも影響を与えている楽曲のようです。

特に「機械的なビートと生音の融合」

「Sunday Candy」は打ち込みがベースになっていますが、
最後の方になって生のドラムが入ってきます。

「Pretender」も、全体的にはタイトで電子的なドラムでありながら、
Bメロでふっと生音に変化してバンドサウンドが力強さを増します。

この融合は「Pretender」に限らず、
髭男の楽曲では結構多く取られている手法です。

特にドラムのサウンドにおいて、
このような打ち込みと生のハイブリッド構成
曲にメリハリを生み出しているのだと思います。


それと、「Sunday Candy」のクラップサウンド
曲終盤で音が厚くなりゴスペル調に変化する部分
一瞬「サビどこ???」となってしまうような浮遊感は、
2020年リリースの楽曲「I LOVE…」にも通じる要素だと感じます。


一筋縄ではいかない感じの曲って、何度も聞きたくなる中毒性を生みますよね。

「Pretender」「I LOVE…」も、
そんな複雑さと親しみやすさを併せ持った
技巧派ソングだと言えるのではないでしょうか。

MV、ストリーミング共に記録的な再生回数を持つヒットソングですが、
制作のヒントを知ると、より曲の味わい深さが増す気がします。



おわりに


夏なのに季節感ゼロの記事ですみません。

私は聡さんの声が大好きなんですが、
それに加えて耳に残る歌詞を生み出すワードセンスと、一見脈略のない単語にも韻という共通項を組み込む発想力、それをバンドサウンドに乗せるソングライターとしての個性

これらも卓越していてすごいなあ〜と思います。

好きな音楽、影響を受けた音楽から良いところを吸収する技も、
これまでに培われた知識量や、海外の音楽シーンに対する敏感なアンテナあってこそではないかと感じます。
(推測なので勝手なことは言えませんが、、)

今回はそんな聡さんを筆頭に、
メンバー全員の幅広い音楽性を活かして作られているOfficial髭男dismの楽曲をご紹介しました!

その魅力が少しでも伝わっていたら嬉しいです。


最後に、髭男のライブ会場で流れる開演前BGMをいくつか挙げて終わりにします。

この記事を読んで髭男の音楽ルーツに興味を持ってくださった方がいたら、
参考になるのではと思います。


深掘りオススメです。是非!!

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