【感想】キングオブコント2021
お笑いにハマってからちゃんとした賞レースが初めてだったし全体的に面白い回だったなと思ったのでメモ。
審査員とか
今年は決勝進出者だけでなく、審査員にも注目が集まってて、蓋を開けてみるとかまいたち山内さん、バイきんぐ小峠さん、ロバート秋山さん、東京03飯塚さん、審査員長のダウンタウン松本さんという下馬表通りだった。歴代優勝者であること、評価の言語化が得意そうな人たちということだったのかな。実際、どこを評価して各人点をつけたのか分かりやすくて良かったと思う。
審査員として依頼が来たのは今年の頭という山内さんの話からすると、そこからキングオブコントの会とかあって今年の盛り上がりが醸成されていったんだろうなと思うと運営的に上手かったなという気持ちもある。
あと、順位待ちの控室に今年はかまいたち濱家さんとバイきんぐ西村さんがいて、出番終わりの芸人と一緒に後のネタを観てるんだけど、良くも悪くもゲラな濱家さんの反応で心乱されそうだなと思った。めちゃくちゃ笑ってたんで。
ここからめちゃくちゃネタバレします!
嫌な方はブラウザバックか本編へ!
1組目:蛙亭
逃げ出したホムンクルスが可愛く見えてきて、最終的にはかっこよく見えてくる話。
掴みで客側に引かれることを避けずに逆手に取っててすごい。イワクラさんに共感して初めは「キモいな」って思ってるのに、ヒロシがめちゃくちゃ良い奴なばかりに愛の話になってて笑ってしまった。paraviのインタビューで、今年は中野さんのキャラクターでいきます、的なことを言っててそれがこれかと。十分面白いけど、イワクラさんのキャラクターの良さがもっと活きてると個人的にはもっと好きだなと思った。
好きなとこは、イワクラさんが逃げたヒロシを連れ戻そうとして触れたら粘液が手について咄嗟に白衣で手を拭ったとこ。
2組目:ジェラードン
角刈りの女の子とキザな男の子が転校生の周りではしゃぐ話。
これはなんていうか、当然なんだけどジェラードンしかできないネタだなと思った。この後の2人は井上千晶と黒川健みたいになっていくと思う。
話を戻すと、全体的にぴんときた訳じゃないけど、コントだなぁ面白いなぁと思ってたら終わってた。ちょうど良いサイズ。
3組目:男性ブランコ
ボトルメールで知り合った男女が初めて会う話。
ボトルメールってどうぶつの森でしか見たことないからファンタジーなのかなって思ったら全然違った。私はアンミカ出てきた!と思ってたんだけどツイッターとか見てると、女千原ジュニアって例える人が多くてそうなんだ…の気持ち。これもparaviのインタビューでラーメンズが好きで〜って言ってたのめちゃくちゃわかるわ、と思いながら見てた。いろんな人が言うように、「そうだったの?」が何度か繰り返されてて、コントってここまで考えて作られてるのかと広さと深さを感じた。前がジェラードンだったということもあり、より上手いなと感じたんだと思う。
好きなとこは、やっぱり「好きだなぁ」のとこかな。
4組目:うるとらブギーズ
お父さんが迷子になった子供を探しに迷子センターにくる話。
お父さんの焦り方がリアルで、だからこそ面白かった。そこから迷子センターの人が悪気なくちょっとずつふざけ始めるんだけど、笑ってしまってアナウンスが上手くできない、という状況に私自身が気がつくまで少し時間がかかった。あと、お父さんが焦りすぎて何言ってるかわからないとか、そういうちょっとしたストレスがあったかな。オチが笑いの山にはならなかった。
5組目:ニッポンの社長
バッセンにいた変なおじさんが実はめちゃくちゃバッティングの天才だった話。
あらすじでは何が面白いのか全然分かんないと思うけど、「変な」という部分をしつこくやってきてもろもろ根負けして笑ってしまった。ニッポンの社長だな〜という感じ。個人的には好きな展開ではないんだけど、好きな人はとても好きだと思う。単純に、ボールを食らってるだけで笑いが取れるのはすごい。
6組目:そいつどいつ
パックをした彼女と話してると思ったら違う?!となって最終的にはドッキリだった話。
初めの大きな笑いまでは「芝居が上手いな」しか浮かんでこなくて、その後も割とベタなボケが多かったのでやっぱり「芝居が上手いな」が強かった。蓄光素材なのはなんとなく分かってたし。ただ、ホラーとお笑いは紙一重っていうのはずっと思ってたから、頭が飛んでった瞬間はもう本当に笑った。
7組目:ニューヨーク
続・結婚式。だとしたら、去年がこの準備のネタで、今年が余興の話だったら壮大な伏線で面白かったのにとくだらないことを思った。
ニューヨークは去年から今年にかけてめちゃくちゃ露出が増えて、良くも悪くもどんな人たちかが分かってるから期待も高いし大変そうだなと。特に、今回はコントをメインでやってるコント師が決勝に多くて、そのどのグループもコントの可能性を見せてきたから、ベタで分かりやすいネタだとこの時点で物足りなさを感じてしまうのかもと、自分なりに自分の感覚を分析してみたりした。それだけ他が「コント」に執着してたように思えたということで、ニューヨークが漫才との二刀流だからとかではないです。
あと、コントって自然な方がしっくりくるし、ここまでのツッコミ要らないのかなとも思ってしまった。今回ばかりは。
審査後の屋敷さんのこういう顔、めちゃくちゃいいな。2019年のM-1以来ですね。痛みに強いニューヨークだと思うのでこれからも楽しみです。
8組目:ザ・マミィ
普通なら話しかけないおじさんに話しかける無垢な青年とおじさんの交流の話。
若干、青年が無垢すぎて宗教の勧誘とかしてそうだなと思ってしまった。酒井さんのツッコミというか、純粋な疑問が最初は一般論に聞こえるのに問答を繰り返していくとそんな疑問自体が違ったのかもと思ったり思わなかったり。後半展開されていく汚いミュージカル(かまいたち山内さんコメントから引用)で『春に』を歌われたら、多分これは世代もあるけど、めちゃくちゃツボるに決まってる。ただ、これも個人的には特別好きとはならなかった。
9組目:空気階段
火事場のSMクラブでM男の消防士と警察官が市民を守る話。
審査員の小峠さんも言ってたけど、この見た目のスタートでエロい話にならない、寧ろ正反対の話になっていくのがすごい。その間にももぐらさんの腹はたぷたぷしてるし、かたまりさんのブリーフは白く輝いているのに。普通はこんな場所で身分を明かしたりはしないんだろうけど、SMクラブにいることすら後ろ暗くないんだなって考えたらめちゃいい話だなと思った。
個人的には出入りの多いのが気になっちゃったけど、それにも負けないキャラクター、セリフ、肉体の強さ!で結果笑ってました。
10組目:マヂカルラブリー
こっくりさんやってたら野田クリスタルが10円玉に乗っ取られる話。
こっくりさんに引っ張られるとこだけで笑える。でも本当に今回はシンプルなほど物足りなさを感じてしまう形だったから、心の中で「もっと!もっと何かくれ!」というわがままな気持ちがどうしても消えてくれなくて…あと、マヂカルラブリーを見てると漫才とコントはボーダレスとは思いますね。
休憩
と、ここまでが決勝全組1回目だった訳ですが、今までコントについて考えたことがない私でも、コントっていろんなことを考えないといけないんだなとようやく思い始めました。キャラクター、衣装、化粧、ストーリー、音楽、小道具、セットと自由度が高過ぎる。漫才は縛りがあることの難しさもあるだろうけど、コントはどれか足りなくても手を抜いてたらサボってた、もしくはもう少し工夫できたとか言われるし、自分達でも思うんだろうなって考えたらしんどそうだなと。そういうところで、地肩の強いコント師が最終決戦に残ってた印象。やっぱり受験とかオーディションと似ててどれだけ時間と想いをここに乗せられたかなのかなと。もちろん、決勝に残った人たちみんなはちゃめちゃに努力した結果だとは思うから全組2本目見たかったな〜!供養の会はないの?
最終決戦1組目:男性ブランコ
レジ袋をケチった男に出会った話。
動作としては腕いっぱい抱えたお菓子を何度も落とすというベタなところに、不思議なワードセンスが掛け合わされてクセになる。どっかで見たなと思って思い出したら『ソウドリ』でした。貼った動画とキングオブコントのネタは色々設定とかアクションとかセリフが付け加わって、溢れるお菓子をスライディングして取ろうとするアクションとか、あと3円しかないのに大きいレジ袋を渡そうとする相手に「その大の袋は5円じゃない」っていうセリフとか好きだった。個人的にツボなんだと思う。
実は昔の知り合いでした、のくだりだけはなんかしっくりこなくて、なんで初めから言わないのかな、と純粋に思ってしまった。
最終決戦2組目:ザ・マミィ
部下が上司を告発しにきた状況がドラマみたいで盛り上がる話。
大変申し訳ないけど、かまいたちの『告発』と比べてしまって「わちゃわちゃするのはそこまでだな」と下位互換みたいな感想が初めに浮かんでしまった。
浮かんでしまったらもうどうしようもなく、純粋に単体として面白がれなかったのはもったいなかったなと思う。
最終決戦3組目:空気階段
ふと入ったお店が知らん人が小学生の時に描いた漫画のコンカフェだった話。
何から何までコントだな〜!と思いながら見た。出てくるキャラクターも話し方も、セグウェイに乗ってることも何から何まで「小学生が妄想したことだから」で済まされている楽しい世界。笑う犬とかコント番組を観てた頃の自分を思い出した。一本目と比べると物語性はないけど、コントはこのくらい馬鹿でいいよなとも思う。そういう意味でも合わせ技で空気階段が優勝だなと心から思う結果だった。
終わりに
各所でキングオブコントは盛り上がりに欠けると言われてた気もするけど、そんなこと全くなかった。割と舞台とか好きな人にはコントも芝居として受け入れられてて、チケットも断然安いしみんな劇場来ればいいのにと思います。ひとまず、楽しかった!M-1も楽しみだな!以上、ノー校正です。