木香薔薇の約束
Cymbalsが解散してしばらく経った頃のこと。
沖井さんから歌って欲しい曲があると言われて仮歌を録りにいきました。
その曲は沖井さんの親友にお子さんが生まれたときに作られた曲で、
「はるお」という仮のタイトルが付いていました。
子守唄みたいに優しく、すこし寂しげな曲です。
(美しい歌はいつも悲しいので)
曲ができた背景を聞いて、赤ん坊に語りかけるように、母になったことはないけれども、なけなしの母性をフル稼働させて、なんとか歌いきった頃には終電もなくなっていて、
学生時代みたいに沖井さんのレコードを聴かせてもらったりしながら始発を待ちました。
明け方、駅に向かう途中の路地でふと良い香りがして振り向くと、まだ薄明かりのなか黄色い木香薔薇がぼうっと浮き上がってなんとも神々しく、思わずこんなお願いをしていました。
このプロジェクトがきっと形になりますように。
それから数年後。
沖井さんのソロプロジェクトにはFROGという名前が付き、
曲は「NEW DAY,NEW LIFE」というタイトルになってリリースされました。
今でも木香薔薇の季節になると思い出す情景です。