無意識に
自宅療養30日目。5:30起床。今日のノルマは洗濯、床を箒で掃く、ゴミを捨てる、郵便を出す、電話を一本かける。いままであたり前にできることも、気合いを入れなければできない。こんなのは不条理だという思いと、でもこの事故のおかげで起こるかもしれなかったもっと大きな事故を防げたのではないかという気持ちが殴り合う。自分一人しかいないリングサイドで、無制限の試合をただ眺めている。
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『人類学者K』(奥野克己)を開く。表紙に写った動物は何だろう。オオカミ、イノシシ、クマ。瞳は体毛とおなじく森の色だ。
はかないからこその美しさ。季節が服を着替える。だがその実、地中には根を張り、知らぬ間に生命を拡張していく。花や植物に囲まれる安心感。日常の中にあるミニマルな非日常感。
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忘れる。とにかく忘れてしまう。これについて書こうと思いついたことが跡形もなく消えた。トイレに立って戻った2.3分の間に。いちど意識に上がって、後で使おうと一旦引き出しにしまった。取り出そうと引き出しを引いたらもう何も無い。ある意味マジックだ。同じ短期記憶でも覚えてる時もある。この差は何なのだろう。
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システム手帳をバイブルサイズからポケットサイズに変えたら、メモの量が増えた。とてもいい傾向だ。気がついたらサッと開いてすぐメモができる。バイブルサイズは本でいえば単行本サイズ、ポケットの方は文庫本。コンパクト、手軽、というイメージがあるだけで、開くという行動につながりやすい。さあメモをとるぞ!と、決して頭で考えてるわけではない。無意識に開く機会が増えている。無意識に体が動いてしまうということについて、もっと考えたい。
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唐沢寿明のドラマ『fixer』を立て続けに観る。悪い奴が暗躍するドラマが少ないせいか夢中になった。脚本をみると井上由美子だった。他にも面白い作品があるかもしれないので調べてみる。唐沢寿明はもちろんのこと、脇役も贅沢でドラマ全体の奥行きが豊か。薄っぺらいシーンが少なく、納得感がある。しかし秋吉久美子の使い方は贅沢で、内田有紀は華のあるバイプレイヤーに育って嬉しい。