あなたの知らない「バスクラリネット」の魅力
「バスクラリネット」
なんだそれ、と思うでしょう。その通り。普通の感想ですよ。普通に生きている人はこんな楽器のことを知らないはずです。
バスクラリネットとは、これ。
なんだよこれ、と思ったでしょう。そうです、「軽音楽」の名前を使って書いているこのnoteですが、吹奏楽の楽器について書くのです。
偉い人に許可を得たので知名度が無さすぎる我が相棒、バスクラリネットを振興愛好していきますよ〜
君、誰?
そう、そうでしょう。その疑問ありますよねえ。
このnoteを発信している団体、「ARF(軽音楽振興愛好会)」の5期生です。中学生から吹奏楽を続けて(現在進行形)、ベースも弾いている浮気野郎とは私のこと。
中1
幼馴染に誘われ、流れのように吹奏楽部に入部。ほんとは運動がしたくなかっただけ。
楽器体験であれよあれよとクラリネットパートに。
そこで一目惚れしたバスクラリネットをすることに。なお、顧問によると「バスクラ第一志望の中学生(未経験)は初めて見た」。
高1
当然ながら吹奏楽部に入部。高校ではB♭管(後述)を担当。一時期バスクラになる説も出たが、なくなる。悲しかった。
夏にベースを始める。コロナで暇だったので。しかし高校に軽音がなかったので1人で弾いているだけ。
高2
人生初ライブ(ベース)。ハマる。
大1
当然ながら吹奏楽サークルに入団。高校で貯めていたバイト代をつぎこんでバスクラを購入。とても楽しく吹いています。
ついでに軽音サークルとARFにも加入。いまここ。
そもそも、クラリネットが。
全クラリネット奏者の悩みがこれ。
「知名度が無さすぎる!!!!!!」
吹奏楽でトップクラスに知名度がなく、そして説明しにくいのが「クラリネット」。部活や趣味を聞かれて
「吹奏楽部に入ってました!」
「えーいいね、なんの楽器やってたの?」
「クラリネットです、、、」
「???」
「細長い、黒い、、、リコーダーみたいな。」
「ああ、ああ〜!壊しちゃったやつね!」
こうならない方が珍しいくらい。
ちなみに一般的なクラリネットはこれ(B♭管ーべーかん、といいます)。たしかにかっこよくはないよなあ。
ましてや、「バス」クラリネット。
オクターブ下、つまり低音楽器は知名度がない、これはみなさんの常識でしょう。我らが軽音楽でもベースがその役割を担って(犠牲になって)くれていますね。
勘の良い方なら気づいたでしょう。バスクラリネットは「バス=Bass」のクラリネットなのです。知名度がない楽器の低音版。そりゃ無理があるよなあ。
なので、バスクラ奏者は基本的に自分の楽器を「クラリネット」と偽ります。演奏を見てくれた人には「サックス良かったよ!」と言われます。形が似ているんです。そういう時は「ありがとう」と言って決して訂正しません。野暮なので(めんどくさいので)。
バスクラの永遠の友達、そしてライバル「バリトンサックス」。
ネガキャンはここまで。
しかし吹奏楽には絶対に欠けてはならない楽器の1つなのです。ほんとに。負け犬の遠吠えとかじゃないです。なぜかって?
「圧倒的な倍音」「魅力的な音色とその幅」があるからです。
吹奏楽では、普通は聞こえないような低音から、吹いている人が頭痛くなるほどの超高音が演奏されます。そして多くの種類の楽器が演奏を同時にします。当然、適当に演奏しただけでは聞くに耐えない演奏になります。
そこで大事なのがバンドの核となる、「聴きやすく」「合わせやすい」楽器。
そう、ここが
バスクラリネットの出番
なのです。
倍音とは超ざっくりいうと「出したい音を出すと同時に鳴っている音」のことです。詳しくは自分で調べてください。基音(メインで出している音)の周波数の半分、その半分、、、の音は基音と同時に出ているのです。
もう、倍音のことは忘れて大丈夫です。
大事なのは、「バスクラは倍音が多く、聴きやすい」楽器であることです。つまり高音楽器の人もバスクラをよく聴けば自分の居場所がわかるってことです。最高ですねバスクラ。
そして音色の「幅」。
木管(クラリネット、サックス、フルートなど)、金管(トランペット、ホルン、チューバなど)、打楽器を使う吹奏楽において、出せる音の「幅が広い」ことはとても大きいことなのです。バスクラはバリバリとしたロックな音も甘い艶やかな音も出すことができるすごい子なのです。つまりそれだけ順応性が高い。
バンドの「核」として演奏するバスクラにおいて、この2つの特徴が最高に大事なんです。
周りの吹奏楽部員に聞いても、意外と「生まれ変わったらやりたい楽器」にバスクラを挙げてくれる人は多いんですよ。誇らしや。まあバスクラ奏者に聞かれたらそう言いますよね
ちなみに聞いたイメージだとそのランキング、
1 位 バスクラ
2位 オーボエ
3位 バリトンサックス
4位 トロンボーン(バストロンボーン)
な気がします。わかる〜!
まあ私は絶対サックスやりたいんですけどね。目立ちたい。
じゃあ音を聴かせてみろよ!!
そう思ってきた頃ですよね。
そこでバスクラリネットがかっこいい曲をピックアップしてきましたよお
① 樽屋雅徳 「絵のない絵本〜第12夜」
いわゆる「クラリネットアンサンブル(クラリネットだけの合奏)」の曲です。時々出てくる低音のメロディがほんとにかっこいいですねえ。たまにくちずさんでいます。でっててててれってーれってーれれれれ。
② 福田洋介 「さくらのうた(クラリネットDuo)」
吹奏楽の人気曲をバスクラリネットとB♭クラリネットのためのデュオ編曲にした曲です(ピアノはメンバーに数えられないのが一般的です)。先ほどとは打って変わってあまあまな優しいメロディがいいですね。これがバスクラの十八番と言ってもいいくらいです。
③ 小山清茂 「吹奏楽のための木挽歌」
やーっときました吹奏楽曲。最後だけでいいから聴いてください。散々盛り上がってクライマックスののち、バスクラソロが全部持っていくとんでもない曲です。かっこいいーーー!
バスクラソロで終わる曲って意外とあるんですよね。なんでだろう。
④ micina 「ガラスの海と都市の情景」
超人気作曲家・クラリネッティストのmicinaさん。その中でもとんでもない人気を持つ曲。終始かっこいいんですが、特に後半。ぱーぱっ、と合いの手を入れているいぶし銀さ。そして急に始まるジャジーなベースライン。最高です。
ってかこれをさらっとながせたらかっこいいよなあ。micinaさんのアルバムは普通におしゃBGMとして最高なので必聴です。
⑤ 伊福部昭(arr.しばっち) 「ゴジラのテーマ」
「低音クラリネット」だけで構成されたなんとも羨ましく、とち狂った編曲。重々しい音色のゴジラが最高にかっこいいですね。
どうでしょうか。「吹奏楽?眠い眠い」って人のために聴きやすい曲を選んでみましたが、、、かっこいいでしょう、バスクラ。
なんか大きいやついないか?
⑤とか聴いていただけた方は思ったのではないでしょうか。なんかゴツいのがいるなあ、と。そうです。それは「コントラアルトクラリネット・コントラバスクラリネット」です。
音域はバスクラリネットのさらに1オクターブ下(コントラバスクラリネットの場合)。吹いていると地鳴りがするんです。まじで。
お値段もゴツいです。扶養を4年連続抜けても買えません。だからこそ、大会で他の団体がこれを持っているとなんか焦るんですよね。全員が上手く見えてくる謎。
軽音に関係あるのかい??
そう、このnoteは軽音楽のサークル。ここに帰着させないと。
実は、あるんですこれが。
世界中のベースキッズの憧れ、最強のおじさんこと「マーカス・ミラー」。ファンクベースで有名な彼ですが、なんとバスクラリネットも演奏しているのです。
一気に軽音感が出ましたね。さすがマーカス。
ロック系のブラス隊はどうしてもトランベット、トロンボーン、サックスになってしまいます。しかしファンクやジャズ、サウンドトラックなど意外とバスクラの音って身近にいるんですよ。
身近of身近だと「ほんわかぷっぷー」というフリーBGM。
あれ、実はクラリネットのデュオなんです。
バスクラ大好き人間が語る、バスクラの魅力
これはもう一言。「いぶし銀すぎる!!!」
経験者には大人気なのに世間からは知られていないところ、バンドの核なところ、色、全てがもうかっこよぎる。
そしてこの細さでバリバとゴツい音も、甘い音も出せるところ。最低音が見た目では想像できないくらい低い(ピアノの左から2つ目のシ♭、5弦ベースの5弦の半音下)ところ。
全てがかっこいい!!知る人ぞ知る漢の楽器!!って感じがしますね。
前述の「コントラバスクラリネット」はピアノより低い音が出ます。うう。
バスクラ、いかがですか?
このnoteをここまで読んだ物好きのみなさん、もうこの時点で全日本人の上位5%に入れるくらいバスクラに詳しくなっていると思います。ほんとに。
ぜひ身近な吹奏楽団の演奏会でも、Youtubeの演奏動画でも吹奏楽に触れてみてください。そして右側にいるであろう黒くて細長い見覚えのある「あいつ」に少しだけ目をやってみてください。
今後もARFの活動を、バスクラリネットを何卒よろしくお願いします。
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