【創作小噺】十月の末
翔「兄貴、兄貴ぃ、俺、腹痛うなってきたんやけど…」
賢「翔、てめえブルっとんのか。まさか一人だけフケよう思うてんのか」
翔「せやけど兄貴、足がすくんで…」
賢「あほう、上に言われたら絶対やらなあかんのがこの世界や」
翔「嫌やなあ…行きとうないなあ…」
賢「男らしゅう覚悟きめんかい。ほな、行くで!」
ガチャッ…ギイイィィ…
二人「お疲れさまです!親父!」
親分「ハッピーハロウィーーン☆」
二人「ハッピー…ハロウィーン」
親分「声が小さいやろがい!ハッピーハロウィーン☆」
二人「ハッピーハロウィーン!」
親分「そうや。これからの時代はわしらも義理人情の人情の部分を深めていかなならん。そのために毎年やっとるハロウィンパーティーやろがい。もっと笑顔にならんかい」
二人「えへへ…」
親分「わざとらしいのう。ほんでお前らの今年の仮装はなんや」
翔「へい。自分は、仁義なき戦いの大友勝利です」
賢「へい。自分は、闇金ウシジマくんの滑皮です」
親分「それのどこが仮装や。普段の格好にチン毛が生えた程度のもんやないかあほんだら。わしを見てみいわしを」
賢「その、大福みたいな猫はなんですの」
親分「ちいかわや!ちいかわのハチワレや!どや、かわいいやろう」
翔「かわいい割にえらい物騒なもん持ってまへん?」
親分「ハチワレの武器はトゲのついた青いさすまたやないかい。お前らはほんまに勉強が足らんなあ。教育じゃ。エイッ!エイッ!」
賢「痛っ、痛いっ、それでつつかんといてください」
親分「ほんだら席につけや。これからお歌のショーや」
賢「キタ…」
翔「…帰りてえ」
親分「一曲目はCrazy Party Night ~ぱんぷきんの逆襲~や!ぱんぱらぱんぱんぱんぱんぱん ぱんぱらぱんぱんCrazy Party Night♪」
二人「ぱんぱらぱんぱん…」
親分「お通夜やないんやぞちゃんとノリノリになれや!」
二人「はい…」
親分「なんや力が出んのか。メシを食えメシを。ほら、かぼちゃの煮物にかぼちゃのスープにかぼちゃのサラダや。パンプキンケーキもあるで。全部わしの手作りや。食え!」
翔「兄貴ぃ…肉が食いてえ…」
賢「辛抱せえ。終わったら焼肉行くぞ。こっそり店予約しとけや」
翔「おう、9時から男二人や。なんやと、予約でいっぱい?男二人くらい入れるやろが。何?今から30分以内やったら入れる?…どないします兄貴?」
賢「あほぬかせ。あと3時間はナンキン状態や!」
(終)