リボン姉妹2

「はいからさんが通る」で学ぶお転婆じゃじゃ馬一人勝ち論

「キャンディ♡キャンディ」と並ぶくらい少女たちが夢中になった昭和の代表的な少女漫画とは?
それは「はいからさんが通る」でしょう!
キャンディの舞台はアメリカ、イギリスですが、「はいからさん」は大正時代の日本。「キャンディ」が松田聖子なら「はいからさん」は中森明菜。そんな存在のような気がします。(個人の意見です)
「キャンディ」ほどの華やかさや当時の女児すべてのハートを奪った爆発的なヒットはなかったものの、(アニメは途中で打ち切りとなってしまいました)内容の素晴らしさは負けてはいません。それにところどころに散りばめられたギャグが光っています。ギャグとロマンスの融合、それはかつての少女漫画にはなかったものですし、今でも成功例は滅多に見ることはできません。

「はいからさんが通る」も「キャンディ♡キャンディ」に劣らず少女漫画的な要素がてんこ盛りです。
主人公紅緒はじゃじゃ馬で男まさり、親が決めた許嫁、記憶喪失、男性イケメンキャラが全員主人公に惚れる…などなど。
「主人公は特別美人というわけではないがモテる」という設定と「ドラマチックな展開」は昭和の少女漫画に欠かせない要素です。
それに、紅緒は最初は「親が決めた結婚なんてしてたまるか!」と反発していたため少尉に惚れている自覚はなかったのですよね。でも、だんだん好きという気持ちがあらわになります。この辺も少女漫画のセオリー通りです。


「キャンディ」と同じく「はいからさんが通る」にもたくさんのイケメンキャラが登場します。
少尉、蘭丸、編集長、狼さん…みんな紅緒に惚れます!
しかしここで注意してほしいことがあります。
「少女漫画だから都合よくイケメンたちに惚れられる」と簡単に片づけてほしくはないのです。やはり、漫画をよくよく読み込んでみるとわかるのですが、紅緒は「都合よく惚れられる」わけではありません。イケメンたちに惚れられるにはちゃんと理由があるのです。男たちの中で紅一点でチヤホヤされ満足するサークルクラッシャーのような女子では断じてありません。


紅緒には芯があり意志があります。少尉が戦死したという知らせを聞いて悲しみますが、自ら長い髪を切り白い喪服を身に着け一生少尉の妻として生きることを誓います。「男まさりで女らしくない」キャラの紅緒ですが、このシーンは「自立した強い女らしさ」を感じます。さらに、人力車引きの大男牛五郎に「親分」と言わせたり、女子刑務所に入ったときは恐ろしい存在であった牢名主にさえもおじけることなく張り合うなど、普通の女子ではあり得ないことをやってのけました。
紅緒には「かわいいと思われたい」などという女子のあざとさが一切ないのです!男に頼ろうともしないし、いつでも人間として成長し、どんな人とも対等でいようとします。
だからイケメンに惚れられるのだ!
と、いうのが「はいからさんが通る」を読破した後の私の感想でした。
紅緒は人間として素晴らしいのです!
だから少尉や編集長といった見かけも中身も男前な男性に惚れられるのです!
巷でよく目にする「男を落とすテクニック」というものって、「上目遣いで話す」だの「ボディタッチをする」だの「胃袋をつかむ」だの「知ってることも知らないふりをする」だの…
確かにそういう可愛いい女性を演じた方がモテるのでしょうが、あざといテクニックで落とせるような男って所詮その程度。たいした男ではないような気がします。

物語のクライマックスでは紅緒は編集長との結婚を決めます。
記憶喪失となり別の女性の夫となった少尉への想いを断ち切るためです。
しかしなんと結婚式の最中に関東大震災が!
(私はこの漫画で「関東大震災」を知りました。読んでいてものすごく怖かった…。ここまでリアルに震災を描ける少女漫画って…他に知りません!)

そこで記憶もすっかり戻っていた少尉は紅緒を助けに向かいます。
しかし、なんと妻のラリサが少尉をかばって落ちてくるシャンデリアの下敷きに…!…ん?「キャンディ♡キャンディ」での件と似てますね。
しかし、テリィとは違って少尉は紅緒の元へ!震災で荒れた町の中で無事紅緒を見つけ救助します。回り道が多かったけどついにハッピーエンド!

ここでちょっとかわいそうだったのは編集長なのですが、少女漫画にとって、この「俺じゃダメか?」的なポジションはとても大事です。
好きな人がいるけど、何らかの理由でその人と結ばれることはない…。そんなときに現れるのが「俺じゃダメか?」の人です。ドラマでも「婚約者ポジション」と呼ばれ恋愛ストーリーの中で、なくてはならない存在です!(多分)
この「二番手」の男性キャラは、物語が上質であればあるほど「一番手」の人気を追い越すことになります(おそらく)。私ももちろん、「はいからさん」の男性のキャラで一番好きなのは編集長です!

昭和45年生まれの私が人生の中で影響を受けた少女漫画を思い出しながら綴っております。
最後まで読んでくださった方、おられましたら感謝いたします。ありがとうございました。


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ぴのこ堂
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