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食物アレルギーがある大学生のリアルな日常:お泊まり編

*6年前に執筆した記事です。推敲して再度投稿しています。

以前の記事にも書いたように、僕には食物アレルギーがある。↓


体が大人へと成長していくにつれて食べられるものも増えた。(昔は米でさえ検査で反応が出た)
しかし今でも乳・卵・そば・ナッツ全般・栗などが食べれない。

これらが少しでも含まれているものを食べると即座にアレルギー反応がでてしまうのだ。

そんな僕が今回大学の授業の一環でお泊まりをすることになったので、お泊まりする上で何を考えてどんな苦労があるかを書いてみた。
この記事が僕と似たような食物アレルギーを持つ人、アレルギーっ子のご両親、友達にアレルギーを持ってる人、とにかくたくさんの人に届いてくれることを願っている。

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僕は今日から3日ほどを街中から離れた施設で暮らす。
周りに全く飲食店がないわけじゃないし、遠いけどコンビニに行けないわけじゃない、スーパーだって行こうと思えばいける。
難易度で言えばイージーモード。
お金さえあればどうとでもなりそうなものだ。

しかし近くの飲食店に食べられるものが置いてあるとも限らない。
好きなタイミングで買い出しに行けるとも限らない。
そう考えると最低限の食料を持っていくのが最善策に思えた。

皆が普段お泊まりで持っていく「お泊まりセット」の他に、まずアレルギーの薬をリュックサックに入れます。
アレグラ、タリオン、セレスタミン、そしてエピペン。

どの薬も使う場面がないことを祈りつつ、リュックサックの見つけやすいところに入れる。

そして次に食料。
荷物が多くなりすぎない程度に、持っていけるだけ持っていく。

厳選に厳選を繰り返した結果、お腹にたまりそうなもので固めた。
(スパムは結局諦めた)
実はこれだけの食べ物を見つけて揃えるだけでも一苦労なのだ。
レトルト食品の原材料はとっても多く、詳しく読んでみると脱脂粉乳だったり卵白だったりが入っていて、僕には食べることができない。
牛丼のレトルトにも乳製品が入っていたりするから油断ならない。
シリアルにもナッツが入っていたり、コンタミの可能性が拭えなかったり。
ここまで考えて非常食を揃えているとなんだか自分が災害に備えているような気がしてくる。
でも実際気持ちはそんな感じで、知らない場所でお泊まり生活という不確定要素の多い環境に備えている。
大袈裟な表現になってしまうが、来るとわかっている災害に備えているようなものである。

そして迎えた初日、最初の昼ごはんで事件は起きた。
みんなに用意されたお弁当が食べれない僕は、持って来た食料をとっておく意味も兼ねて近所の定食屋に食べれるものを探しに出た。
中でも食べれる見込みがあったのは海鮮丼。魚にアレルギーはありません。

しかし!出て来たのは真ん中に温玉が乗った海鮮丼。


海鮮丼は大丈夫だろうとタカをくくり、メニューに載っていた写真でも見抜けなかった自分のミスだ。
もう作られて目の前に出されてしまっている。
そして店員さんはただ注文通りの料理を出しているだけ。
作り直してもらったり丸ごと残すにはなんとも心苦しい状況になってしまった。

そこで僕は、中心の卵とそれが触れた部分の米を除去して食べることにした。
天ぷらのような揚げ物の衣に使われている微量の卵なら反応しないので、きっと食べれると考えた。

しかし、卵がほとんど触れてないと思われる部分にも関わらず、ほんの二口で口内に猛烈な痒みが走ります。
そして飲み込んだすぐに喉も痒くなる。
二口目はもう飲み込むことも難しかった。

一瞬でアレルギーだと確信する違和感だ。
食べて1分もしないうちに襲ってくるアレルギー反応で、慣れていても少し焦る。
とりあえずセレスタミンを一錠、飲み込めるうちに飲んでおく。

即座に席を立とうとするが、目の前には大量に残った海鮮丼。
その日の僕は朝から何も食べておらず、昼食の時間も限られていて空腹が限界だった。
大量に残すのは申し訳なさも感じてしまうし、かといって「アレルギーになりました」だなんて店員さんに言いづらい。
そんな罪悪感に負けてしまい、丼の安全圏と思われる部分を必死でかきこみお会計に向かった。
そして店員さんに「残してしまってすみません」と伝えて急いで帰路に着いた。
しかしその帰るまでの運動でアレルギーの進行も早まり、症状が悪化していった。

宿舎に戻った頃には口と喉のかゆみに加えて吐き気、胃痛、声のかすれが起きていた。
どちらかというと重篤なアレルギーの症状である。
胃痛があまりにもひどかったので、セレスタミンをもう一錠飲んだ。
(セレスタミンを何錠も飲むのは体に負担がかかりすぎるので、医師からは推奨されていない。前に3錠飲んだら怒られたことがある。)

しばらく腹痛でのたうちまわった後、クラスメイトのいる部屋に向かった。
決して回復はしていなかったが、万が一、部屋で一人で意識を失ったりするよりは安全だと考えたためだ。

その後は食べたものが消化器官を通るにつれてその部分が症状を起こしていく感覚があった。
症状が治まった後はセレスタミンの副作用である眠気と、アレルギー後の凄まじい倦怠感に襲われる。
運動をしたわけでもないのに、全身が重くて眠たい。
とにかくきつい。

少し食べれるようになってきていた卵でもここまでの症状が出るとは自分でも予想外だった。
温玉が微妙に触れた部分で発症したと思われます。
卵のタンパク質が熱で変性しきってないことで、よりアレルゲンとして反応しやすかったのかもしれない。

なによりも、お泊まり初日の1食目で手持ちのセレスタミンを使い切ってしまったことがとても痛い。
一番頼れる薬だったのに。

こうなってしまうと残りの食事は全部「守り」の食事にせざるを得ない。
少しでも怪しいものは食べずに、アレルギー的に大丈夫だと確信が持てるものだけを食べる。
攻めた食事をしないということは基本的には一度食べたことのあるものだけを食べていくということだ。

その日の夜ごはんは持って来た米とレトルトの「完熟トマトのハヤシライスソース」。
これは僕にとってアレルギーの特定原材料をほとんど含んでいないありがたい製品だ。
個人的な好みで言うと少し甘すぎるが味に文句を言っている場合ではない。
夜食にはスイートコーン缶。
トウモロコシが食べれてよかった。

体調が悪く、悲壮感あふれる自分の姿をクラスメイトや後輩に見せたくなかったが仕方がない。
できることなら空気を悪くしたくなかったし心配もかけたくなかった。
心配してくれるのはありがたいけど、周りの人たちに申し訳ないと思われるのも申し訳ない。
だってみんなは何も悪くない。
一人で自滅してるだけ。

さてこれでやっと1日目を終えられる…

と思いきやそんなことはなかった。
危うく布団に倒れこみそうだったが、その前にあることをチェック。
枕の中身だ。
そば殻の枕だととても危険なのでこのチェックは忘れてはいけない。

枕を触った感じ、ビニールパイプではないようです。
そば殻を実際に触ったことはないのですが、プラスチックではない感触。
たぶんそば殻だ。
少し枕を開けて中身を見ようとしましたがうまく見れず。
完全に中身をだしてしまうと仮にそば殻だった場合喘息などの原因になってしまう。
というわけで大事をとって枕は使わなかった。

今、その枕がたくさん乗っていたベッドでアレルギー症状が出てしまうかを身を以て試しながらこの記事を書いている。
国内のお泊まりで、しかも融通が効くような環境でもこんなことに。
もちろん毎食正しい判断などができれば問題ないのかもしれません。でもいつでも正しい判断ができるほど人は賢くないし、僕だってなるべく普通の人のような振る舞いで食事がしたい。

何度も言っていきますが、アレルギーは本人の問題であって、基本は自己防衛だと僕は考えている。
原材料を表示してくれるだけマシ、
アレルギーを知ってくれているだけでマシ、
アレルギーと伝えて嫌な顔されないだけマシ。

「乳・卵・そば・ナッツ・栗 を含まないメニューをください」と言われて困らない方が珍しいと思う。

「じゃあ、、、おにぎりくらいならできますが。。。」
高級料理店でもない限り良くてこんな感じの対応だ。

「こちらとしては責任がとれないのでアレルギーのお客様はちょっと…」
こんな感じで断られることだって何度もあった。

自分で自分の食べ物にありつく。
それができないとアレルギーで生きていくのは難しいと感じる。
まあ、それでもこんな風に痛い目に合うわけだが。

長くなってきたので今回はここまで。
喘息が起きないか怯えながら今日は寝ることにする。

珍しい日でもなんでもない、食物アレルギー持ちのよくある一日のお話。


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ツカサ【アレルギー持ち免疫学者】
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