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【雑感】男性ブランコ単独公演『栗鼠のセンメンタル』〜男性ブランコに感じる演劇性と柿喰う客に感じるコント性〜

再配信された男性ブランコ単独公演『栗鼠のセンチメンタル』を観ました。

コント師の単独公演とは


まず、噂に聞いていたように、全編がそれとなく繋がってる感があって、ひとつの作品を観たなという余韻がすごかった。その一方で、全体的に余白とノスタルジーがありすぎてお笑い競技に出すようなネタにならなそうだなと思ったのも率直なところです。そもそもお笑いの単独公演を観たのが2本目の人間なので知ったかぶるのもいい加減にしろなんですが、許してください。でも、実際にキングオブコントに向けてはネタをかなり「叩いた」らしいので単独と賞レースはやはり別なんだなと。

平井:これは明確なことが一個あって、準決勝でやると決めたネタをむちゃくちゃ、いわゆる“叩いた”といいますか。“叩いた”以外の言い方が浮かばなくてごめんなさい。ブラッシュアップというか、ギリギリのギリギリまで中のボケを変えたりツッコミの言葉を変えたりしました。ここまでやったのは珍しいです。

これを読んだ時に、翠星チークダンスの木佐さんのポッドキャストで、「漫才師は単独がM-1に向けた新ネタを下ろすところになるけど、コント師は違う(意訳)」とニッポンの社長の単独を観た感想として言ってたのを思い出しました。

なんか面白いですね。同じ芸人なのに。私自身も漫才のライブよりコントのライブの方が馴染みがある作りというか、やっぱり演劇作品っぽいなっていうのがリアルに出てきた感想です。

今考えれば、キングオブコントでやった時の『ボトルメール』のピンスポのシーンの演出も演劇であればままあるし、第三舞台みたいだなと。あとこれはもう私だけだと思うんですけど、栗鼠センのラストシーンがDステの『淋しいマグネット』のラストシーンと重なってしんどくなりました。いい意味です。

あと一点、栗鼠センで不思議だな、面白いなと思ったのは、「これは観てる人にただ笑って欲しいだけじゃいんだな」ということですね。そういう意味でも、漫才とは大きく違うなと。私はラーメンズのことはおもしろ動画フラッシュの「チバシガサガッ」と断片的な爆笑オンエアバトルの記憶しか知らないので、こういう系統がラーメンズフォロワーっぽさなのかどうか分からないのですが、とにかくただ笑えばいいだけじゃないということを『てんどん記』より前に知っておいて良かったです。なんか、自分のメンタルの置き所によっては死んでしまいそうなので。これもいい意味です。

ただ、ここまで笑うだけのものではない、と分かるともっと掘り下げたいというか、ここまでのものなら私的な感覚が存分に練り込まれているだろうと思ってしまうので、それにしては情報が足りないなと。ここが悔しいところです。普段、演劇を見るとしこたま思ったことを書き連ねる人間なので、こう中途半端なことを言いたくないというかなんというか。言語化したいのにできないもどかしさがあって悔しいです。

柿喰う客の本公演くらいの

「くらいのなんやねん」ではあるのですが、このくらいの情報量があると嬉しいなの例です。けっしてどちらが価値があるというわけではないのですが、私が必ず観に行こうと決めているこの劇団の作品はいつも暴力的な笑いと衝撃を提供してくれる。今年の『滅多滅多』もかなり、かなり良かったけど、コントっぽさがあったのは『美少年』かなと思って今観てる。

柿喰う客の中でもコメディアンを演じられる4人だけで、セットもなく、なんなら「美少年」もなく繰り広げられる物語は本当に完成度が高い。前半の馬鹿馬鹿しさをまくる後半の恐ろしさを初めて体感した時の衝撃は忘れられない。どこかで機会があったら観て欲しいですね。もしくは、『いまさらキスシーン』をば。

それは良いとして、やっぱり情報が与えられすぎることに慣れすぎて、栗鼠センの物語の中にある空白を埋められない。それぞれに似ているところと似て非なるところを感じながら悩んで、そうしているうちに『てんどん記』が始まってしまうんだろうと思う。その前に平井さんのnote読み漁るかもしれない。そう、そろそろ冬のボーナスです。

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