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すきすきワンワン最終回に向けて(後編)


人物への想いが深く、思ったより長い文章になったので後半はいよいよ最終回に向けて感想をまとめようと思う。

炬太郎くんはクズ男?

岸くんが番宣で何度も言っていたのは職なし、彼女なし、やる気なしの「クズ男」
人生諦めモードで小5が自分の人生のピーク、という炬太郎くん、初回を見るまではそうなる何か大きな出来事があったんだろうか?と思っていた。
回を重ねて分かったのは、炬太郎くんは「クズ」ではないということだ。
何か大きなきっかけがあった訳では無いと思う。
炬太郎くんに限らず、子供の頃は大人になる自分に対して「自分は何者かになれるかもしれない」という期待と自信を持って過ごしている。成長する過程で多くの人が「できるはずな自分」と「できない自分」のギャップが生まれ、少しずつ自分への期待と自信を削られ、目標を変えたりすることで折り合いを付けて自分を認めていく。自分に期待ができない人生はつらいからだ。変えた目標を達成できれば、周りの評価やサポートも得られ、そんな自分もまぁ悪くないかな?と腐らずに生きていける。
炬太郎くんの場合はきっと、そのまままるっと炬太郎くんを受け入れて肯定してくれる人が極端に少なかったのだろう。生きづらさを抱えて、自分に期待さえしなければ傷つかないというマインドになってしまったんだと思われる。

人は肯定してくれる誰かを得ることで変わる事ができる

勝手に解釈するに、これが大きなテーマなのではと思う。
犬は全肯定の象徴である。
飼い主がどんな姿でも、1度ご主人様と認めたらずっと愛してくれ、忠誠を尽くしてくれる。私自身も今まで2頭のワンコと過ごして来たが、ただ家に帰ってきただけで大喜びし、愛情を伝えてくれる存在は自己肯定感を強めてくれた。まさに「いてくれるだけで十分」なのである。あなたがあなたでいるだけで嬉しい、あなたといる事がしあわせ、と全身で伝えてくれる姿は、なによりの応援になっているのである。
炬太郎くんもふとした時にそれを沢山感じただろう。過去上手くいかなかった事を今も挽回出来ずに落ち込んだ時にただ傍にいてくれた事、自分の言いつけを守って自分を信じて待ってくれてる姿を見た時、ただただ帰りを待っていてくれた時。実は誰よりも自分を信じたい炬太郎くんが、天の存在によってやっと自分の存在を認める事ができたんだと思う。人は人とかかわり合う事で自分の存在を意識出来るようになるのだから

天との別れ?

第9話、コタくんコタくんとずっと炬太郎くんに寄り添っていた天ちゃんに変化が訪れる。
犬の記憶を持って炬太郎くんに愛情を示し、寄り添ってきた天ちゃんだが、犬として持っていた炬太郎くんとの思い出を少しずつ無くしている様子なのだ。足の長さを測って付けた柱の傷、しっぽの長さを測ろうとした事。1度思い出すけどもまた忘れてしまう。忘れたくない、忘れないと思っても記憶がポロポロとこぼれ落ちている天ちゃん。自分の事をたった1人でも分かってくれればいい。。そう思っていた炬太郎くんの、大事な大事な理解者がまた居なくなってしまう。。炬太郎くんは犬としての記憶が無くなってしまったら、関係性が変わってしまう、自分の事を好きじゃなくなってしまうのでは無いかと不安と悲しさに打ちひしがれる。天ちゃんとの穏やかな愛情を知るまでは、どんな孤独でもやり過ごして来れたけれども、1度その暖かさに触れてしまった炬太郎くんは再び元の「クズ」な自分には戻れなくなっているのだ。忘れて欲しくない、天ちゃんがてんの生まれ変わりだと確信したアヒルの人形の大切な思い出もこぼれ落ちている事を知って、別れを避けられないと分かってしまった炬太郎くんが最後にたどり着く答えは。。

最終話への想い

天ちゃんは、炬太郎くんと犬として過ごした記憶があったから炬太郎くんの家に来たわけで、犬時代に炬太郎くんと共通してもっていた思い出が沢山あった。
でも、人間に生まれ変わって天として炬太郎くんと過ごした新しい思い出も沢山あったはず。
犬の時には炬太郎くんに寄り添うだけで、落ち込んでいる炬太郎くんに声を掛けることは出来なかったけど、人として生まれ変わって炬太郎くんの支えになるような言葉を掛けてあげることが出来た。一緒に食べられなかったお寿司を一緒に作って食べることが出来た。たこ焼きパーティーをしたり、一緒にお酒を飲んだり、同じ歩幅で沢山話をして笑い合って心を通わすこともできた。もう私の願いでもあるけども、どうかその美しい思い出は、天ちゃんの中に残っていて欲しい。犬として過ごした日々は忘れても、炬太郎くんと天ちゃんが過ごした日々は確かにあったのだから。
最終話の予告では天ちゃんが去っていく事が描かれている。炬太郎くんと天ちゃんの関係はどうなるのか?


最後に


天ちゃんとの関係がどうなるのか、は最後まで分からないけども、1度深い愛情を知った炬太郎くんはきっと元の炬太郎くんでは無いはず。
この物語がここまで柔らかくあたたかいお話になったのは、少ない登場人物がものすごく丁寧に繊細に描かれていて、それを演じる岸くん浮所くんの細やかな演技があったからだと思う。言語化されてない想いを表現するのが本当にうまくて、天を失うかもしれないと思った炬太郎くん(岸くん)の目の端に留まった涙が全て語ってくれた。
書きながら泣いていますが、愛を知った炬太郎くんのその先が明るく愛に満ちたものでありますように。それは岸くんの未来を祈るのと同じ強い強い気持ちで願ってます。明日、しっかりまた仮眠を取ってから炬太郎くんと天ちゃんの未来を見守ろうと思ってます。あぁもう既にすきすきワンワンの最終回のその先に行くのが寂しくてつらい。。でもしっかり受け止めよう。


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